万博で人気急上昇スイーツ…関西で食べたい「ラミントン」4軒

「ヤマチーノ」の7月21日の限定ラミントン。今後、アレンジされたラミントンが登場するかも(ヤマチーノのInstagramより)
今回の『大阪・関西万博』(会場:夢洲駅。以下、万博)で、関西人に知名度・人気を高めた異国の甘いものといえばエッグタルト(パステル・デ・ナタ)、デーツ、バクラヴァ…そして、なんといってもラミントン!
オーストラリア公式Xでは、万博期間中に20万食も提供され、「大人気のラミントンを作るために、深夜シフトの専属チームが組まれたほど」とのことです。
1970年におこなわれた『大阪万博』では、それまで甘いヨーグルトはあったものの本場の味として「ブルガリアヨーグルト」が広がり、いまやスーパーで見かけない日がない存在になったように、「ラミントン」にもその可能性があるのでしょうか!?
パティスリーやベーカリー、ショコラトリーで広まっていきそうな、ラミントンとは何なのか? スイーツライターいなだみほが、関西でいただけるお店をセレクトし、料理・菓子研究家にラミントンの魅力を聞きました。
■オーストラリア生まれのラミントンとは…?
「オーストラリアパビリオン」にてテイクアウトの商品として提供されているラミントンは、SNSでも「万博NO.1スイーツ」「また食べたい」「コレ買いに来た」と話題に。
オーストラリア発祥で、キューブ状のスポンジケーキをチョコレートでコーティングし、ココナッツをまぶしたお菓子ラミントン。そのしっとりとした生地と、細かく砕かれたココナッツの食感が相性抜群。オーストラリアでは7月21日を「ラミントンの日」と制定されているほど愛されていて、お隣のニュージーランドでもおなじみの存在です。

その名前は、1896~1901年にクイーンズランド州の知事だったラミントン卿の名にちなんで付けられたとのこと。メイドが誤ってスポンジケーキを、チョコレートソースのなかに落としてしまったところ、「そのままでは手が汚れて食べづらいからココナッツをまぶせばいいのではないか」と、卿が提案したことに由来していると言われています。
実は、万博がはじまる以前から関西でも食べられる場所は複数ありました。そのお店の方にお話をお伺いすると、万博きっかけで人気が高まったところもあれば、もともと外国人や海外への渡航経験歴がある方の間で人気だった…というお店もありました。
「関西万博が始まってから、ラミントンを目指してご来店される方が増え、販売量も倍増しています」【ネイバーフード(神戸・元町)】
「もともとオーストラリアからのお客様や留学経験のあるお客様がよく注文され、当初は万博の影響は特に感じておりませんでした。が、最近はラミントンを求めて買いに来られるお客様や問い合わせが増えています」【コモンウェル(京都・烏丸)】
「一度食べていただくと『想像以上においしい』と言っていただけ、少しずつ仕込む量が増えてファンが増えているのを感じます」【ヤマチーノ(神戸・元町)】
■一度食べると好きになる!? アレンジもお楽しみ
ラミントンの魅力を料理・菓子研究家の田島裕美子さんにお話を伺いました。
兵庫県芦屋市で料理とお菓子の教室「une petitte maison(ユヌ・プティ・メゾン)」を主宰する田島さんは、「オーストラリアパビリオンのショップでラミントンを見かけ、どんなお菓子なのか、勉強のために購入しました」。

「実は、ココナッツのお菓子の味があまり得意ではないので今まで遠ざかっていたラミントンですが、万博のラミントンはココナッツの香りがやさしく、生地がふんわりと軽やか。 とても暑い日でしたので、冷たくて素直においしいという印象でした」
そこで早速、さまざまなレシピを試した結果、クセのないオーストラリア産のココナッツを採用して、アマゾンカカオのチョコレートを使ったソースでコーティング。8月のレッスンで生徒の方々に紹介しました。

すると「ラミントンを初めて知りました」、「初めて食べました」という声が大半だったそうで、「ふわふわ食感でおいしい」、「 チョコレートとジャムがよく合いますね」、「冷やして食べられるので、暑いときでも食べやすいですね」と大好評。
「『ラミントン』のスポンジ生地は、卵共立てのジェノワーズが一般的だと思いますが、私は別立てでビスキュイ生地にして軽く仕上げました。 スポンジ生地の間は、お店によって何もなかったり、ジャムが挟まっていたりしますが、私はチョコレートとマッチする、ほど良く酸味のあるアプリコットとプルーンの自家製ジャムをサンドしました。ジャムをサンドすることで、季節ごとにアレンジも楽しめます 」

シンプルなだけに、アレンジを加えるといろんな楽しみ方ができるのも魅力だそうで、今後、さまざまなお店が、個性的なラミントンを商品化する可能性を感じます。
■今後、どこでラミントンを食べられる?
次は、万博でラミントンが有名になる前から提供していた関西のお店を紹介します。

留学経験のあるスタッフが提案、2パターンのサイズで展開
京都・「Common Well」
京都・烏丸にある「HOTEL RINGS KYOTO」1階のカフェレストラン「Common Well(コモンウェル)」(京都市中京区)。ラテアート世界大会で2度優勝、5年連続世界大会で入賞した世界的トップバリスタの下山修正さんがカフェメニューを監修。
豆やミルクの種類、温度、泡の量までを選ぶことができるカフェの聖地・メルボルンスタイルのコーヒーを提供。そのお供として、オーストラリアに留学経験のあるスタッフが「ラミントン」を提案し、3年前から販売。「本場の『ラミントン』は大きさや、中のソースの質感など店によって個性があることが魅力」と、チーフバリスタの中西さん。

2サイズ展開し、一口サイズのラミントン(1個150円、イートイン価格、テイクアウト可)はミルクチョコレート、 ホワイトチョコレート、抹茶チョコレートの3種類。抹茶には地元京都の「一保堂茶舗」のものを使用し、京都らしさが感じられる工夫も。 大きいサイズのラミントン(800円、イートインのみ)は、クリームたっぷりで、ベリーソースがトッピングされて、まるで豪華なケーキ仕立てになっています。


ひとつずつ食材を厳選して、甘さ控えめに
神戸・「NEIGHBOR FOOD」
神戸・元町にある小さな食料品店「NEIGHBOR FOOD(ネイバーフード)」。つながりのある生産者さんが作る、信頼できる食材、近郊でとれた可能な限り無農薬野菜や果物、そしてそれらを使って作るデリ、焼き菓子など、安心安全な食を提案してくれる1軒です。

5年ほど前からお店で販売、「いただいて食べたことがあり、とてもおいしかったので作ってみようと思いました」と、店主・安藤美保さん。オーストラリアの現地のレシピを参考に試作を重ねて完成した「ラミントン」(400円、テイクアウトのみ)は、スタンダードと抹茶の2種。
材料には国産小麦、淡路島・北坂養鶏場の卵、よつ葉バター、オーガニックきび糖を使用するほか、生地に染み込ませるチョコシロップ用のカカオパウダーには、太田哲雄シェフが営む「LA CASA DI Tetsuo Ota」のアマゾンカカオを使用。抹茶味のラミントンには、宮崎県「もりもっ茶」のオーガニック抹茶を使用。

「現地のレシピで作ってみたところ、甘みがわりとあったので、甘さは現地のレシピよりも控えめに、そして生地にクリームやジャムもサンドしないスタイルのシンプルな仕立てにしました。ココナッツをまぶした姿もかわいらしく、シロップをかけているので日持ちもよいところが魅力」と安藤さん。
日本人好みに甘さが控えめで、「オーストラリアの現地のものより、食べやすくておいしい」とリピーターになる方も多いそうです。

かわいさも追求、ラミントンの日はアレンジも
神戸・「yamacino(ヤマチーノ)」
「スタッフから『このお菓子知ってますか?作ってみたいです!』という声があって、2025年2月頃から作り始めました」と話すのは、神戸の焼き菓子専門店「yamacino(ヤマチーノ)」の店主・山本真理子さん。
調べているうちに「こんな味だとおいしそうだよね、こんな風に仕込んでみる? キューブ状のかわいらしい形が魅力的だよね」と構想が膨らみ、商品化。ラミントン650円(イートインのみ)は、バニラ風味のバターケーキをベースに、味の変化アクセントとしてサンドしているのはベリーミックスジャム、深煎りのカカオプードルを使ったカカオソースをたっぷり生地に染みこませています。

「7月21日の 『ラミントンの日』には、トンカ豆のバタークリームをサンドして限定で提供しました」とアレンジを加えたこともあるそう。「まだまだ馴染みのないお菓子ですが、一度食べていただくと『想像以上においしい』と言っていただけています」と山本さん。

◇ ◇
今は個人店などでの展開が多く、通常メニューにはないものの「ラミントンの日」のみ提供したという関西の店舗もありました。万博をきっかけとして急激に認知度を広めたとあって、今後も次々増えそうな予感。そんななか、大阪のホテルのブッフェで、偶然にも閉幕翌日から登場しています。

■ハロウィン限定で、ホテルのブッフェメニューにも!
「大阪マリオット都ホテル」(大阪市阿倍野区)で、10月14日から10月31日までのハロウィン限定メニューとして登場したのが「モンスターラミントン」。
「ペストリーシェフが、海外のお子様に人気の海外のお菓子として「ラミントン」を認識し、今回のラインアップに。お子様向けとして、中にはバニラのバタークリームをサンドしています」と広報担当者。
「ライブキッチン『COOKA』」で、10月31日まで開催中の『北海道ランチ&ブッフェ』のデザートコーナーで提供。ランチ大人6000円、ディナー大人7600円(ともにシニア、小学生、幼児料金あり)。
◇ ◇
今後は、メーカーが商品化し、さらに一般的になる可能性も多いにあります。生地の食感・質感、使用する食材、何をサンドするのかなどのフレーバー展開…どんなラミントンが登場するのか楽しみです。
取材・文・一部写真/いなだみほ
関西のラミントン
Common Well(コモンウェル)
住所:京都府京都市中京区堺町通六角下る甲屋町393
営業時間:モーニング7:00~11:30(LO10:30)、ランチ11:30~15:00(LO14:30)、ディナー18:00~22:00(LO21:30)、カフェ利用は7:00~22:00 火曜休み
電話:075-746-2920
NEIGHBOR FOOD(ネイバーフード)
住所:兵庫県神戸市中央区元町通1-12-6
営業時間:11:00~19:00(日・祝日は~18:00) 月曜、第3火曜休み
電話:078-381-6727
yamacino(ヤマチーノ)
住所:兵庫県神戸市中央区元町通3-3-2 今川ビリディング3F
営業時間:13:00~17:00 土・日曜・祝日営業
電話:なし
大阪マリオット都ホテル『北海道ランチ&ブッフェ』
期間:〜2025年10月31日
会場:ライブキッチン「COOKA」(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 大阪マリオット都ホテル19F)
料金:ランチ…大人6000円、シニア(65歳以上)4500円、小学生2400円、幼児(3歳以上)1000円
ディナー…大人7600円、シニア(65歳以上)5700円、小学生3500円、幼児(3歳以上)1300円
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