元ブルーハーツ梶原徹也、和太鼓との関係

「梶原徹也、脱力奏法への目覚め」
──先ほど「もともとパワーヒッターだった」とおっしゃいましたが、確かに梶原さんといえば力強くスティックを振る印象が強いです。脱力奏法に移られたのは?
梶原:我流のスタイルでやってて、30歳前後の時にかなりひどいぎっくり腰をやったんですね。練習して頑張れば、なんでも克服できるもんだと思ってたんですけど、その時、無理にも限度があるって・・・(笑)。そこで、ドラマーのそうる透さんに個人レッスンを受けに行ったら「おまえはわかってない」と。「親の敵じゃないんだから、アコースティック楽器としていい音を鳴らすのが音楽だろう。良い音が鳴るちょうど良い強さ、スピード、場所があるんだから、それを追求しなさい」と音楽的にダイナミクスを出せるようにって、脱力奏法を教えてもらいました。

自分の中で体を壊して価値観が変わって、透さんからのそんなメッセージが自分の中にすんなり入って。昔だったらロックだから、パンクだから、人に教えてもらうもんじゃないぜって感じだったんですけど、我流はここまでだなって思って。もう一度基本から音楽とドラムと向き合っていく、プラスアルファ自分のカラーをさらに良いものにしていけたらなと学んでました。
──ビートが突き進むようなリズムを刻む梶原さんのスタイルは、和太鼓と一緒にプレイすると非常に相性の良い印象があります。
梶原:自分にも和太鼓と合うんじゃないかと思っていて、それを確認できたのがレナード衛藤さんとコラボした時。「屋台囃子」とか鼓童さんの名曲を一緒にやって、フレーズをドラムでコピーしたんですよ。それから和太鼓のフレーズやリズムのとりかたに興味を持って。お互いに相性がよかったんじゃないかなって、私は実感してるんですけどね。
「和太鼓集団から生まれたパワードラマー」
──今回の公演『混沌』では、そんな梶原さんサポートのもとドラムセットが活躍します。
小田:鼓童の単体の舞台でドラムがステージに上げるのは初めて。それも3台(笑)
坂本:繊細な話ばかりしてますけど、いざ始めてみると、玉三郎さんから「ドラム、もっと大きい音が出ないの」って。シンバルをもっと連打とか、立ち上がるくらい打つとか、息が切れちゃうくらいドラムを叩く。

──脱力奏法って、実際は小さい音をコントロールするだけじゃなく、力が抜けてるぶん雑味が取れて、抜けの良い大きい音が出せますよね。やっぱり表現の幅という意味でも、マックスの音に求められるレベルも違うと。
梶原:3人のすごいところが、“ドッカーン”ていくシーンで、ドラムっていうのを超えて、和太鼓で“ドッカーン”と行くのと同じくらい“ドッカーン”っていってて。いやもうOK!って。本質ですよね。表現活動というか、アートの。それが出てれば、道具って言うのは関係ないじゃないですか。そこに行った。ばっちり。本当にあれは嬉しかった。
──練習の初めのうちは混沌としていた?
梶原:細かいこと言うと“足”なんですよね。雅幸くんはドラム経験があるんで、あと2人それぞれのキャラを決めて、佑太くんは“ワールドミュージックっぽいやつ”、洋介さんは“8ビートで猪突猛進で走る”みたいに、それに対応するような足のプレイですよね。整理してあげたら5段階ぐらいレベルが上がって、才能ある人たちなんだなって。
──曲作りやフレーズに関しては?
小田:ソロやアンサンブルも全部作ってもらいました。
梶原:和太鼓だとどんどんフレーズが展開していくじゃないですか。でもドラムだとグルーブのループでハイになる。この気持ちいいのをどれだけ作れるかって違いがあるんですけど。彼らはどんどん変えたがるんで、大まかな流れをアドバイスした感じですね。
坂本:そして全部新曲。でももう曲じゃないですよね。流れだけ。曲名ってありましたっけ?
小田:僕のドラムソロに「コントン」て名前がついてましたよ(笑)

──梶原さんはステージに上がられませんが、ステージ袖で見られる感じですか?
梶原:何カ所か行かせてもらいますが、初日ドキドキでしょうね。
──最後に抱負をお聞かせください。
坂本:昔からドラムをやってますが、バスドラのビーターが曲がるとか、シンバルのネジが飛ぶとか、ドラムが揺れてるとか、そんな経験初めてで、すごいなと。先に繊細な話してなんですけど、今まで出したことのないようなパワーで叩いてるんだなって。ドラムが舞台に出てきた瞬間に違和感でなく、キターッっていう華やかさ、豪華さに、ど派手にやっていきたいと思います。
梶原:この人たちのすごいのは、バスドラの打面が溶けちゃってペダルが返ってこない。ビーターが折れたとか、チェーンが切れたとかは聞きますが、ヘッドが溶けたって聞いたことがない。ビックリしたなぁ。とにかくとっても楽しいステージです。それだけは伝えておきたい。盛り上がれる。ライブと同じようにエネルギーの発散が伝わってくるので、楽しんでもらって、元気になって帰ってもらえると思います。
写真/岡本隆史(インタビューカットを除く)

Profile
梶原徹也(かじわら・てつや)
1963年9月26日生まれ、福岡県出身。1986年にTHE BLUE HEARTS加入、1995年の解散までその屋台骨を支える。現在は、バリアフリー・ロックバンドのサルサガムテープなどで演奏活動を続ける傍ら、フリースクールでの音楽講座などの活動も積極的に行う。今年の春からは小田と2人のユニット・えびす大黒でも活動している
鼓童(こどう)
佐渡を拠点に和太鼓を中心とした活動をおこなう太鼓芸能集団。太く激しい低音の魅力に加え、唄や踊りなど日本の伝統芸能や民俗芸能を取り入れた創作&演奏活動を続け、日本を含む世界47カ国で活動している。2012年より歌舞伎役者・坂東玉三郎が芸術監督
『鼓童 ワン・アース・ツアー2015 ~混沌』
日程:2015年12月5日(土)・6日(日)
会場:NHK大阪ホール(大阪市中央区大手前4-1-20)
『鼓童 ワン・アース・ツアー2015 ~混沌』
梶原徹也
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