どうする松下洸平…遅刻で信長激おこ、徳川家康が逃げられない理由【豊臣兄弟】

2時間前

『豊臣兄弟!』第15回より。織田信長に威圧され、腰を抜かす徳川家康(松下洸平)(C)NHK

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豊臣秀吉の名参謀と言われた弟・豊臣秀長(小一郎)のサクセスストーリーを、仲野太賀主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。

4月19日放送の第15回「姉川大合戦」では、織田・徳川連合軍と、浅井・朝倉連合軍が激突した「姉川の戦い」が展開された。信長勝利のキーマンとなったのは、実は秀吉などの信長家臣団ではなく、松下洸平演じる徳川家康! その辺りを振り返っていこう。


■ 信長に怒られ、家康は雲隠れ…第15回あらすじ

織田信長(小栗旬)は、自分を裏切った者の末路は地獄だということを知らしめるため、浅井長政(中島歩)と一戦を交えることを決断。

藤吉郎(豊臣秀吉/池松壮亮)や柴田勝家(山口馬木也)は、長政に嫁いだ信長の妹・市(宮﨑あおい)に織田家に戻るよう説得する密書を送りつづけるが、市は長政とともにいることを選ぶ。また、信長は同盟関係にある徳川家康(松下洸平)にも、北近江への出陣を要請していた。

『豊臣兄弟!』第15回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第15回より。織田家の家臣たちに取り囲まれる徳川家康(松下洸平)(C)NHK

信長に不満を持つ家康は、わざと遅れて到着するが、それを信長に見透かされ、ひそかにある作戦を命じられる。家康は家臣の石川数正(迫田孝也)に「わしは姿を消す。織田信長に殺される」と伝えて雲隠れし、家康が逃げたことは織田家の家臣たちにも伝わった。

姉川での戦いは、地の利もあって浅井軍が優勢となるが、家康が率いる徳川軍が現れて側面を奇襲すると、浅井軍は総崩れとなり、織田軍は勝利した。

■ 遅刻したけど…信長が勝たないと困る、徳川家康

秀長と秀吉の兄弟が、河原に広がる大量の死体を見て「ここは地獄じゃ・・・」と漏らすという、非常に印象深いラストとなった第15回。

織田信長の人生の中でも、一つの大きな山場となった「姉川の戦い」だが、これはまだ地獄の入口に過ぎなかったと判明するのは、ドラマがもう少し進んでからとなるだろう。地獄ではあったけど、豊臣兄弟にとっては出世の入口が見え始めた戦でもあった姉川の戦いを、少し詳しく見ていこう。

『豊臣兄弟!』第15回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第15回より。前田利家(写真左、大東駿介)ら織田家の家臣たちに取り囲まれ、慌てる徳川家康(写真右、松下洸平)(C)NHK

今回の戦いの勝敗を握ったのは、ドラマでは信長にめっちゃ詰められてアワアワ状態となっていた徳川家康だ。家康がちょっと遅れて到着したのは史実通りだが、それが意図的だったかどうかは不明。ただ、家康が参陣を断ったり、浅井に付いたりするのはちょっと考えにくい状況ではあった。

ドラマでも名前が出ていたけど、徳川の背後には常に武田信玄(高嶋政伸)という油断できない存在がいて、信長が一緒に睨みを効かせてくれてないと、なんとも心もとない状態だったのは確かなのだ。

『豊臣兄弟!』第15回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第15回より。織田信長(写真左、小栗旬)に詰め寄られる徳川家康(写真右、松下洸平)(C)NHK

また、信長が浅井に敗れて、岐阜・尾張エリアが空白になってしまうと、そこをめぐって武田だけでなく、朝倉を始めとする周辺大名も陣取り合戦に参加して、かなりカオスな状態となったに違いない。

2023年の『どうする家康』では、個人的な信長への苦手意識も込みで「浅井に着きたい」と本音を漏らす家康に対して、重臣たちが「すっっっっっごく面倒なことになるけど、いいの?」と家康を説き伏せる場面があったが、今思うと実に非常に明確に、家康の置かれている状況を説明するシーンとなっていた。

■ 「姉川の戦い」勝ったのに、なぜ滅亡しない?

もともと戦上手ではある家康は、いざ参戦するとさすがの活躍を見せる。姉川の戦いの前半は、信長にとってはアウェーな場所というのもあり、浅井軍は信長の本陣まであと一歩のところまで迫った。

しかし、浅井軍がスクラムでがっしり固まっているのではなく、隊列が線上に伸びたような状態になったところを、徳川軍が横から奇襲をかけて浅井軍をバラバラにしてしまい、そこから信長軍が逆転を果たしたわけだ。いろんな意味で、勝利のためには家康が不可欠な戦いだった。

『豊臣兄弟!』第15回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第15回より。浅井軍に奇襲をかける徳川家康(写真中央、松下洸平)(C)NHK

そして『豊臣兄弟!』では、これはすべて信長の策略で、家康は信長に脅迫されたその勢いで作戦を呑み、石川数正を囮にすることで味方の目もくらまして、奇襲を成功させる・・・という流れになっていた。

これによって小栗旬・信長のカリスマ性と、松下洸平・家康の適応力の高さ&切り替えの早さを強調し、さらに数正の出奔ゲージを貯める役割も果たしたのだから、脚本・八津弘幸の細かい工夫には本当に感心する。

『豊臣兄弟!』第10回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第10回より。越前の戦国大名・朝倉義景(鶴見辰吾)(C)NHK

ここで信長が浅井を叩いたのに、なぜ滅亡まで追い詰められなかったのか? それは大将・長政の生還&朝倉はそもそも当主の朝倉義景(鶴見辰吾)が動いてなかったのが大きい。やはり一族を「滅亡させた」と言えるのは、本拠地となる城と大将をそろって潰してから。

信長は姉川では勝てたけど、長政のいる小谷城に攻め込むまでの力は残ってなかったので、復活の芽がまだまだある状態で戦を終わらせることになってしまった。ここから長政は、想像以上に信長を苦しめることになるので、期待しておこう。

■ 明智光秀のケガの裏に“戦国豆知識”

そして、ドラマではサラッと流されてしまったけど、戦国豆知識としてちょっと触れておきたいのが「信長が岐阜に帰る途中に銃撃に遭って、明智光秀(要潤)が負傷した」という話。これは状況的に、日本初? の銃撃による暗殺未遂と言われる、杉谷善住坊の事件の可能性が大きいからだ。

『豊臣兄弟!』第15回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第15回より。信長をかばって怪我をした明智光秀(要潤)(C)NHK

金ヶ崎の戦いのあと、信長が千種街道(滋賀と三重の県境辺り)から岐阜に帰っているときに、杉谷善住坊という素性不明の男から2発の銃撃を受けたものの、かすり傷で済んだというエピソードである。

ここに光秀が帯同していて、信長をかばって怪我をしたという公式な記録はないけれど、歴史に詳しい人だったら「ああ、あれか・・・」とニヤッとしたに違いない。

そういった歴史的な出来事に、光秀が巻き込まれていた可能性がなくもないという発見もあるし、そもそも善住坊の動機自体が今も不明(信長が推察したように、近江の六角氏に依頼されたという説も)なので、もしかしたら光秀が信長から信頼を得られるよう、自作自演のために雇ったのでは・・・と考えられなくもないが、果たして?

ちなみにこの杉谷善住坊、なんでこんなに有名な存在になったかというと、ここから3年間の逃亡の末に捕まり、生き埋めのまま竹製のノコギリで少しずつ首を切っていく、当時もっとも残虐な刑罰「鋸引きの刑」に処せられたことが、宣教師のルイス・フロイスの日誌に記されているからだ。

特に1978年の大河ドラマ『黄金の日日』では、そのシーンがなかなか忠実に再現されて、多くの子どもたちにトラウマを与えたという。

この善住坊の話はこのままスルーされるのか、それとも忘れた頃に再浮上するのかはまだわからないけど、今回の遠藤直経(伊礼彼方)の単独討ち入りなど、「戦国好きにとっては燃えるけど、大河ドラマでは案外黙殺されがちなエピソード」がきちんと拾われていってるのが、『豊臣兄弟!』絶好調の秘訣の一つかもしれない。

もしかしたら歴史好き待望の、あんな逸話やこんな裏話も、これからヴィジュアル化されるかも?

大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。4月26日放送の第16回「覚悟の比叡山」では、藤吉郎が浅井家の忠臣・宮部継潤(ドンペイ)の調略に奔走するところと、織田信長の最大の悪行と呼ばれる「比叡山の焼き討ち」が描かれる。

文/吉永美和子


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