中山優馬「風化させてはいけない」戦後80周年舞台に意気込み

12時間前

舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)

(写真5枚)

俳優・歌手の中山優馬が6月6日、主演を務める戦後80周年特別企画の舞台『あゝ同期の桜』の取材会に登壇。「戦争そのものを扱う作品は初めて」と、同作への思いを語った。

■ 前日に鹿児島の資料館を訪問「恐怖を覚えた」

舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)
舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)

本作は、戦時下で苦悩しながらも、強く生きようとする若き特攻隊員たちの青春群青劇。海軍飛行予備学生14期会の遺稿集をもとにした劇作家・榎本滋民の原作を、上田浩寛の脚本で舞台化。演出・出演の錦織一清主宰「アンクル・シナモン」が主催する第4弾公演で、戦後80周年特別企画となる。

中山が演じる官立大学で成績主席の諸木は、母親思いの愛国心あふれる青年。学徒動員で召集され、海軍特攻隊として祖国のために命を落とす。戦争そのものを扱う作品は初めてという中山は、取材会前日に、日本で最も多く特攻隊員が出撃した鹿児島・鹿屋航空基地の資料館を訪問したという。

舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)戦争当時について、「特攻隊員は片道の燃料で今から死んでしまうのに、防寒をしていたり…生きることと死ぬことが矛盾だらけですよね」
舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)戦争当時について、「特攻隊員は片道の燃料で今から死んでしまうのに、防寒をしていたり…生きることと死ぬことが矛盾だらけですよね」

「たった3カ月くらいの期間で900人以上の方が飛び立って命を落とされたという資料が残っていたり、戦闘機や弾痕に直面すると、この世界でこんな事が起きていたのだと恐怖を覚えて」とリアリティが増し、「きっと行きたくなくても、それは恥ずべきことという(当時の)感情の割合をみつけていくのが僕の役目、しっかり稽古で探していかなくては」と真摯に語った。

舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)記者からの髪を切る特別な演出提案に笑顔がこぼれる場面も
舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)記者からの髪を切る特別な演出提案に笑顔がこぼれる場面も

また、「日本は終わりだ!優秀なパイロットをただの爆弾として突っ込ませるなんて」という当時の特攻隊員の話を知り、「そういう記述が残っていてよかった。そういう発言ってきっと消されてきたと思うから」。

8月の東京公演では終戦記念日にも上演があり、「戦争のことは風化させてはいけないし、もし自分に子供が生まれたらしっかり教育してつないでいきたい。80年前のこの日が終戦、と思い出す日なので、舞台をやることに意味があると思います」。

舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)演出は、以前舞台で親子として共演した大先輩・錦織一清。演出はもちろん、錦織の演技も楽しみにしているそう
舞台『あゝ同期の桜』取材会に出席した中山優馬(6月6日・大阪市内)演出は、以前舞台で親子として共演した大先輩・錦織一清。演出はもちろん、錦織の演技も楽しみにしているそう

祖国のために命を捧げた特攻隊員に思いを馳せ、同作について「我々の住む日本国で起きていたとてつもない現実なので、繰り返しちゃいけない、伝えていかなくてはいけない。なんか見に来てくださいっていうより、しっかり見届けてください、という思いですね」と力を込めた。

取材・文・写真/塩屋薫

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