もうすぐ見納め…「北急」初の他社ヘッドマーク、3月閉館千里阪急ホテルと異例コラボ実現

2時間前

「56年間ありがとう」のヘッドマークは3月30日まで 画像提供:北大阪急行電鉄

(写真13枚)

「北大阪急行電鉄」(豊中市)は、千里中央駅が最寄りとなる「千里阪急ホテル」(豊中市)の営業終了に伴い、「56年間ありがとう」の特別なヘッドマークを9005編成に掲出し、運行中だ。同電鉄で初となる他社のヘッドマーク掲出が実現した背景を取材した。

北急
車内中吊りにも、千里阪急ホテルの景色などがズラリ。これにはホテルスタッフも「泣きそうになります」と大感動 画像提供:北大阪急行電鉄

「北急」と「千里阪急ホテル」は、ともに1970年の『大阪万博』の開催時に開業したという共通点を持つ。今回の異例のヘッドマーク掲出には、これまでおこなった3つの周年コラボレーションイベントの基盤があって実現したことだった。

「56年間ありがとう」ヘッドマークにデザインされたのは、この景色。左から「千里阪急ホテル」の荒木さん、高田さん、北急の伊東さん

ヘッドマークとは、列車の先頭車両に掲げられる、イラストや文字などが描かれた看板のこと。特急列車の愛称がデザインされたもののほか、季節やイベント、周年記念など、各鉄道会社が特別なタイミングで用意するものもあり、鉄道ファンらからも注目を集めている。「北大阪急行電鉄」(以下:北急)では、昨年「北急タイムトリッププロジェクト」として、『大阪・関西万博』開催を記念した「万博ラッピング列車」を運行し、特別なヘッドマークを掲出した。

画像提供:北大阪急行電鉄
万博ラッピング列車、箕面萱野方面の車両は「大阪万博」で実際に運行していた2000 形車両のデザインをラッピングで再現。なかもず方面の車両は「大阪・関西万博」をモチーフに、公式キャラクター「ミャクミャク」も 画像提供:北大阪急行電鉄

◆ 列車で結婚式!?「縁」をつないだコラボレーションの軌跡

この2社の最初のコラボレーションイベントは、2020年3月に、互いの開業50周年を記念しておこなわれた『ウエディングトレイン~線路は続くよ未来へと~』までさかのぼる。このイベントは、ダイヤを調節して用意した特別な装飾の貸切列車内での挙式を、1組にプレゼントするというものだった。

『ウエディングトレイン~線路は続くよ未来へと~』結婚式でのワンシーン 画像提供:千里阪急ホテル

応募者の中から選ばれた新郎新婦とさまざまな調整と準備を進めた。「車内でどうやって挙式を進行するか、ゲストの導線、ウエディングにふさわしい装飾など、はじめての取り組みは試行錯誤の連続となりましたが、新郎新婦さまも、招待されたゲストの皆さまにも、ものすごく喜んでいただきました」とホテル担当の荒木さんが話すと、北急の伊東さんも「昨年、当時の様子が紹介された新聞をお送りするために結婚されたおふたりに連絡をとったところ、『ありがとうございます』とすぐに返事が来て、『子どもが産まれました』ということ。すぐにホテルさんにも報告しました」と振り返る。

◆ 謎解き、トンネル探検…ユニークなコラボレーションが続く

北急の伊東さんが持つのは『未来へ向かう時空列車』のリーフレット「千里阪急ホテル」

同じ年の10月には、「北急」50周年と「大阪モノレール」30周年を記念した謎解きイベント『未来へ向かう時空列車』を開催。その際は、ホテル西館の壁面の装飾についての問題を出題、という形で再びコラボレーションが実現した。さらに、「謎解きが楽しめるお楽しみ宿泊プラン」を用意した他、「宿泊のお客様に楽しんでいただくオプション」として謎解きキットをフロントにて販売するなどの協力も。

竹原さんのお気に入り外観にも細かいこだわりが…取材日には桜が咲いていた
ホテルの壁面に謎が隠されていた…?「千里阪急ホテル」

謎解きには約3000名が参加。ちょうど結婚式真っ最中に、参列者とともに新郎新婦に拍手を送りながら、ホテルの中庭で謎解きに挑戦する、という珍しい場面もあったと言う。謎解き終了後には、ホテル含む千里中央の街が描かれた豪華なポップアップカードなど、記念品を参加者にをプレゼントしたと、伊東さんが今回の取材にあたり持参してくれた。

今となっては大変貴重なポップアップカードなど、この企画限りの記念品「千里阪急ホテル」

次に、2025年には、箕面萱野駅まで延伸された新しいトンネルと既存トンネルとの接続部などを、終電後に歩いて見学し、ホテルに宿泊する開業55周年のスペシャル企画『ミッドナイトトンネルツアー』を開催。チケットは発売から18分で完売するという人気ぶりで、権利を得た30名が、伊東さんら北急社員の楽しい解説を聞きながら終電後の線路を歩いた。

『ミッドナイトトンネルツアー』参加者で記念撮影。場所は、千里中央駅と箕面船場阪大前駅の間(撮影5月16日)

普段立ち入ることのできないエリアを探索した参加者たちは、興奮冷めやらぬままツアー後、ホテルに宿泊。ゆっくり休んだ翌日には、トンネルと電車がデザインされたこの日限りの特製デザートプレートが登場するランチバイキングを館内の「シャガール」で楽しんだ。

『ミッドナイトトンネルツアー』は「千里阪急ホテル」で集合、解散(撮影5月17日)

「ツアーには、ホテルのファンの方と、鉄道ファンの方が半分くらいの割合でいらっしった印象です。もともとこの辺りにお住まいで転居した方が、ホテルがなくなると聞き、泊まれるなら!と参加されたとお話されていましたね。次の日のホテル内レストラン、シャガールでのランチで顔を合わせられて、『昨晩の体験は夢じゃなかったんだ』と盛り上がり、一体感が生まれていました」と、これもまた「縁」だと喜ぶ関係者たちだった。

◆ 感謝最後のコラボレーションは、ホテル側からの熱烈オファーから

そして2026年3月30日の宿泊利用を最後にホテルの営業が終了することに伴い、現在開催中なのが『フィナーレ 縁あれば千里〜56年間ありがとう〜』。このイベントにあわせ、ホテル側から今回のヘッドマークの掲出について「北急」に打診した。

「千里阪急ホテル」の中庭にて。ヘッドマークのデザインにもこだわりがつまっている

「正直、ダメ元でご相談だけでもしてみようかなと連絡させていただきましたが、『お手伝いできることがあったらさせていただきたい』と言っていただいて、本当に嬉しかった」と荒木さん。ヘッドマークには、「2026年3月閉館 56年間ありがとう 千里阪急ホテル」の文字と、オレンジ色の屋根の1期のホテル棟とプールが描かれている。

「千里阪急ホテル」
今回のヘッドマークを自ら張る作業を担当した、という伊東さんがその工程を再現「千里阪急ホテル」

伊東さんによると、「北急」では他社のヘッドマークを掲出するのは初めてとのこと。いつもとは異なるヘッドマークを掲出しているということで、「1編成しかないにも関わらず、撮影可能な場所で電車を待って撮影してくれる人も多いですし、注目度が高く嬉しいです」と笑顔で話した。

『フィナーレ 縁あれば千里〜56年間ありがとう〜』「千里阪急ホテル」

「千里阪急ホテル」の「56年間ありがとう」のヘッドマークを掲出した電車は、3月30日まで運行する。現在ホテル館内では、『フィナーレ 縁あれば千里〜56年間ありがとう〜』を開催中。詳細は公式サイトで確認を。

取材・文・写真/太田浩子

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