小吹隆文撰・おでかけアート、4/20〜

2016.4.20 20:00

女児用ワンピース・ドレス 1730〜1755年頃 藤田真理子蔵

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、ヨーロッパの子ども服、現代写真展、近代の風景画を紹介します。

子ども服を通して時代ごとの価値観を捉え直す
『こどもとファッションー小さな人たちへのまなざし』
@神戸ファッション美術館(兵庫県神戸市)

本展は、18世紀後期のヨーロッパの子ども服の誕生と、その後の変遷をたどるものです。

ヨーロッパでは長い間、子どもは不完全な小さな大人として扱われていました。子どもに特別な関心が向けられるようになったのは18世紀半ばからです。この時期から衣服も子どもの身体的・心理的発達に配慮してデザインされるようになり、19世紀後半には独自のスタイルに達しました。つまり、子ども服から社会の子どもに対する意識や価値観が読み取れるのです。本展ではさらに、明治以降の日本の子ども服を基軸にした、絵画、版画、写真、ベルナール・フォコンの写真作品、トヨクラタケルのフェルトと紙と糸を使った作品も展示され、時代ごとに変化する子どもへの視線を改めて問い直します。

2016年4月23日(土)〜6月5日(日)
展覧会情報はこちら

 

写真と京都、両方の魅力が凝縮したフェスティバル
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2016』
@京都市内ギャラリーなど15カ所

世界で活躍する写真家の貴重な作品や秀逸なコレクションを、京都の寺院や通常非公開の歴史的建造物、モダンな近現代建築で展示する国際フォト・フェスティバル。

ティエリー・ブエット「生後9分の女の子」2008年 ©Thierry Bouët ※堀川御池ギャラリー1階で展示(京都市中京区押油小路町238-1)
ティエリー・ブエット「生後9分の女の子」2008年 ©Thierry Bouët ※堀川御池ギャラリー1階で展示(京都市中京区押油小路町238-1)

今年は「Circle of Life いのちの環」をテーマに15会場で14の展覧会が開催。生後1時間以内の新生児を撮影したティエリー・ブエット、フランス国立自然史博物館の標本や剥製をモチーフにしたシリーズなど3会場で展示を行うサラ・ムーン、日本の戦後を問い続けた福島菊次郎の生涯を振り返る回顧展、生命の起源と言えるプランクトンを撮影したクリスチャン・サルデ(展示構成は高谷史郎、サウンドは坂本龍一が担当)など、質の高いプログラムで写真と京都の魅力をたっぷりと堪能できます。

2016年4月23日(土)〜5月22日(日)
展覧会情報はこちら

 

美術館の実力がわかる優れたコレクション展
『時と風景ー未来をつなぐコレクション』
@滋賀県立近代美術館(滋賀県大津市)

滋賀県立近代美術館が、自慢のコレクションから20世紀以降の作品を精選して作り上げた展覧会。

クリスト《包囲された島》1981年 ©Christo 1982
クリスト《包囲された島》1981年 ©Christo 1982

テーマの「時」と「風景」は洋の東西を問わず古今の美術家が取り上げてきたテーマです。「時」は目で見ることができませんが、美術家は創意工夫を凝らして可視化し、見る者を哲学的な問いへと誘います。「風景」は写実的な作品だけでなく、抽象表現や心象としても表現されてきました。どちらも多くの人が共有しながら、同時に個々の記憶と深く結び付き、一人ひとりの中にだけ存在するのかもしれません。H・マチス、A・ウォーホル、R・ラウシェンバーグ、クリスト、福岡道雄、岡田修二などの名作を通して、2つのテーマをめぐる思索の旅に出かけましょう。

日時 2016年4月23日(土)〜6月26日(日)
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