葛飾北斎の晩年に迫る、大阪で大展覧会

2017.10.4 08:00

《富嶽三十六景 神奈川沖裏波》天保1〜4年(1830〜33)頃 大英博物館 ©The Trustees of the British Museum. Acquired with the assistance of the Art Fund.

(写真5枚)

江戸時代後期に活躍し、『富嶽三十六景』などの代表作で知られる浮世絵師、葛飾北斎(1760〜1849)。ゴッホやモネなど欧米の画家たちに大きな影響を与え、米国『LIFE』誌の「この1000年の偉人100選」に日本人で唯一ランクインした彼の大規模な個展が「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)で10月6日から始まります。

本展の特徴は2つあります。ひとつは本展が「あべのハルカス美術館」と「大英博物館」の共同企画だということ。先に行われた英国展は、同国で約70年ぶりの北斎展ということもあり、大きな話題を集めました。そしてもうひとつの特徴は、北斎の画業のうち最後の30年(還暦から90歳で亡くなるまで)にフォーカスしていることです。

《富嶽三十六景 凱風快晴》天保1〜4年(1830〜33)頃 大英博物館 ©The Trustees of the British Museum.

北斎は1820年代の後半に、自身の病気、妻の死、孫の逸脱行為による経済的困窮など、様々な苦難を経験しました。そのピンチを乗り越え、キャリア復活のきっかけとなったのが、大ヒット作『富嶽三十六景』です。また晩年の北斎は熱心に肉筆画を手掛けており、多くの代表作を残しています。86歳のときには三女・お栄(応為)を伴って小布施(現在の長野県小布施町)に招かれ、波の表現の集大成とも言われる一対の『濤図』や『鳳凰図天井絵彩色下絵』を描きました。

《富士越龍図》嘉永2年(1849) 北斎館 展示期間:10/6〜10/29

本展では、これらの作品をはじめとする代表作約200点を展覧。これまでとはひと味違う観点から北斎の人物像と精神性に迫ります。また、出展作品のうち66件を貴重な肉筆画が占めており、北斎ファンにとってもレアな機会と言えるでしょう。さらには、北斎が「美人画は俺よりうまい」と認めていたお栄(応為)の作品も。「天があと5年命をくれたなら、真正の絵師になれただろうに」と語った北斎。神の領域を目指した彼の生き様は、きっと多くの人に感銘を与えるでしょう。

文/小吹隆文(美術ライター)

『大英博物館 国際共同プロジェクト「北斎-富士を超えて-」』

期間:2017年10月6日(金)〜11月19日(前期は〜10月29日、後期は11月1日〜)10/10・16・23・30・31休
時間:10:00〜20:00(月土日祝は〜18:00)※入館は閉館30分前まで
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F)
料金:一般1500円、大高生1000円、中小生500円
電話:06-4399-9050

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