明日への活力「味園ビル」赤犬メンバーが語る、珍プレー好プレー

5時間前

赤犬のコーラス部隊・ナイトサパーズ(ロビン、ヒデオ、テッペイ)とボーカルのタカ・タカアキによる愉快な楽屋トーク(2025年5月25日:「こんがりおんがく祭」味園ユニバース)

(写真21枚)

いよいよ7月に惜しまれつつ閉館する千日前の「味園ビル」(大阪市中央区)、そして地下のライブホール「ユニバース」。その軌跡を「エンターテインメントの卸問屋」こと13人編成のバンド・赤犬と共に、たどるインタビュー企画の後編をお届けする。

前編では、ベーシスト・りしゅうに、味園ビル2階で経営していたバー「マンティコア」の思い出を中心に話を聞いた。後編となる今回は、赤犬のコーラス部隊・ナイトサパーズ(ロビン、ヒデオ、テッペイ)とボーカルのタカ・タカアキに「ユニバース」での思い出を中心に語ってもらう。

千日前の味園ビル『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)

2011年に開催された赤犬のワンマンライブ『赤犬歌謡祭』を機にライブ会場としての「ユニバース」がスタートしただけに、他では聞けない貴重なエピソードの登場に期待がかかるが・・・。

◆ 今はなきサウナや宴会場も…総合レジャービル・味園の思い出

『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)
ダンディズム全開な赤犬に来場者も魅了された『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)

──前回は、ベースのりしゅうさんにご登場いただきました。今回は、ナイトサパーズとタカ・タカアキさんに味園ビルや「ユニバース」についてのお話をうかがいます。まず、「味園ビル」に来るようになったのはいつ頃からですか?

ロビン:2002年ぐらいですかね。「Cafe Q」(前編にも登場したBABY Qの主催・東野祥子=煙巻ヨーコがオーナーを務めていたカフェバー)のヨーコちゃんから「お店を一晩貸すからなにかやって」と言われまして。当時ハマっていたモーニング娘。のCDをどっさり持っていってDJをすることになったんですけど、プレイの技術もないので、曲をかけながら延々と彼女たちの魅力を語るというプレゼン形式で挑むことにしました。

法被姿もお似合いのナイトサパーズ(2025年5月25日:「こんがりおんがく祭」味園ユニバース)

──プレゼン形式のDJ!なかなか 斬新ですね。お客さんの反応はいかがでしたか?

ロビン:お店が開いていたら誰か来るだろうとたかをくくっていたのですが、これがまったくの見当違いで・・・。結局、来たのは同窓会帰りの一見の5人組だけで、彼らを相手にモーニング娘。やミニモニ。の素晴らしさを長時間にわたって語っていました。

タカ・タカアキ(以下:タカ)『ロッキー・ホラー・ショー』の冒頭で、館にカップルが迷い込んできたようなシチュエーションですね。

タカ・タカアキが飛翔『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球 ( テラ ) へ 』(2月23日・味園ユニバース)
不死鳥のように飛翔するタカ・タカアキ『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球 ( テラ ) へ 』(2月23日・味園ユニバース)

ロビン:当時の「味園」は「九龍城砦」(※)ぐらいミステリアスなスポットでしたからね。それが、今やWi-Fiも入るほど整備されているのだから、隔世の感を禁じえません。(※編集部注:香港に1993年まで実在した巨大スラム街。映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の舞台)

ヒデオ:私はBABY Qにも参加していたので、「味園ビル」の屋上で、パフォーマンスの稽古をさせてもらうことが何度かありました。そのときまだ、CMにも出ていたトゲトゲの照明も残っていて、いかがわしい雰囲気が魅力的でした。

◆ 「今宵の歓楽も、明日への活力…」味園といえば、あの懐かしのテレビCM

ユニバースの楽屋にて…ナイトサパーズ(2025年5月25日:「こんがりおんがく祭」味園ユニバース)

──当時は「ユニバース」がまだキャバレー営業をしていましたが、お客として行かれたことは?

ロビン:1回だけあります。自分の親と同年代の熟女にお相手していただき、ビールの味がいつにも増して染み渡ったことを覚えています。

タカ:僕も1〜2回ぐらいですね。「ユニバース」の料金設定はミナミでもぶっちぎりのお得さでしたが、当時の我々がそれを上回るほどの金欠で、通うにはほど遠い状況でした。

ヒデオ:私は行けずじまいでしたが、テレビで見る「ユニバース」のCMではダンサーの方が全裸で踊っていたり濃厚なキスシーンがあったりして、「いつかは自分も・・・」と、夢と秘部を膨らませながら見ておりました。

テッペイ:僕も行けないままだったのですが、「明日への活力・・・活力・・・活力・・・」というフレーズが今でも頭の中でリフレインしています。

スぺ―シーな独特の世界観が多くの人を弾き付ける「ユニバース」(2025年2月23日・味園ユニバース)
スぺ―シーな独特の世界観が多くの人を弾き付ける『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)

タカ:先日のワンマンライブ『赤犬歌謡祭』(2025年2月23日開催)でも、味園CMのオマージュがあったんですけど、どれぐらいの方に分かってもらえたのか気になるところです。

ヒデオ:漫才師の「じゃんけんぽん」師匠が殿様姿になってるやつですね。関西のU局(※)では深夜帯を中心に大々的に放送されていたので、サブリミナル効果で数百万人が記憶しているはずですよ。(※編集部注:独立UHF局のサンテレビ、KBS京都、びわ湖放送、奈良テレビ、テレビ和歌山)


2025.6.14 20:00
『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)
王九×殿様⁉『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)

──その他に、味園ビルのフロアの中で訪れた場所はありますか?

ヒデオ:宴会場は何度か行かせてもらったのですが、酢豚の味付けがスイーツ並みの甘さだったことが忘れられません。

ロビン:給仕のみなさんが当時すでに妙齢だったので、今もお元気でいらっしゃるか…とても気になるところです。

ヒデオ:あとは、サウナ風呂の内装がサルバドール・ダリがデザインしたのかと思うほどの異世界でしたね。入浴して現実世界に帰れる気が、まるでしませんでした。

タカ:洞窟みたいな雰囲気で、たしかプールもありましたよね。僕も一度だけですが、行くことができて良かったです。

◆ 『赤犬歌謡祭』から始まった、ライブホール「ユニバース」の軌跡

『赤犬歌謡祭』にゲスト出演したマリアンヌ東雲(中央)『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)

──赤犬は2011年、「ユニバース」のキャバレー営業終了後にワンマンライブ『赤犬歌謡祭』を開催し、現在に至るまで何度も出演してきました。ここからは、「ユニバース事件簿」と題して、ライブ会場となった「ユニバース」での思い出などをお聞きできればと思います。

ロビン:我々、かつては過激なイメージを持たれることもあったようですが、二代目ボーカルのタカが加入した頃にはすっかり大人になっていたので、ユニバースで事件といえるようなことは起きてないんですよね・・・。

あ、でも、「ユニバース」ではなく、ライブハウス「ファンダンゴ」(堺市)での出来事ですが、テッペイさんが出初式のパフォーマンスをした際、猿股衣装の股間部からみごとな「ハダカデバネズミ」を露見させたことは、後世まで伝えるべき事件の記憶です。

ヒデオ:たしか、ガーリックボーイズとご一緒したときのことですね。今日の取材で伝えたい、最も大事なポイントです。

肌色多めの超やんちゃだった時を経て、芸能生活30年を超えた現在でも、やはり珍事件は多発しており…(2025年5月25日:「こんがりおんがく祭」味園ユニバース)

タカ:多数の目撃情報が寄せられ、SNSもざわついておりました。

テッペイ:私自身、出ているとは夢にも思わず上機嫌ではしごに登って、気づいたときには手遅れでした・・・。ガーリックボーイズのラリーさんには後で謝罪したのですが、ポロリに対して「最高だったよ」と、まさかのお褒めの言葉をいただきました。

ロビン:実は出た瞬間、本人は分かっていなくて、気づいてから慌てて隠そうとする様子が素晴らしいんです。あの光景を思い出すだけで、焼酎4杯は呑めますね。

ヒデオ:ストレス社会の現代において、心を和らげる癒やしのような瞬間でしたね。あ、それで、なんの話でしたっけ。

『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)
ONI、桜川春子、たくませいこ…個性豊かなゲストが登場。あれ龍兄貴も…?『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)

──すいません、「ユニバース」での思い出についてです。

ヒデオ:最初のワンマンライブの下見で「ユニバース」に行った時は、キャバレー営業の終了直後ということもあり、艶っぽい残り香がムンムンに漂っていました。今、楽屋になっているところが、ホステスさんの控室だったのですが、片方だけのハイヒールや、不要になったハンドバッグが残されており、生々しい雰囲気にしびれましたね。

テッペイ:私は、何度目かの『赤犬歌謡祭』で、開演前のカラオケコーナーに某アイドルグループの臨時メンバーとなり、スカート姿で踊らせてもらったことが忘れられません。

タカ:アイドルプロデューサーとしての片鱗がその頃から・・・。

テッペイ:「ユニバースのステージに立てるで」と声をかけ、自分もちゃっかり出るという、古田敦也ばりのプレイングマネージャーぶりを披露しました。

ユニバースのバーカウンター『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)
ユニバースのバーカウンター『第68回全日本赤犬歌謡祭 ~さよならユニバース。そして 地球(テラ)へ 』(2025年2月23日・味園ユニバース)

ロビン:最初の『赤犬歌謡祭』では開場時間中、メンバーがボーイに扮してお客様の出迎えと給仕をするというサービスも行いましたね。面白かったのでまたやりたいけど、開演ギリギリまで接客するので着替えの時間を考えると難しいかなぁ・・・。あと、私の場合、スタッフのみなさんとの付き合いも長いので、ドリンクを注文すると自動的に濃い目のハイボールを作ってくれるシステムが確立されています。

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