「国宝」李相日監督、名シーンの裏側「大阪の文楽劇場のおかげ」

映画『国宝』の特大ヒット舞台挨拶に登場した李相日監督(8月10日・大阪市内)
芥川賞作家・吉田修一の小説を原作とする映画『国宝』の特大ヒット記念舞台挨拶が8月10日、「TOHOシネマズ梅田」(大阪市北区)でおこなわれ、主演の吉沢亮、李相日監督が登場。撮影のエピソードを明かした。
上方歌舞伎の世界を舞台に、主人公・喜久雄(吉沢亮)とその生涯のライバル・俊介(横浜流星)の50年にも及ぶ壮大な一代記を描いた映画『国宝』。公開から口コミが絶えず、8月3日までの59日間で観客動員数604万人、興行収入85億円を突破し、2025年公開の実写No.1(※興行通信社調べ)を記録している。
特大ヒットを記念し、撮影の舞台にもなった大阪でおこなわれた舞台挨拶。上映後ということで、観客からの質問に答えていくこととなった。さっそく「大阪での撮影場所は?」という質問に、監督が「大人になった春江(高畑充希)が出てくるキャバレーが、十三にある現役のキャバレーですね。また、喜久雄と俊介の少年時代と大人になってからの2回出てくる赤い橋も、大阪です」と回答。
さらに、「重要なポイントでいうと、喜久雄が最後『鷺娘』の格好をして廊下を歩くシーンがあるんですけど、廊下は東京の国立劇場。そのあと地下の奈落は大阪の国立文楽劇場なんです。奈落からあがってくるまでが大阪。あがりきったら京都のセットです」と明かすと、観客から「え〜」と驚きの声が。
「奈落で撮影できる場所がなかなかなくて、大阪で撮影させていただきました。よく見ると喜久雄が歩いている後ろに道成寺の鐘があったり、藤の花があったり・・・彼の過去を遡って暗い道を歩いていく。そういった画になれたのは、大阪の文楽劇場のおかげです」と明かしていた。

また、劇中で印象的な花吹雪や雪、光の描写についての質問には、監督は「雪に象徴される真っ白、無ですよね。それは『死』も意味するというか、白い雪の『死』っていう喜久雄からみた情景と、同時に気を遣っていたのが『赤』なんですが、血の色で、血は生命の根源でもあるので、赤と白の『生と死』を色味や光でどう表現しようかというのは、スタッフと共有していた」とコメント。

「喜久雄は基本的に舞台にあがるときは白で、自分を消していく。曽根崎心中の前の楽屋のシーンでは、俊介が喜久雄に赤を入れて『命を吹き込む』。そういった色味は、雪と血を合わせながら考えていきました。最後、彼が『鷺娘』で踊る世界も、本物の雪でもなく紙でもない、別の世界の象徴として白っぽい空気感に。衣装も白なので、そういった世界に喜久雄が入っていくというイメージで捉えていました」など、公開2カ月後でリピーターも多い作品ならではの細かいエピソードを語っていた。

そんな特大ヒットについて、監督は「お祝いのご連絡は今までにないくらいいただいています。とはいえ、(『悪人』『怒り』に続いて3度目のタッグとなる)吉田修一さんとも話をしていたんですが、最初『悪人』のとき、東宝という大手の映画会社で初めて作品を作るとなったんですが、『我々の感性は消費税だよね』と、8%(当時)の人に届くような・・・それくらい掘り下げたものをやりたい2人だった」とコメント。

「東宝という大きなマーケットを担わなければいけないという、チャレンジでもあるし変な矛盾だなと思いながら一生懸命やったんですけど、そのあとの『怒り』も『国宝』も、8%から50%を目指したのかというとそんなことはなくて、同じ姿勢で、伝わる人にきちんと伝わる映画を作ろうというのをやってきたので、この状況に一番驚いています。感想で『すごい』『美しい』と端的に言っていただくことが多いんですけど、そう思ってくれてる観客のみなさんの感性がすごいと思うし、心が美しいと思います」と感謝を伝えていた。
取材・文・写真/Lmaga.jp編集部
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