日本人の美意識に迫る、美術&工芸品展

桐竹に文字文様小袖 江戸時代中期 18世紀 松坂屋コレクション、梅樹に文字文様小袖 江戸時代中期 18世紀 国立歴史民俗博物館、扇に文字文様小袖裂貼付屏風 江戸時代中期 17世紀 国立歴史民俗博物館
詩歌や物語などの文芸作品からインスピレーションを受けた美術工芸品は、西洋にも東洋にもありますが、日本ではそれらの関係がとりわけ密接でした。「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)で開催中の『うた・ものがたりのデザイン』展は、平安〜江戸時代にかけての、装束、蒔絵手箱、硯箱、料紙下絵、刀の鞘など約140点もの作品を通して、日本の美術工芸と文芸の関係を探るものです。
会場に入ると、色鮮やかな装束や細密な装飾を施した漆器の数々、美しい絵巻物、扇面画などに目が奪われるでしょう。扇面冊子に法華経の経文と共に描かれた平安時代の貴公子と姫君は、『源氏物語』の光源氏と若紫だと言われています。きらびやかな蒔絵は『和漢朗詠集』や『古今和歌集』などにちなんでおり、植物や情景、文字などの意匠が大胆に施された装束もまた然りです。
昔の教養ある人は、これらの図柄を見ただけで元ネタが分かり、たちどころに持ち主のセンスを判断しました。これぞまさしく、芸術と日常が融合した生活。なんて格好いいのでしょう。現代の我々も憧れを禁じ得ません。

こうした作品が並ぶ本展は、見る人の文化レベルを試す大人風味の展覧会です。では、古典の素養が無い人は出かけても無駄なのでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。展示品はどれもこれもがただひたすらに美しく、見る者全てに眼福を与えてくれるます。ただ、知識があるに越したことはありません。本展を機に、「もう一度古典を勉強しようかな」と思う人が増えるかも。古典音痴の筆者ですらそう思いました。
取材・文/小吹隆文(美術ライター)
「うた・ものがたりのデザイン」
期間:2014年10月28日(火)~12月7日(日)
時間:9:30~17:00(入館は〜16:30) 月曜休(11/3・11/24開館、11/4・11/25休館)
会場:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
料金:一般1,300円、大高生1,100円、中学生以下無料
※障がい者手帳をお持ちの方は無料(要証明)
電話:06-6771-4874
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