万博を海外目線で見たら…日本人の「便利さへの追求」はピカイチだった!?

13時間前

10月13日に閉幕した『大阪・関西万博』、ずっと人気だったミャクミャク像(10月7日・11時頃/Lmaga.jp撮影)

(写真7枚)

10月13日に大盛況で終わった『大阪・関西万博』は、まさに日本の感動すべき利便性が詰め込まれた空間だった。ニューヨーク在住の筆者が、海外ではありえないと感じた3つのポイントを紹介する。

自国で開催される頻度は20~30年に一度(大阪では55年ぶり!)というので万博のタイミングにあわせて1年ぶりの一時帰国。そこで改めて思ったのが、日本の快適さは本当に世界一ということだ。

いや、日本というより「日本人」がすごい。ウォシュレットをはじめ、サランラップや5本指ソックス、立つしゃもじもそうだ。「あったらいいな」を叶えられる最高の人種がいるとしたら、それはきっと日本人ではないかと・・・アメリカに住んで改めて思うようになった。

そんなことを感じているなか、会場では見応えのある各パビリオンを横目に、始終、目や心で追ってしまったのは「工夫が凝らされた便利さ&効率の良さ」。日本だからこそ実現した、みんなで作り上げた万博だったのではないか。

『大阪・関西万博』「大屋根リング」から見た「フランス館」前の様子(8月13日・12時/Lmaga.jp撮影)
『大阪・関西万博』「大屋根リング」から見た「フランス館」前の様子(8月13日・12時/Lmaga.jp撮影)

無料で貸し出してくれるなんて…猛暑の救世主

まさか驚くほど混んでると思わず、なんの日焼け対策もなしにワンピースで来てしまった筆者は、夢洲駅で降りた瞬間に絶望した。

太陽がジリジリと降り注ぐ中、目の前に広がる光景は、芋の子を洗うよう。「絶対変な日焼け確定」と、肩を落として歩いていると、目の前に現れたのが「レンタル日傘」だった。

『2025大阪・関西万博』東ゲート前(東エントランス広場)では、入場待機列の客に向けた日傘の無料レンタルを実施中(7月11日/Lmaga.jp撮影)
『2025大阪・関西万博』東ゲート前(東エントランス広場)では、入場待機列の客に向けた日傘の無料レンタルを実施(7月11日/Lmaga.jp撮影)

「日傘を無料で貸し出しています!ご入用の方はご自由にお使いください!」・・・砂漠のオアシスか? 

しかも手渡された傘は、汚れもなく、すごく綺麗。そして、きちんと入場ゲートで回収してくれるので、会場内は身軽で動き回ることができた。ちゃんと返却するという真面目さも、日本人らしさだ。

ちなみに日本含むアジア圏では主流な日傘だが、アメリカには存在しない。日傘がなければ、もちろん昨今話題の「UVパーカー」「UVハット」「空調服」など、夢のまた夢だ。筆者はレンタル日傘越しに来場者のファッションチェックを行っていたが、みんなそれぞれ最適な武装姿なのにも感嘆した。

■ SNSで見つけた、便利すぎる必需品

万博に行くために、まずは日本に着いて書店に直行した。入場予約を終え、あとはガイドブックさえあれば!と思っていたが、同伴者から「テーマごとにまとめられてるマップがあるよ」と一言。

汎用うちわにぴったりサイズの万博非公式マップを印刷できます ※こちらはサンプルです(提供:つじさん)
汎用うちわにぴったりサイズの万博非公式マップを印刷できるように ※写真はサンプル(提供:つじさん)

言われるがままにXで検索すると、絶句しそうになった。予約の必要あるなしがわかりやすい、SNSだけでなくTVでも話題になった、ご存じ「つじさんのマップ」。そこから派生して、コーヒーにビール、氷菓にトイレ、子連れの遊びスポットやオムツ変えスポット、ニッチな「天文宇宙」まで。

なかには細かく写真付きでまとめられているものもあり、みんながより効率的に、より深く楽しめるようにと自作マップが無料(!)で公開されていた。

そして当日会場では、そんなマップのプリントアウトを手にする人だけでなく、うちわに貼り付けている人が何人も。暑い中、風を送りながらマップを広げる手間まで省く。そして一流の情報を片手に万博を回る。これはもうプロフェッショナルな集団だった。

■ 肩からぶら下がる「円盤」の正体に驚き

そして、入場前から気になっていた、肩からぶら下がる「円盤」。もしかして必需品なのか・・・でも、いったいなんなのか正体が分からず。

「行列チェア」をアレンジする人も!
多くの人が肩から掛けていた円盤。なかにはアレンジする人も!

列に並ぶ人を見ていると、円盤を広げてザザッとマジックのようにイスに! あとから調べると、アマゾンで3000円ほどでさまざまなブランドが販売し、なかには「行列用チェア」と書いているものもあった。

行列だから折りたたみイスを持っていく・・・しかも適度な軽さで、高さもあって座りやすい。だれかが持っているのを、これはイイ!と真似して、どんどん広まっていく。日本人が利便性を追求したからこその流行だっただろう。

「行列用チェア」の名前が与えられたのは万博がきっかけなんだろうか?
「行列用チェア」の名前が与えられたのは万博がきっかけなんだろうか?

行列の味方を見つけてしまった日本人、今後は行列ができるラーメン屋さんでも同じ光景が見られるかもしれない。あぁ、拡張万博だ。

こういった便利なことを提案する人、作る人、伝達する人たちで万博はより面白い空間に磨きがかかったのだと筆者は感じた。個人的には「おしゃれすぎたトイレ」の話題も興味深かった。

2億円トイレは建築費が高すぎると、入り口出口がわかりづらくて並ぶ場所がわからないなどの要素で当初炎上。でも、そんな風に話題になるのも、日本のスタンダードの高さの表れではないだろうか。

最終的には2億円トイレの設計者の建築家・米澤隆さんは一躍有名人となり、万博を盛り上げた1人に。こんなにも受け止め方が変わるものかと・・・。さらに言えば万博とミャクミャクの開幕前の非難を考えると、まさかここまで逆転するとは。最初は様子見しつつも、イイものといったん把握できたら、どんどんと受け入れていくのも日本らしいと感じた。

2億円トイレについて、設計した米澤さんは閉幕後のトークショーで、「行ってみたら実は使いやすかったり、可愛かったり、万博らしかったり、そういった情報がSNSなどで発信されて状況が覆ったのかなと思う」と話していた

今回、発揮された「利便性を叶えるスキル」は間違いなく、日本人が誇るべき特徴で、万博のような特別な空間だからこそ際立ったのだと思う。

みんなで一丸となって楽しみ、万博ロスの人々が、万博関連のイベントや店へ集まって、確実に街に変化をもたらした『大阪・関西万博』。今後、日本で開催された「意義」がどんな形で生まれてくるのか楽しみにしたい。

文/ナガタミユ

  • LINE

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

人気記事ランキング人気記事ランキング

写真ランキング

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本