ベルギーの90歳巨匠、大阪で熱い展覧会

《ボキャブラリー Ⅰ〜Ⅷ》 1986年 アクリル絵具、キャンバスで裏打ちした紙 作家蔵/国立国際美術館(大阪市北区)にて、4月9日まで
ベルギー出身で、90歳を迎える今も活動を続けるピエール・アレシンスキー(1927〜)。彼の画業を振り返る日本初の大規模個展『おとろえぬ情熱、走る筆。ピエール・アレシンスキー展』が「国立国際美術館」(大阪市北区)で、4月9日まで開催されています。
アレシンスキーは第2次大戦後に「コブラ」という前衛芸術グループのメンバーとなり、自由奔放な作風で頭角を現しました。日本の前衛書道からも大きな影響を受けており、1955年には来日して書家の森田子龍らと交流、「日本の書」という短編映画を制作しています。また、1960年代半ばから漫画のコマ割りのような構造を導入し、古い手紙や印刷物の上に描くなど、独自のスタイルを確立しました。本展では初期から晩年までの絵画や版画など約80点が展示されており、彼の仕事の全貌がうかがえます。

アレシンスキーの作品を見て真っ先に気付くのは、ダイナミックな線の魅力です。大胆さや力強さと同時に子どもの絵のような無邪気さがあり、日本の書、1950年代の美術界で流行した抽象表現主義など、様々な影響が感じられます。仕上がりはラフですが、単なる乱調ではなく、直感と知性がギリギリの線で均衡を保っているかのよう。そのせめぎ合いこそが、彼の作品の醍醐味ではないでしょうか。

一方、コマ割り構造には作品にパラレルな時間的・空間的広がりを与える効果があります。それらは漫画のように連続した場面ではなく、ひとつひとつの絵の関係性は必ずしもはっきりしません。もちろん作家なりの意図はあるでしょうが、どのように解釈するかは観客次第。つまり自分なりの見方で作品を楽しめるのです。
書の影響、自由奔放さ、コマ割りの画面構造、こうして要素を並べると、アレシンスキーと日本人の相性が良いことが分かります。普段は現代アートに身構えてしまう人でも、彼の作品なら自然体で鑑賞できるでしょう。今まで何となく現代アートを避けてきた人にこそ、本展をおすすめしたいです。料金は一般900円。
文・写真/小吹隆文(美術ライター)
『おとろえぬ情熱、走る筆。ピエール・アレシンスキー展』
期間:2017年1月28日(土)〜4月9日(日)
時間:10:00〜17:00(金曜〜19:00)※入場は閉館30分前まで
月曜休 ※3/20開館、3/21休館
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般900円、大学生500円、高校生以下・18歳未満無料
※同時開催の「クラーナハ展」との共通チケットは1900円
電話:06-6447-4680(代)
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて
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