「3850円駅そば」で逆風「万博」出展経営者らトーク…万博の成果は?

4時間前

『ひょうごEXPO フィナーレ』1部出席者(左から)「六甲バター」マーケティング本部事業開発部長・中尾真範氏、「まねき食品」竹田典高社長、パビリオンアドバイザー・橋爪紳也氏、斎藤元彦兵庫県知事、「ケンミン食品」高村祐輝社長、「トーマス」政次裕也社長、「神戸北野ホテル」山口浩総料理長(10月11日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

(写真11枚)

10月13日に無事閉幕した『大阪・関西万博』。開幕直前まで、今のような盛り上がりが想像つかないほどの「逆風」が吹き荒れていた。そんな中で、大阪はじめ、関西のさまざまな企業が万博への出展を決断し、準備を進めてきた。兵庫の企業経営者たちが「関西パビリオン」のフィナーレイベントで万博を振り返り、それぞれの成果や、今だから明かせるぶっちゃけトークも飛び出した。

(10月11日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)
トークイベントが開催された「関西パビリオン」(10月11日/大阪・関西万博)

■「TikTokで10万回」「コスパ・タイパよりも、圧倒的な体験を…」

閉幕を控えた10月11日に会場内の「関西パビリオン」兵庫県ゾーンのメインホールにて、万博出展や関連プログラムを実施した兵庫県の企業による半年間を振り返る3部制のトークイベント『ひょうごEXPO フィナーレ』を開催。斎藤元彦兵庫県知事、大阪公立大学・橋爪紳也特別教授も参加した。

(10月11日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)
「関西パビリオン」兵庫県ゾーン(10月11日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

第1部の「食品部門」のトークでは、未来へ向けて趣向を凝らしたメニューを販売した企業が集結。姫路の名物・えきそばを高級化して販売した「まねき食品」(姫路市)の竹田典高社長は「気合いを入れ過ぎまして、最初は3850円で話題になり、今とは全く違う逆風でびっくりしたんですけど…中小企業でも最高のものを提供したいという思いを発揮する場をいただき、究極の感謝」とコメント。

万博に携わった兵庫県の企業らによる『ひょうごEXPO フィナーレ』1部の様子
万博に携わった兵庫県の企業らによる『ひょうごEXPO フィナーレ』1部の様子(10月11日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

万博での利点も多く、「神戸養蜂所カフェ」を運営した「トーマス」(神戸市)の政次裕也社長は「蜂蜜はまだ日常の食品ではない面もあるのではとの思いから、スイーツソフトとして紹介し、TikTokで10万回以上も再生されたのは万博ならではの成果」。

小麦アレルギーに対応したグルテンフリーのラーメン店を展開した「ケンミン食品」(神戸市)の高村祐輝社長は「外食で初めてラーメンを食べることができたお子様もいて、そのかけがえのない思い出が未来へ繋がり、多様性のある食生活が広がることを願う」と期待を寄せた。

(9月7日 大阪・関西万博)
「ケンミン食品」が運営「GF RAMEN LAB 」(9月7日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

また、環境負荷を考慮したヴィーガンレストランを出店した「六甲バター」(神戸市)のマーケティング本部事業開発部長・中尾真範氏は今後に向けて「ここに来て大屋根リングを見て、いろいろ体験してみたら、みんなネガティブな事を言っていたのが吹っ飛んだのが万博。コスパやタイパを置き去りにする自分の体での圧倒的な体験を多くの人がした。食も『正しさ』を打ち出すより、まず楽しさ・美味しさで試していただくと、未来がちょっと良くなるのでは」と呼びかけた。

『大阪・関西万博』花火の打ち上げを待つ人びとの様子(9月25日・18時/Lmaga.jp撮影)
人気のパビリオンが大行列(9月25日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

■ 「最初は気持ち悪かったけど…」「自分の中に万博を」

(10月10日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)
PASONA NATUREVERS外観(10月10日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

第2部の「サービス部門」のトークでは、万博だけでは終わらない「レガシー」についても言及。「人と自然とテクノロジーの共生」を掲げ、9月28日に来館者が200万人を突破した「パソナグループ」のパビリオンは、閉幕後、淡路島へ移設予定。次世代へ向け、若本博隆会長は「パビリオンではAIを駆使したものが多かったのですが、今後はAIに支配されず人間ならではの分野を活かしながら、しっかり向き合っていかなくてはいけない」と考察。

(10月11日/大阪・関西万博)
『ひょうごEXPO フィナーレ』2部出席者(左から)「淡路島観光ホテル」上村早苗代表取締役、パビリオンアドバイザー・橋爪紳也氏、斎藤元彦兵庫県知事、「パソナグループ」若本博隆会長CEO、「フェリシモ」矢崎和彦社長(10月11日/大阪・関西万博)

個性派グッズの万博店舗が国内外の客に好評だった「フェリシモ」(神戸市)は、新たに9月24日からミャクミャクの絵本の予約受付を開始し、閉幕後もミャクミャクに込められたメッセージを発信していく。矢崎和彦社長は「最初は気持ち悪かったけど…」と言いつつも、万博会場に通ううちにミャクミャクに惹かれ、長蛇の「ミャクミャクくじ」の列に並ぶほど好きになったことを明かした。

(10月11日/大阪・関西万博)
9月24日から「フェリシモ」特設ウェブサイトで予約受付が開始された、絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)2200円、『2025 大阪・関西万博』公式ライセンス商品(10月11日/大阪・関西万博)

また、未来への見解として「昨日の続きの今日は、同じことを繰り返し、何も変わらない未来になってしまう。でも、未来は創り出せるもの。万博はある意味、国や組織が未来をたぐり寄せる試みのひとつだったので、みんな1人ずつが自分の中に万博を作れる」と語った。

(10月11日/大阪・関西万博)
絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)を手にする「フェリシモ」矢崎和彦社長(10月11日/大阪・関西万博)

ほかにも、兵庫県内での体験型プログラム「ひょうごフィールドパビリオン」に参加した「神戸北野ホテル」「淡路島観光ホテル」、3部のモノづくり部門には「川崎重工業」「神戸製鋼所」「近畿壁材工業」が出席。斎藤知事は「万博を通して様々な魅力を発信できたことが素晴らしい。万博が終わった後に、いかにこの流れをつないでいけるかが大事」と総括した。

取材・文・写真(一部)/塩屋薫

半年にわたる『大阪・関西万博』で、各地域の魅力を発信した「関西パビリオン」
半年にわたる『大阪・関西万博』で、各地域の魅力を発信した「関西パビリオン」(10月11日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)
  • LINE

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

人気記事ランキング人気記事ランキング

写真ランキング

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本