昨年の大河の主人公みたい…? ていをSNS応援【べらぼう】

6時間前

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第24回より。吉原が代理購入させようとした商人・亀屋を疑う、地本問屋・丸屋の女将・てい(写真中央、橋本愛)と鶴屋(写真右、風間俊介)(C)NHK

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横浜流星主演で、数多くの浮世絵や小説を世に送り出したメディア王・蔦屋重三郎の、波乱万丈の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。6月22日の第24回「げにつれなきは日本橋」では、重三郎が日本橋の本屋を手に入れるため、吉原の主人たちも違法ギリギリの手段で参戦。その一方、重三郎が本屋の女将・ていに心を惹かれてしまうというバラエティに富んだ展開に、SNSは沸き返った。

■ ていの本への想いを知った蔦重は…第24回あらすじ

売りに出されている日本橋の本屋・丸屋を手に入れるため、吉原の主人たちは、吉原のツケが溜まっている商家の若旦那に代理購入を持ちかけたが、丸屋の女将・てい(橋本愛)と鶴屋喜右衛門(風間俊介)にすぐバレてしまった。一方、ていのことを調べていた重三郎は、ていが書物を「人の一生を豊かにするもの」と考えており、本音ではまだ店を続けたいと思っていることを、その寺の和尚・覚圓(マキタスポーツ)との会話から察する。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第24回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第24回より。丸屋を購入することになった大坂の書物問屋・柏原屋(川畑泰史)(C)NHK

吉原の人々は、丸屋の借金の証文をすべて買い上げ、それを盾に店を手に入れようとするが、一足早く大坂の書物問屋・柏原屋(川畑泰史)が契約してしまった。重三郎はていに、自分なら丸屋の暖簾を残せると告げたが、「俺と一緒になるってなぁどうです?」という提案を強く拒絶される。独り身の女性の不安につけ込むような真似をした自分を反省する重三郎だったが、そこに柏原屋が訪れ、買ったばかりの丸屋の購入を申し出た・・・。

■ 『光る君へ』と重なるインテリ堅物ヒロイン

前回の最後にチラッと出てきただけで、ゴツい眼鏡というインパクトのある容姿と、会話に『礼記』をサラリと引用するインテリぶりで視聴者の心をかっさらった、重三郎の将来の妻・てい。重三郎が日本橋に進出するための、重要なキーウーマンということで、この24回ではていの人となりや辛い状況、そして彼女に対する重三郎の反応の数々に大きなスポットが当たった。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第23回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第23回より。店舗の売却について話す地本問屋・丸屋の女将・てい(写真中央、橋本愛)(C)NHK

まずはちょっとした会話の矛盾から、吉原の操り人形と化した商家の若旦那の嘘を見破った名探偵ぶりに、SNSで「ていさんはマルッとお見通しだ!」「さすがに頭の切れる丸屋のおかみ、言葉の端からしっかり矛盾を指摘する」「最終面接とかにいないで欲しいタイプ」という感心の言葉が集まった一方、本屋仲間の店主たちに『韓非子』を引用した長い挨拶をして、鶴屋に止められちゃうという一幕も。

この展開にも「ていさん、真面目すぎて御託が多いのかもしれん」「出典まで出してつらつらぶち上げ始めるオタクだ!」「教養はあるが、ちょっと空気が読めない感を出してきますね」「赤子面(鶴屋)も辟易するくらい、思ってたより堅物っぽい」「おていさんの口上を途中で遮る鶴屋、韓非子なんぞを引用する生意気な女って思ってんなきっと」などのていへの共感と、地本問屋の男社会のなかでの生きづらさを察する声があった。

さらに、やはり漢籍に長けたインテリぶりと人間的な面倒くささが、前回の大河ドラマ『光る君へ』の主人公・まひろ(紫式部)と重なるということで、「漢文に秀でてめちゃくちゃ才女だけど説明が長くて損するタイプ・・・あれ、なんか平安時代で見たタイプですね?」「『うちの娘は漢籍が読める』なんか去年もそんな娘さんが居たような」「本好きで、漢籍が読めて、簡単には落ちない女に男主人公は二年連続で恋に落ちるのかしらん」など、「ひかきみ」ネタで久々に盛り上がっていた。

■ 本をきっかけに恋するも「最低最悪のプロポーズ」

さてそんなていさんと、重三郎の初めての出会い(ただし一方的)は、ていが大量の本を子どもの手習いのために寺に寄贈し、本が人間の人生を豊かにするということを語っている現場。これはかつて平賀源内(安田顕)が、重三郎に「耕書堂」という書店の名前を授けたときに語った「本によって世の中を豊かにする」という言葉と同義と言えるもの。自分と同じ目標を持っているというのは、他人に好意を持つための非常に重要なファクター。もう表情からして、重三郎が一気にフォーリンラブしたのが見て取れた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第24回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第24回より。耕書堂で煙草を吸いながら考え事をする重三郎(横浜流星)(C)NHK

SNSも「これは蔦重惚れちまうわ!!」「本を真摯に愛するおていさん。蔦重の中で、ただのターゲットじゃなくなった。本を愛する者が本を愛するものを見いだした」「おてい様の本に対する想いを聞くときの蔦屋重三郎の目、みんな見ました? 横浜流星の演技えぐいな??」「今のでおていを好きになった視聴者は1000万人くらい居るかも」と、この2人の関係に一気に期待値を上げた声が。

そしてていが、本当は店を売りたくないということを察した重三郎は「自分に売ったら丸屋はつづけられる(要するに合併)」と、意外と誰も考えなかった提案を。思いがけない言葉に表情が揺れるていだったけど、その後に好意が先走りしたためか、突然の「俺と一緒になるってなぁどうです?」。これは以前、重三郎が花魁・瀬川(小芝風花)に、「(他の男と)幸せになって」と花嫁修業本を差し出すのに次ぐ「バーカ!」な所業だった。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第24回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第24回より。地本問屋・丸屋の女将・てい(写真中央、橋本愛)に一緒に店をやろうと持ちかける重三郎(写真左、横浜流星)(C)NHK

SNSでも「蔦重、作家たちを口説くのは上手いのに女を口説くのは下手ー!」「歴代大河でもなかなかのクズいプロポーズですね(ゲス顔)」「ただただ結婚すれば互いに経済上職業上のメリットがあるでしょう?! といわんばかりの最低最悪のプロポーズが炸裂」「顔が良いのに的確に地雷踏み抜く蔦重はさぁ・・・」「ここからどうやって夫婦になれるんだ」などの絶望のコメントが相次いだ。

■ 作家を口説くのは上手いのに…多難な恋路

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第8回より。瀬川(小芝風花)に本を贈る意図を話す蔦重(横浜流星)(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第8回より。瀬川(小芝風花)に本を贈る意図を話す蔦重(横浜流星)(C)NHK

なんで男の作家を口説き落とすのはあんなに上手いのに、女を口説くときはあんなに上手く地雷を踏み抜くのか? というのは、重三郎の七不思議に入りそうな特性。しかし作家たちを次々に「あなたは才能がある! 俺と一緒に組めばこんなにおもしろい物が作れる!」という言葉で籠絡したのと同じように、おていさんも「あなたは素敵な人だ! 俺と一緒になればこんなにおもしろい生活が送れる!」と言えば考えてくれそうな気がするけど・・・重三郎の日本橋進出と多難な恋の行方を同時に楽しめるとは、しばらくは贅沢なほどの楽しさに浸れそうだ。

大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。6月29日の第25回「灰の雨降る日本橋」では、なかなか日本橋進出のめどが立たなかった重三郎が、浅間山の噴火を期に形勢を逆転させていくところが描かれる。

文/吉永美和子

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