「56年間豊中の豊かな自然とともに…」千里阪急ホテル閉館…最後の瞬間、約200人が見守る

3時間前

千里阪急ホテル、従業員がズラリ並んで玄関前で最後のご挨拶(千里阪急ホテル2026年3月31日11時30分ごろ )

(写真17枚)

『大阪万博』が開催された1970年3月1日に開業した「千里阪急ホテル」(豊中市)が、2026年3月31日、56年の歴史に幕を下ろした。歴史ある同ホテルが迎えた最後の朝は、チェックアウトする宿泊客を、館内各セクションスタッフがズラリと並んでお見送り。宿泊客以外にも、ホテルのロビーや玄関前などに約200人ほどが詰めかけ、最後の瞬間を見守った。

ホテル前には、大勢の人たちが詰めかけた(千里阪急ホテル2026年3月31日11時30分ごろ )

スタッフのひとりは「天気予報では嵐の予報。誰もそんな日にここには来ないのでは、と思っていたのに、こんなに多くのみなさまに見守っていただいて、ホテルが愛されてきたことを改めて実感しました。本当にうれしいです」と話していた。

開業時のポスターには、「万国博会場へ3分」「大阪で初めてプールのあるホテル」といった文言も

◆ 多くの人たちから愛された、緑あふれる美しいホテルが惜しまれつつ閉館

窓のアーチが美しい中庭からの景色。ホテルを訪れると植栽や花壇の手入れを熱心に行うスタッフの姿をよくみかけた

同ホテルは「倉敷アイビースクエア」(岡山県倉敷市)などを設計した、浦辺鎮太郎氏が設計。レトロブームの昨今、千里中央駅前の立地にありながら、「緑に囲まれた美しいクラシックホテル」として、年配の人たちからは懐かしく、若者たちからは、逆に新しいと評価が高まっていた。

千里阪急ホテル
ステンドグラスの美しい、アイヴィーチャペル 千里阪急ホテル
中庭を望むサンルームのようなガーデンラウンジ

特に閉館が迫った2月、3月は、常連客らに加え、唯一無二の建物や設えを楽しみたいと、地元住民や建築愛好家など多くの人たちが訪れ、連日賑わいをみせた。また、最終日の宿泊はほぼ満室、レストランなども予約で満席が続いていた。

鳥と木のモチーフのレリーフが館内各所に
レンガのひとつひとつまでが愛らしい。それも、もう目にすることができない

最終日に同館を訪れた来館者は「近所に住んでいるので、よく前を通っていた。閉館までに『さくららうんじ』に行きたくて、予約サイトを見ていたけど満席続きでいけなかったのが残念」と話していた。

外から見て特徴的なアーチの部分に『さくららうんじ』のソファー席が

31日の朝はロビーに並ぶスタッフに来館者らが労いの声をかけたり、談笑する姿が多数あり、中には思い出を語り涙する人も。それぞれの来館者たちが、ホテルでの最後の時間を大切にすごしていた。

千里阪急
各セクションスタッフが一堂に会し、最後の宿泊客を見送った(千里阪急ホテル2026年3月31日11時ごろ )

◆ 「ありがとう!」の声と拍手…愛されたホテル最後を見届ける多くの人が涙

31日11時半ごろ、最後の宿泊客を見送ると館内からスタッフたちが続々と登場し、正面玄関前に整列。

支配人の挨拶が終わると「ありがとうございました」と深く(千里阪急ホテル2026年3月31日11時30分ごろ )

支配人が駆け付けたホテルファンや地元住民たちに「これまで豊中の豊かな自然の中で営業を続けてきました。閉館を発表後、本当に多くの方が来館してくださいました。みなさんの笑顔が励みとなっていました」と挨拶。

来館者からの「ありがとう!」の声に手を振って応えるスタッフも(千里阪急ホテル2026年3月31日11時30分ごろ )

そして、深く長いお辞儀をすると、大きな拍手に包まれ、その歴史に幕を下ろした。涙を流すスタッフや来館者も多く、千里阪急ホテルが、それだけ深く愛されてきたことを物語っていた。

セレモニーが終了すると、閉館のお知らせが掲出された(千里阪急ホテル2026年3月31日12時ごろ )

セレモニー終了後も、宿泊客、元従業員、結婚式を挙げた人、地元住民など、多くの人がそれぞれの思いを胸に、ホテル外観を眺めたり、写真を撮ったり、離れがたそうに過ごす人たちの姿が絶えなかった。

千里阪急
千里阪急ホテルで働いていた元従業員も大勢詰めかけ、最後の瞬間を見守っていた(千里阪急ホテル2026年3月31日12時ごろ )

記念撮影をしていた長崎、島根など各地から集まったという女性グループに話を聞いた。「ずいぶん前だけど、このホテルで働いていました。当時は、集団就職で同期が40人もいて。その中には今もこのホテルで頑張っている仲間もいるし、別の道に進んだ仲間もいる。今はバラバラになってしまったけど、本当にここに来ると懐かしい。こうして同期たちと一緒に最終日に戻ってこれて良かった」と、仲間とともにホテルでの思い出を振り返った。

看板なども懐かしいレトロな雰囲気を残してきた(千里阪急ホテル2026年3月31日12時ごろ )

現在千里中央駅前エリアは、「セルシー」の解体工事が進み、再開発の真っ最中。同ホテルの跡地も再開発エリアに含まれる。千里中央の風景は、さらに大きく変貌を遂げることとなる。

取材・文・撮影/Lmaga.jp編集部

30日まで北大阪急行のヘッドマークとして活躍した本物の展示も館内で最後に行われた
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