小吹隆文撰・おでかけアート、6/22〜

「だれかのこども」2013年
「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、個性あるタッチの絵画、話題の浮世絵展を紹介します。
気鋭の若手画家が新たな画題に挑む
『佐竹龍蔵「ちいさなものたち」展』
@YODギャラリー(大阪市北区)
溶き薄めた岩絵具を平筆で点状に塗り重ねていく画法で、子供や風景を描いてきた佐竹龍蔵。
描かれたものの感情、状況、背景が曖昧な佐竹の作品は、観客を喜怒哀楽の区別がつかない精神状態へと導きます。また、彼の絵には輪郭線がなく、淡い色彩の積み重ねのみで作られていることを知った時、絵画は光の集積にほかならないという事実にも気付くでしょう。本展では、「風神雷神」、「龍」、佐竹の故郷・高知県に伝わる「しばてん(芝天)」など、精霊や物の怪を描いた作品を発表。これまでとは異なるモチーフながら、過去作と同様の点描法が用いられており、鑑賞者それぞれに内在する精霊や物の怪のイメージを映し出す鏡のような作品となるでしょう。
2016年6月18日(土)〜7月9日(土)
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江戸時代後期をリードした二大絵師
『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞』
@神戸市立博物館(神戸市中央区)
アメリカを代表する美の殿堂、ボストン美術館から、江戸時代後期の人気絵師、歌川国芳(1797〜1861)と歌川国貞(1786〜1864)の錦絵170件(約350枚)が里帰りしました。

2人は巨匠・初代歌川豊国の門下で、国芳が『水滸伝』や中国・日本の合戦、怪異譚、戯画などを得意とするのに対し、歌舞伎のトップスターと親交があった国貞は、役者絵の第一人者であり、美人画で時代の王道を行く表現を確立しました。展覧会は、歌舞伎の演目になぞらえた二幕13章で構成。2人の作品を通して江戸の庶民が夢見た世界や胸躍らせた娯楽の情景を味わえます。なお、7月31日までは全作品の写真撮影が可能(フラッシュ撮影は禁止)というのもうれしいところです。
2016年6月18日(土)〜8月28日(日)
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赤裸々な絵画が放つ圧倒的パワー
『NO-MAコレクションPart2+新作展「魲万里絵 遠くて近い私の風景」』
@ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県近江八幡市)
生き物、乳房、性器、ハサミなどのモチーフを、躍動的なタッチと大胆な構図で描き、それらの隙間を反復的なパターンで埋め尽くす画風で知られる魲(すずき)万里絵。

彼女は2007年頃から現在の作風で描き始め、『アール・ブリュット・ジャポネ展』(2010年、フランス)、『アール・ブリュット・フロム・ジャパン展』(2012年〜、ヨーロッパ巡回)に選出されるなど、国内外で高い評価を受けています。今回は魲の制作の軌跡にフォーカスしており、初期から2012年までの作品と、近年制作された新作の約70点を展示。自身に内在する衝動や本音を包み隠さず表現してきた彼女の“風景”を通して、アーティストの心と手から生じる感覚的な世界が味わえます。
2016年6月18日(土)〜8月21日(日)
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