映画「国宝」大ヒットで注目、関西在住の歌舞伎俳優ら意気込み

7時間前

関西在住の歌舞伎俳優たちが結成した「晴(そら)の会」

(写真4枚)

吉沢亮主演の映画『国宝』の大ヒットで、改めて注目が集まっている「歌舞伎」の世界。そんななか、関西在住の歌舞伎俳優たちが結成した「晴(そら)の会」が、本物の人間国宝・15代目片岡仁左衛門の監修・指導のもと『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』を上演する。

■ 今回で10回の節目、人気作を小劇場で

片岡松十郎(6月撮影、大阪市内)
片岡松十郎(6月撮影、大阪市内)

「晴の会」は、故・片岡秀太郎が立ち上げた「上方歌舞伎塾」第一期生だった片岡松十郎、片岡千壽、片岡千次郎が2015年に結成。舞踊作品から新作歌舞伎、古典歌舞伎まで幅広い作品に挑戦し、第3回公演からは仁左衛門も監修として参加している。ほぼ年1回夏の時期に公演を行い、今回で第10回の節目の年を迎える。

『夏祭浪花鑑』は、夏祭りで賑わう大阪の町を舞台に、男の友情や女の心意気がダイナミックに描かれるとともに、傾城をめぐる悪巧みや父殺しのサスペンスまで繰り広げられる、非常に見どころの多い名作。歌舞伎座などの大きな舞台でも、数年に一度は必ずかかるほどの人気作を「近鉄アート館」(大阪市阿倍野区)という小劇場で、しかも三面客席の舞台で上演するのは、非常にレアなケースだ。

■ 「お客様もお祭り気分で一緒に盛り上げて」

片岡千次郎(6月撮影、大阪市内)
片岡千次郎(6月撮影、大阪市内)

6月27日には出演者たちが大阪市内で会見を行った。「亀屋東斎」名義で脚本の改訂も担当する片岡千次郎は「(人気のある)三つの場だけ上演されることが多いですけど、昭和61年の「関西で歌舞伎を育てる会」で使われた、通し上演の台本を元にして構成しています。ドラマを深くわかってもらいつつ、簡潔でスピーディでおもしろいものに作っていけたら。泥場(注:主人公・団七が泥田で大立ち回りをする見せ場)をどうやってアート館でやるのかは、見てのお楽しみです(笑)」と期待を持たせた。

片岡千壽(6月撮影、大阪市内)
片岡千壽(6月撮影、大阪市内)

また、侠気にあふれた団七を演じる片岡松十郎は、実はNHKの朝ドラ『おちょやん』(2020年)に一瞬出てきたシーンも含めて、すでにこの役を2回演じている。「演じる人によっていろんな色が出る、隙があればやりたい役(笑)」と語り、すでに仁左衛門からも「『泥場の台詞が大事や。これがちゃんとできないと、この芝居がダメになる』ということで、ずっと台詞の稽古をしていただきました」と、公演に向けて指導を受けたことを明かした。

もう一人の旗揚げメンバー・片岡千壽も「この作品を関西の人間だけでやる機会はないし、いつかやってみたいと思っていました。10回目ということで、我々も本当にお祭りという感覚でやりますし、お客様もお祭り気分で一緒に盛り上げていただけたら、楽しい作品になると思います」と、観劇を呼びかけた。公演は8月1日〜4日。チケットは一般前売8500円、当日9000円、高校生以下1000円で、現在発売中。

取材・文・写真/吉永美和子

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