糸こんにゃくはどうなった? ばけばけ「すべて言い切らない」作劇の妙

『ばけばけ』第44回より。リヨ(北香那)に「ヘブン先生の大好物は糸こんにゃくです」と嘘を教える錦織(吉沢亮)(C)NHK
連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)、今週は第9週「スキップ、ト、ウグイス。」が放送され、トキ(髙石あかり)の前に強烈なライバルが登場した。島根県知事・江藤(佐野史郎)の愛娘で、ヘブン(トミー・バストウ)に思いを寄せるリヨ(北香那)が、自分とヘブンの仲がうまくいくようにトキに頼みにきたのだ。
英語教師として1年の契約で赴任しているヘブンは、いずれ松江を離れる身。江藤は、どのみち娘が悲しむ結果になることを見通して、錦織(吉沢亮)にふたりが恋仲にならないように仕向けることを頼む。
そしてその「ミッション」はやがて、錦織を介してトキにもお鉢が回ってくる。リヨからは「味方になって」と言われ、錦織からは「ふたりがくっつかないようにしてほしい」と頼まれたトキは、板挟みに・・・。
■「ミッション」遂行のために錦織がついた嘘…しかし重箱の蓋は開かない
第44回では、リヨとへブンが松江の名所を訪ねる「ランデブー」に出かけることになった。リヨは、当日持参するお弁当のために、前日にヘブンの好物をトキから聞き出そうとする。
するとその場にいた錦織は「ミッション」遂行のために、ヘブンの大嫌いな糸こんにゃくを大好物だと嘘をつき、リヨに教える。リヨはランデブー当日、はりきって糸こんにゃくを入れたお弁当を用意するようだ。

第45回、かくして迎えた「ランデブー」のお昼時。リヨとヘブンを尾行していた江藤と錦織は、固唾を飲んでふたりの様子を見守る。リヨがお弁当を開けようとするが、ヘブンは食事よりも松江の名所巡りに夢中。結局重箱の蓋が開くことはなかった。
「スカしの美学」というのだろうか、これが実に『ばけばけ』らしい。制作統括の橋爪國臣さんに聞いた。
■ トキはヘブンにもリヨにも嫌な思いをさせたくないと思っている
「あえて最後まで見せない」、寸止めの作劇について橋爪さんは、
「『答えをすべて言ってしまうと面白くない』と言いますか。現場で『もし蓋を開けたらどうなるかな?』とスタッフ間で『if』を予想して盛り上がったりはしたんです。
でも、あのシーンはまだ、トキもヘブンも、それからリヨさえも、答えが出ていない段階。重箱の蓋はその『まだわからないこと』の象徴・・・と言ったらカッコよすぎるかもしれませんが(笑)」と語り、こう続ける。
「『リヨに糸こんにゃくを持たせることで、トキがどういう気持ちになるのか』を見せたいエピソードでした。あそこで蓋を開けて糸こんにゃくを見せてしまえば、おそらくリヨとヘブンが恋仲になることはない。けれど、トキはヘブンにも、そしてリヨにも嫌な思いをさせたくないと思っている。
だから『ベントウ アケルナ』の注意書きを懐に用意はしたものの、結局渡せずじまい。トキの『なぜだか、渡せなかったんだよな・・・』という、無自覚ながらも、ちょっとした心の変化を出せるといいなと思いました」。

■「この気持ち、なんだろう?」曖昧な、一言では言い表せない感情
また、第9週時点でのトキの心情について、「まだヘブンのことが、ことさら気になるわけではないけれど、気にならないわけでもない。好きなのかどうなのかもわからない。でもなぜかドギマギしてしまう。
人間って、自分に素直なときもあるし、矛盾するときもあって。とても曖昧な、一言では言い表せない気持ちを、ふじきさんが台本に書いてくれましたし、髙石さんが見事に表現してくれました。
あの微妙な表情など、さすがでした。『なんかわかんないけど、この気持ち、なんだろう?』という思いが、やがて将来のふたりの関係につながっていく。そんな週になったと思います」と話す橋爪さん。
トキのなかでも「言語化できていない気持ち」が、ヘブンを「ランデブー」に見送ったあと台所の柱で「てっぽう」をするシーンにも表れていた。
■ 酷暑のロケにトミーが「日本の夏はクレイジーだ」
また第45回では、リヨとヘブンを尾行する江藤と錦織のコミカルな芝居が楽しませてくれた。「ランデブー」のロケ撮影の思い出について、橋爪さんは、
「シーンの設定は秋なのでみなさん着込んでいますが、撮影は今年の夏の酷暑のなかで行われ、特にあの日はとても暑かったんです。重要文化財である美しい建物のなかをぐるぐる回りながら(※「松江市庁」のシーンの撮影は、京都府庁旧庁舎本館でおこなわれた)本当に江藤と錦織が尾行しているように撮ったのですが、とにかく全員『暑い』と言っていた記憶が(笑)。トミーも『日本の夏はクレイジーだ』と言っていました」と振りかえった。

暑かったロケ撮影から一変、次週、第10週「トオリ、スガリ。」では松江を未曾有の大寒波が襲い、ヘブンにピンチが訪れる。ゆっくりと近づいていくトキとヘブンの心模様がこの先どう描かれるのか、楽しみだ。
取材・文/佐野華英
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