素材に着目、大阪で「木×仏像」展

重要文化財 木造 宝誌和尚立像 平安時代 京都・西往寺(部分)
4月8日より「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)でおこなわれる『木×仏像』展では、飛鳥時代から江戸時代に至る木彫仏1000年の歴史を、素材の「木」に着目してたどります。
日本人は古来より樹木に対して親しみと畏敬の念を抱いてきました。それは「出雲大社」の心御柱や「諏訪大社」の御柱祭を見ても明らかです。風雪に耐え、人間の寿命を遥かに超える年月を生きる樹木は、我々にとって身近な素材であり、同時に祈りの対象でもあったのです。それは造仏においても同様で、長い歴史を通じて木彫仏を作り続けて来たのが、日本の仏教美術の特徴です。

大抵の仏像展は時代や様式、仏師の名にこだわりますが、本展のポイントはそこではありません。たとえば、特定の木材を意図的に選択する、寺社建築の部材を流用して霊験性を高める、あるいは、樹木の特性を的確に捉えた鑿(のみ)や槌(つち)の使い方、造仏の儀式「御衣木加持」の痕跡と思われる木材を像内に納めるなど、木に込めた深い思いや意味、卓越した技術、最新の研究成果に基づく知見を紹介するものです。
展示総数は約70体。展覧会に初めて登場する仏像や、大阪の知られざる仏像も数多く見られます。今までより一歩踏み込んだ、ディープな仏像鑑賞をしたい方におすすめです。
文/小吹隆文(美術ライター)
『木×仏像 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏1000年』
期間:2017年4月8日(土)〜6月4日(日)
時間:9:30〜17:00 ※入館は16:30まで 月曜休 ※5/1は開館
会場:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
料金:一般1300円、大高生1100円
電話:06-4301-7285(大阪市総合コールセンターなにわコール/8:00〜21:00)
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて
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