次郎役・中島歩、11年前の朝ドラとは違う役者としての成熟

5時間前

『あんぱん』第48回より。航海に旅立つのぶの夫・次郎(中島歩)(C)NHK

(写真4枚)

連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合)でヒロイン・のぶ(今田美桜)の夫・若松次郎を演じる俳優・中島歩がインタビューに応じ、役への思いを語った。

■『花子とアン』龍一役は「トラウマ」だった!?

25歳のときに『花子とアン』(2014度前期)で蓮子(仲間由紀恵)と駆け落ちをする帝大生・宮本龍一を演じて以来、11年ぶりの朝ドラ。出演オファーをもらったときの心境を、中島は「うれしかったし、大舞台なので興奮しました」と話し、こう続ける。

「祖母が出演を喜んでいて、おばあちゃん孝行ができるなと思いました。多くの方が観ているので、番組の影響力の大きさに畏怖しています。『次郎』というキーワードが『SNSのトレンドに入った』とか、驚いたし、怖いなとも思いました。『そんなにみんな朝ドラを観てるんだ』と。これまで新宿武蔵野館みたいな小さな劇場でかかる映画をよくやっていたので」。

『あんぱん』第48回より。(C)NHK
『あんぱん』第48回より。のぶ(今田美桜)を抱きしめる夫・次郎(中島歩)(C)NHK

『花子とアン』の時と今回の『あんぱん』出演では、役への向き合い方にも変化があったという。中島は、「『花子とアン』の頃は駆け出しで、全然芝居ができていなかった。それがかなりトラウマになっていたんだなと、今回次郎という役の準備をしながら、改めて思いました」と、当時を振りかえる。

また、「『花子とアン』の頃にはわかっていなかった、『朝ドラの何がそんなに難しいのか』ということが今回わかりました。影響力の大きさはもちろん、1話15分のなかでどんどん展開があって、しかも今回の次郎という役は、のぶと3回会っただけで結婚を決めるという設定。そんななかで、心が通いあう瞬間がないと説得力がないわけですよね。ひとつ動くのにも昭和の、しかも戦中の人の言葉や仕草や考え方がある。難易度がめちゃくちゃ高いなと。これは駆け出しには難しいなと思いました」とコメントした。

『あんぱん』第40回より。(C)NHK
『あんぱん』第40回より。次郎(中島歩)の元に戻って話すのぶ(今田美桜)(C)NHK

■ ポジティブなことしか言わない次郎「下手すると上滑りするぞ、と」

次郎の役どころについては、「ポジティブなことしか言わないんですよね。これは『下手すると上滑りするぞ』と最初に思いました。だから教科書が話してるみたいにならないように、ちゃんと一人の人間に見えるよう取り組みました」と中島。

「そのために次郎の台詞ものぶの台詞も、今の自分にとってどんな意味を持つか想像してきて、そのうえで現場で今田さんの演技に反応し、言葉を返していくよう心掛けました。こういったことはどの作品でもしていることですが、今回は戦中という時代背景や方言もあるので特に入念に準備しました」と語った。

『あんぱん』第61回より。(C)NHK
『あんぱん』第61回より。速記で日記を書くのぶの夫・次郎(中島歩)(C)NHK

6月23日放送の第61回では、のぶのもとに次郎危篤の報せが届いた。次郎の言葉は、これからものぶの心のなかで生き続けていくだろう。

取材・文/佐野華英

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