宝塚花組の永久輝せあ、ゲーテは「星空美咲がいなければ、できなかった」

左から、宝塚歌劇団演出家の植田景子氏、星空美咲、永久輝せあ、ステージエンターテインメント社アーティスティック・プロダクション・ディレクターのシモーネ・リンホーフ氏、オーケストレーションのセバスチャン・デ・ドメニコ氏
宝塚歌劇団にとって初のドイツミュージカルとなる花組公演、『A New German Musical「Goethe(ゲーテ)!」』(「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で12月11日まで上演中)の主演陣らによる取材会が、大阪公演初日前日におこなわれた。
登壇したのは、花組トップスター・永久輝せあ(とわき・せあ)、花組トップ娘役・星空美咲(ほしぞら・みさき)、演出家の植田景子氏、ドイツのオリジナルスタッフ、シモーネ・リンホーフ氏、セバスチャン・デ・ドメニコ氏。作品やそれぞれのパフォーマンスについて語った。
本作は2021年夏に初演、ドイツミュージカルシアター賞3部門を受賞した作品。名作『若きウェルテルの悩み』誕生にまつわる、ドイツの文豪・ゲーテの情熱的な恋や、作家としての苦悩などが、ほぼ全編歌に乗せて描かれている。
永久輝が若き日のゲーテを、星空がゲーテと恋に落ちながら現実との狭間で思い悩むロッテを、高い歌唱力を駆使して熱演。

11月の東京公演を経て、大阪の舞台稽古にのぞんだ永久輝は、「お稽古当初は膨大なナンバーや難しい譜面、味わったことがないぐらい大きな作品の世界に戸惑いました。(今は)ゲーテという人が味わった感情を、私の体をもって体感できる幸せを感じています」と役との一体感を明かし、大阪の観客に向けて「作品をぜひ愛していただきたいです」と笑顔を見せる。
星空は「みんなでひとつのものに向かう思いがあれば、立場や国、いろいろなものが違っても、芸術を通してつながることができるとすごく感じました」と振り返る。
日本語脚本・訳詞・演出を手がけた植田氏も、「国境を超え、素晴らしいキャスト、素晴らしいチームで幕を開けることができて幸せです」とコメント。
オーケストレーションのセバスチャン氏は、女性だけの宝塚歌劇団で「どのような音になるのか想像ができず、音域が半分になるのかと思っていたが、むしろ豊かな作品になり、以前にはなかったような高みにまで上がった」と絶賛。
シモーネ氏も「素晴らしいビジョンでこの物語を日本のお客様に提供してくださり、ありがとうございます。永らく愛される作品でありますように」と敬意を示す。

■永久輝と星空の信頼関係が垣間見えるメッセージ
お互いのパフォーマンスについて質問されると、永久輝は「私は星空のロッテでなかったらできなかったと思うぐらい、彼女のエネルギーなどに自分も引き上げてもらいました」と即答。
心打つ場面については、「2幕の別れの場面。ロッテが絶唱されるのですが、ここまでほとばしる情熱や熱い思いをたぎらせているみさきちゃん(星空)を、今まであまり見たことがなく、ゲーテとしても私としても心揺さぶられます。こういう経験ができて、役者として幸せです」と、大きな想いを告白した。
星空は、「永久輝さんから以前にいただいた大切な言葉が、ゲーテさんの格言と近しかった。今の私にとって永久輝さんもゲーテさんも、生きる力、言葉の力を与えてくださいます。1幕で(ゲーテが)詩を読む場面は、素晴らしい曲を聞くだけでも涙が出るのですが、永久輝さんが演じられるゲーテの口から紡がれる言葉が美しく繊細で、すべての瞬間をギュッと閉じ込めたい。このまま時が止まればいいのに、と思います」と語った。

そんなふたりを微笑ましく見ていた、ドイツ留学経験のある植田氏。「日本とドイツのミュージカル界の状況は結構共通点があります。(ドイツの作品は)普遍的なテーマ、歴史的で文化的なテーマも多い。今後もコラボレーションができたら」と、期待を込めて話した。
本作は12月11日まで上演。7日15時半公演は、全国映画館でのライブビューイングや全編ライブ配信を実施。詳細は公式サイトへ。
取材・文/小野寺亜紀
宝塚歌劇花組 梅田芸術劇場メインホール公演 A New German Musical『Goethe(ゲーテ)!』
日程:2025年12月1日(月)~12月11日(木)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:SS席12500円、S席9000円、A席6000円、B席3000円
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