獅童、人気絵本を初めて歌舞伎に
2015.7.24 15:36

歌舞伎俳優・中村獅童が、きむらゆういち原作の人気絵本シリーズ『あらしのよるに』を新作歌舞伎として上演する。「子どもから大人まで楽しめる世界観は歌舞伎にぴったり」と意気込む獅童に、その思いを聞いた。

中村獅童
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嵐の夜に出会ったオオカミのガブとヤギのメイ。2匹は”食うものと食われるもの”という関係性を超えた友情を育んでいく。獅童はEテレ『てれび絵本』で朗読したのをきっかけに作品に惚れ込み、大ヒットしたアニメ映画版(2005年公開)でもガブの声を担当している。

「初めて読んだ時からグッとくるものがありました。友情や義理人情、日本人ならではの感情も盛り込まれている。オオカミとヤギの友情というのは現実的にはあり得ないけど、そうと分かっていても感動します。亡くなった母の大好きな作品を、母が生まれた京都にある南座で上演できるのも感慨深いです」。

『あらしのよるに』
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現代の童話が原作というのも、全キャラクターが動物というのも歌舞伎としては初の試みとか。でも獅童にとってこの新作は必然だった。「キツネが人間に化ける『義経千本桜』の狐忠信もそうですが、歌舞伎はファンタジーであり童話と共通する。オオカミとヤギの群舞や、アクロバティックな立ち回り、義太夫の迫力ある”音楽”など、歌舞伎の演出法をフルに活用したいです」。

獅童が演じるのは江戸っ子気質の男らしいガブ。「動物の役だけど着ぐるみは着ません(笑)。歌舞伎ならではの伝統をベースに擬人化したい。新たにお姫様的なオリジナル・キャラクターも考えています。例えば酒を酌み交わすシーンや御殿が登場しても面白いと思う。オリジナルな物語も加えて、舞台設定を広げたいです」。次々と色んな構想が浮かんでいるようだ。

今年は市川海老蔵と企画した六本木歌舞伎『地球投五郎宇宙荒事』(詳しくはこちら)も上演し、新作歌舞伎への出演が続く。「30歳で映画『ピンポン』に出演してから約10年。歌舞伎以外のことにもチャレンジしてきて得たものを、これからは歌舞伎に返していかなければと思っています」。「歌舞伎の精神はロック」と言い切る獅童ならではの、若い人も惹きつける歌舞伎をその手で生み出す。

取材・文/小野寺亜紀

九月花形歌舞伎『あらしのよるに』

日時:9月3日(木)〜26日(土)・11:00/16:00(18日のみ18:00)〜
出演:中村獅童、市川月乃助、尾上松也、中村梅枝、中村萬太郎
原作:きむらゆういち 脚本:今井豊茂 演出:藤間勘十郎
会場:京都四條 南座
料金:一等12,000円、二等6,000円、三等4,000円、特別席13,000円
電話:075-561-1155(南座)
URL:http://www.shochiku.co.jp/play/minamiza

  
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