小吹隆文撰・週末おでかけアート、2/24〜

2016.2.24 20:44

蠣崎波響《夷酋列像》ツキノエ 寛政2年(1790) フランス・ブザンソン美術考古博物館所蔵

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、レアなアイヌの作品と、現代アートを楽しんで。

18世紀末北東アジアの国際関係を読み解く
『夷酋列像ー蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界』
@国立民族学博物館(大阪府吹田市)

松前藩家老で、画人でもあった蠣崎波響(1764〜1826)が、寛政2年(1790)に藩主の命で描いた「夷酋列像」。

アイヌの有力者12人を描いたこの作品は、制作直後に京都にもたらされ、貴族、大名、知識人に披露、そして光格天皇の天覧に供されるなど、大きな反響を巻き起こしました。本展では、蠣崎の直筆とされる作品(フランス・ブザンソン美術考古博物館所蔵の11点と、函館市立中央図書館所蔵の2点)や、国内各地の模写をはじめ、アイヌが身に着けていた衣装、装身具、狩猟具、当時の地図などを紹介。この絵をめぐる人々の動き、蝦夷地を中心とする北東アジアの交流、為政者が蝦夷地や外国に抱いていた興味・関心・危機意識を明らかにします。

2月25日(木)〜5月10日(火)
展覧会情報はこちら

 

未知の体験ができそうな予感がたっぷり
『Exhibition as media 2015-2016「新シク開イタ地」』
@神戸アートビレッジセンター(神戸市兵庫区)

アーティストと主催者が企画立案から実施までを協働する展覧会「Exhibition as media」。9回目となる今回は、2003年に地域プロジェクトで『湊川新開地ガイドブック』 を編集した井上明彦と、遊びを通して風景や土地を知る「フィールド・プレイ」により制作を行うヒロスムが、会場の所在地である「新開地」をテーマにした展覧会を開催します。

《パイプサーフィン》2010年
《パイプサーフィン》2010年

新開地は明治後期に旧湊川を埋め立てて新たに出来た場所ですが、そもそも「地が新しく開く」とはどういうことでしょうか。井上とヒロスムは、新開地の歴史、『創世記』のノアの箱舟、太平洋上の西之島など様々な事例を引き合いに出して、新たな土地が出現する瞬間を体感できるような空間を作り出します。

2月25日(木)〜3月6日(日)
展覧会情報はこちら

 

感性直撃型のアート作品を大盤ふるまい
『アール・ブリュット☆アート☆日本3』
@ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、ほか(滋賀県近江八幡市)

滋賀県近江八幡市の歴史ある旧市街地を舞台に、アール・ブリュット(正規の美術教育を受けていない人が、既存の芸術の影響を受けずに自発的に制作するアート)の世界を紹介する展覧会。

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石野啓祐(1987〜)「女の子」2008〜2009年 撮影/大西暢夫

3回目の今年は、日本のアール・ブリュット作品をはじめ、グギング芸術家の家(オーストリア)とメンタルケア美術館(スウェーデン)の作品を加えた約350点が見られます。計7カ所の会場は、古民家、旧郵便局、ミュージアムなど変化に富んでおり、アール・ブリュットと古い街並みを同時に体験できるのも大きな魅力。周囲には会場以外にも素晴らしい建築や、それらを再利用したショップ、飲食店が立ち並んでいます。丸1日かけてアートと街を楽しみましょう。

2月20日(土)〜3月21日(休・月)
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