ありえない!? 野村萬斎企画の大狂言会

2015.2.2 18:33

和泉流野村家の狂言師・野村萬斎

(写真2枚)

和泉流野村家の狂言師・野村萬斎。彼自身が企画を進め「ありえないんじゃないか、というほどのメンバーと曲目(※狂言では演目を”曲”と呼ぶ)が並んだ」と胸を張る『祝祭大狂言会 2015』が開催される。それに先立ち、野村萬斎の会見が会場である「フェスティバルホール」(大阪市北区)で行われた。

今回の曲目の1つ『靱猿』は、大名が猿曳に、猿の皮を差し出すよう迫ったことから起こる騒動を描く。「三世代の狂言師がそろわないとなかなか見られない、おめでたい曲。愁嘆場もあり、最後にはどんでん返しもありで、トップを飾るのにふさわしい話です」と萬斎。今回は野村家とは猿の動きがひと味違うという、京都の大蔵流茂山家が演じる。

関西での上演は非常に珍しいという2本目の『川上』は、狂言の中では異色の夫婦ドラマ。「離婚や宗教などの問題が凝縮されていて、狂言の演劇的可能性をこれだけ裏付ける作品はない。主人公の盲目の男は父(野村万作/人間国宝)が演じますが、一種解脱した、俗なる私たちには太刀打ちできない感じがある。狂言の奥深さを堪能できる名作です」

そして野村家のお家芸である大曲『歌仙』は、「野村家では大切にしている曲。とはいえ内容は、歌詠みサークル内のマドンナをめぐる争い・・・という感じでしょうか。恋のさや当てやチャンバラもある夢物語を、フェスティバルホールならではの演出と舞台設定で、スペクタクルにやるつもりです」

「鏡をのぞくような感覚になれること」と狂言の魅力を語る萬斎
「鏡をのぞくような感覚になれること」と狂言の魅力を語る萬斎

狂言の魅力について、萬斎は「鏡をのぞくような感覚になれること」だという。「狂言の登場人物は、自分自身を写す鏡のような人が多い。そんな人たちを客観的に見て、その滑稽さを笑い飛ばせることにカタルシスや救いがあるんです。堅苦しく考えず、鏡をのぞきに行くようなものだと思って来ていただけるとありがたいです」

野村家と茂山家以外にも、名古屋の和泉流野村家も参加するため、三都市の狂言の名門がそろい踏みという形に。この豪華出演者が選りすぐりの曲を演じるとなれば、見応えのある舞台になることは確実だ。

取材・文・写真/吉永美和子

「祝祭大狂言会 2015」

出演:野村万作、野村萬斎、茂山千五郎、茂山七五三、野村又三郎、ほか
日時:4月25日(土)・15:00~
場所:フェスティバルホール
電話:06-6231-2221(フェスティバルホール)

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