小吹隆文撰・おでかけアート、4/6〜

2016.4.6 20:00

鶴亭《牡丹綬帯鳥図》 明和6年(1769) 神戸市立博物館 通期展示(4/9〜5/29)

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、日本古来の絵画、芸術作品を紹介。国宝が満載です。

18世紀の最先端。長崎仕込みの格好いい絵
『我が名は鶴亭 若冲、大雅も憧れた花鳥画!?』
@神戸市立博物館(神戸市中央区)

長崎出身の黄檗僧で画家の鶴亭(1722〜85)。彼は中国由来の南蘋風花鳥画を学び、20代半ばで還俗して京都、大坂に進出、長崎仕込みの新しい絵画で人気を博しました。

本展は、没後230年を機に鶴亭の画業と生涯に迫る初の回顧展です。鮮やかな色彩と豊かな表情の鳥が魅力的な著色花鳥画、大胆に冴えわたる筆遣いの水墨画など、彼の代表作が勢揃いします。なかでも花鳥画は、84件のうち43件が初公開。主催者の気合いの程がうかがえます。また、鶴亭と同時代の画家で彼に影響を受けた池大雅、伊藤若冲、曽我蕭白、与謝蕪村などの作品も展示され、離れ離れになっている鶴亭と池大雅の対幅が260年ぶりに再会するなど、見どころたっぷりの内容となっています。

前期:2016年4月12日(火)〜5月1日(日) 後期:2016年5月3日(火)〜29日(日)
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禅宗寺院の選りすぐりの名宝が集結
『臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念  禅ー心をかたちにー』
@京都国立博物館 平成知新館(京都市東山区)

約1,500年前に達磨大師によってインドから中国に伝えられた「禅」は、臨済義玄禅師により広まり、やがて日本にも伝わりました。中世には武家を始め、天皇家、公家からも帰依を受け、日本の社会と文化に大きな影響を与えます。江戸時代には白隠慧鶴禅師をはじめとする高僧により民衆への普及が進み、現在では欧米でも「ZEN」に傾倒する人がいるほどです。

国宝 慧可断臂図 雪舟等楊筆 室町時代 明応5年(1496) 愛知・齊年寺 後期展示(5/3〜22)
国宝 慧可断臂図 雪舟等楊筆 室町時代 明応5年(1496) 愛知・齊年寺 後期展示(5/3〜22)

この展覧会では、臨済宗・黄檗宗の寺院に伝わる高僧の肖像や墨蹟、仏像、絵画、工芸など200点以上を展覧し、禅が日本文化に果たした役割を紹介します。雪舟筆《慧可断臂図》、如拙筆《瓢鯰図》、狩野元信筆《四季花鳥図》など国宝・重文の名作も数多く出展され、禅の真髄に触れられるでしょう。

前期:2016年4月12日(火)〜5月1日(日) 後期:2016年5月3日(火)〜22日(日)
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史上初のチャレンジ! これはもう見るしかない
『国宝 信貴山縁起絵巻  朝護孫子寺と毘沙門天王信仰の至宝』
@奈良国立博物館(奈良市登大路町)

毘沙門天王信仰の聖地として聖徳太子により創建されたと伝わる信貴山朝護孫子寺。同寺に伝わる国宝 信貴山縁起絵巻は、日本三大絵巻の一つに数えられる平安絵画の名品です。その内容は、朝護孫子寺の中興開山である命蓮上人にまつわる奇跡譚を綴ったもので、山崎長者巻、延喜加持巻、尼公巻から成ります。

国宝 信貴山縁起絵巻 山崎長者巻(朝護孫子寺)
国宝 信貴山縁起絵巻 山崎長者巻(朝護孫子寺)

鉢や米俵が宙を舞い、剣をまとった童子が大空を駆け巡るなど摩訶不思議なストーリーと躍動感溢れる画面で知られており、美術ファン必見の名品と言えるでしょう。今回、この絵巻の全巻・全場面展示が史上初めて実現します。また、朝護孫子寺の寺宝、関連する寺外の数々も展示され、信貴山毘沙門天王への信仰が生み出した造形の魅力にも迫ります。

2016年4月9日(土)〜5月22日(日)
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