クラーナハ、魅惑の裸体画が大阪で

ルカス・クラーナハ《正義の寓意(ユスティティア)》1537年 油彩/板 個人蔵/国立国際美術館(大阪市北区)にて、4月16日まで
15世紀後半から16世紀に起こったドイツ・ルネサンスを代表する巨匠ルカス・クラーナハ(1472〜1553)。彼の全貌を紹介する日本初の大規模個展『クラーナハ展−500年後の誘惑』が、「国立国際美術館」(大阪市北区)ではじまりました。
クラーナハは神聖ローマ帝国の政治・文化の中心地ヴィッテンベルクで宮廷画家を務めました。同時に大型の絵画工房を開いて数々の肖像画を手掛け、蛇をモチーフにした署名を商標代わりにして自作をブランド化するなど、商才に長けた人物としても知られています。また彼は、当時のドイツで起こった宗教改革にも関わっており、マルティン・ルターと親交を結び、絵を通じて彼をバックアップしました。

このように多面的な顔を持つクラーナハですが、彼の作品で最も人気があるのは、神話や物語に登場する女性を描いた裸体画です。ヌードだけど神話だからみだらではない、というのはあくまでも建前。作品が醸し出す妖艶なエロティシズムこそ、彼の名を今日に至らしめた理由なのです。

クラーナハの女性像は謎めいています。何を考えているのか分からない醒めた表情をしているかと思えば、挑発的な微笑を浮かべている場合もあります。ボディはふくよかですが胸は小さく、顔も年齢不詳なので、ロリコン的な背徳感を感じる人もいるでしょう。また、背景に多用される黒や、人物が着用するビロードの布地に代表される濃密な色遣いも、ムードを高めるのに効果的です。
美術館学芸員いわく、「彼の作品には、表情にせよポーズにせよ、いわく言い難い違和感があり、それが我々を誘惑する」と。また「イタリア・ルネサンスが合理的なのに対して、目に見えないものを描こうとするドイツ・ルネサンスの非合理性が感じられる」とも。このあたりをキーワードに作品と向き合えば、見応えがグッと増すでしょう。期間は4月16日まで、一般1600円。
文・写真/小吹隆文(美術ライター)
『クラーナハ展ー500年後の誘惑』
期間:2017年1月28日(土)〜4月16日(日)
時間:10:00~17:00(金曜〜19:00) ※入場は閉館30分前まで 月曜休 ※3/20開館、3/21休館
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般1600円、大学生1200円、高校生600円
※同時開催の「ピエール・アレシンスキー展」との共通チケットは1900円
電話:06-4862-5777(事務局)
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて
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