憂う京都人…「外国人観光客の遊園地」電車で懸垂、白川で行水

8時間前

京都市内にて、電車の吊り革で「つり輪」演技をする外国人観光客の非常識な姿に衝撃…。奥には、親を真似て吊り革で懸垂をする子供の姿も(画像提供:花街ぞめき、正脇良平 Ryohei Masawakiさん)

(写真8枚)

風情ある京都を紹介するブログ「花街ぞめき」を運営する正脇良平(@gionbubu)さん。

ここ最近、「インバウンド」による非常識な行為を度々目撃しているという。

もはやインバウンドの「テーマパーク」

「阪急(電車)がオリンピック会場に…」

そうつぶやき、京都・大阪間を結ぶ「阪急電車」の出発前の車内で目撃した、外国人観光客の衝撃的な姿をX(旧Twitter)に投稿。

そこには、体操競技の「つり輪」のように吊り革を両手でつかみ、向かい側に座る日本人女性客の顔の前に勢いよく両足を蹴り出す外国人男性と、親を真似て吊り革で懸垂をする子どもの非常識な姿が写っていた。

また、昨年の夏には、東山区にある「白川」の古川町橋(行者橋)で、魚取りの網を手に「行水」をする外国人観光客の姿も目撃。

ガンジス川」状態だった昨夏の「白川」(画像提供:花街ぞめき、正脇良平 Ryohei Masawakiさん)
ガンジス川」状態だった昨夏の「白川」(画像提供:花街ぞめき、正脇良平 Ryohei Masawakiさん)

正脇さんはその際の写真もXに投稿している。

夏は蛍が舞う「白川」は、44の橋が架かる風情ある美しい小河川。 「景観を楽しむ」川であり、近所の子どもたちが水遊びをすることはあっても、大人が「行水」をするような場所ではない、というのが京都市民の認識だ。

良識ある外国人観光客も

いつから「京都」は外国人観光客のための「テーマパーク」になったのか?

「2年前の秋頃から、インバウンドがとくに増えた印象があります。とにかく声が大きく、禁止されているはずの大型荷物を市バスに複数持込む/車内でスマホ通話をする…特に市内を循環する200系統のバスは常にそんな状態な上に満員なので、乗れたとしてもストレスがたまります。ただ、年配の日本人に席を譲る海外の方の姿もよく見かけます」(正脇良平さん)

また、観光客人気が高い「祇園」エリアでは、以前から問題になっている「私有地に無断侵入して撮影をする外国人」を、今も頻繁に見かけるという。

「やたら路上に座ったり、団体で道を塞ぐ姿もよく見ます。祇園でもっとも格式あるお茶屋『一力』さんの暖簾を無断でくぐったり、花見小路の『犬矢来(いぬやらい)』にもたれかかる様子も見かけます。

桜の時期、桜の枝を首に巻き写真を撮るアジア人もいました。人気の映えスポットになってしまった『巽橋』にある竹垣も、誰かが座ったのか、一度崩れました」(正脇良平さん)

「犬矢来(いぬやらい)」とは、景観を損なうことなく外からの視線を遮り、雨や泥の跳ね返り、犬のマーキングなどから外壁を守る竹製の柵(画像提供:花街ぞめき、正脇良平 Ryohei Masawakiさん)
「犬矢来(いぬやらい)」とは、景観を損なうことなく外からの視線を遮り、雨や泥の跳ね返り、犬のマーキングなどから外壁を守る竹製の柵(画像提供:花街ぞめき、正脇良平 Ryohei Masawakiさん)

京都市民は「観光」で食ってるの?実は…

京都のオーバーツーリズム問題が話題になる度、「京都は観光で儲けてるくせに」と中傷する人も多い。

だが実際は、京都市内総生産のうち観光業が占める割合は約10%程度(※京都市発表)。また、近年市内に急増している「観光客向けの店」や「高級ホテル」の大半は外国資本だ。

正脇さんによると、交通量が非常に多い東大路知恩院前には、中国人が経営する「着物レンタル店」があり、店の前の路上には常に数台の「白タク」が停車しているという。

非常識な外国人観光客が増加し、経営に悪影響が出ている飲食店もあるという。 「行きつけの居酒屋では、スマホをいじり続け、何も注文しない外国人に困ることがあるそうです。とくにグループで来店すると大騒ぎをし、日本人の常連さんが入れなくなるそうです。

近所のお寿司屋さんには、英語で『必ず寿司を注文して下さい』と書かれています。ビールだけ飲んで帰る人がいるのでしょうね…。祇園のバーのマスターによると、ホテルから外国人宿泊客の来店予約が入るそうですが、無断キャンセル率が高いため、当日の来店以外は断っているそうです」(正脇良平さん)

もはや「風情」は過去のもの

Xに投稿した「外国人観光客の迷惑行為」について、「白川行者橋はかつて、プールとして開放されていた場所もありますので、今でもお子さんたちが水遊びをする姿は微笑ましいのですが、成人やそれに近い人が行水をするというのはどうなのでしょうか。阪急電車内で体操の吊り革演技をしていた外国人家族は堂々としたものでした…」と、正脇さん。

「カップルなどが等間隔に座る姿で知られる祇園四条駅の鴨川岸も、大量のインバウンドで等間隔の法則は過去のものとなり、風情は失われました。あくまでも一部のインバウンドだと思いますが、どうしてもひと括りにしがちな自分自身の至らなさも同時に感じる次第です…」(正脇良平さん)

夜間、大量の外国人観光客で溢れかえる「河原町通り」を清掃する方々(画像提供:花街ぞめき、正脇良平 Ryohei Masawakiさん)
夜間、大量の外国人観光客で溢れかえる「河原町通り」を清掃する方々(画像提供:花街ぞめき、正脇良平 Ryohei Masawakiさん)

2024年に京都を訪れた外国人観光客の数は、過去最高の3600万人を超え、2025年3月には、過去最速で1000万人を突破したという。

なお、京都市の総人口は、約143万人だ。

過剰なインバウンド誘致により、市民が代々大切に守り続け、多くの日本人に愛されてきた京都の「風情」は今、急速に崩壊しつつある。

取材・文/はやかわ リュウ

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