終電後の千里中央トンネル探検!万博と55周年記念特別ツアー密着

『ミッドナイトトンネルツアー』参加者で記念撮影。プロジェクトX風写真に仕上がった(5月16日/北大阪急行電鉄)
1970年の『大阪万博』開催と同時に誕生し、ともに開業55周年を迎える「北大阪急行電鉄」(豊中市)と、「千里阪急ホテル」(豊中市)がコラボレーション。1970年開業時に造られた千里中央駅のトンネルと、2024年3月、箕面萱野駅までの延伸によって新しく造られたトンネルとの接続部などを、歩いて見学することができるスペシャル企画『ミッドナイトトンネルツアー』が5月に開催された。
◆ 「いつも電車で通る線路を自分の足で歩けたら…」そんな激レアツアーは即完売
2020年の開業50周年時には「ウエディングトレイン~線路は続くよ未来へと~」と題し、貸し切り列車の中で結婚式を行う企画を実施した2社が、今回は55周年を記念して特別ツアーを企画。開業の機となった「万博」が55年の時を経て、再び大阪で『大阪・関西万博』として開催されるのを記念した「北急タイムトリッププロジェクト」と題した取り組みの一環として、再びコラボレーションすることになった。

今回の2024年の延伸で新造されたトンネル内部を、自らの足で歩くという体験、担当の伊東さん曰く「北急(北大阪急行電鉄の略称)の社員の中でも、まだ20人くらいしか足を踏み入れてはいない」そうで、一般向けツアーはもちろん初開催。そんな貴重ツアーの参加申込は、開始18分で早々に完売となった。

午前0時。「千里中央駅」改札前にツアー参加の権利を見事勝ち取った、鉄道ファンはじめ、地元大阪はもちろん、関東から遠征してきたという人も含め、好奇心旺盛な30名が続々集まってきた。

期待と緊張が入り混じる表情の参加者たちを和ませたのは、鉄道統括課・伊東さんの楽しい鉄道トーク。実際に線路内に入れるのは終電後となるので、それまで北大阪急行の歴史や過去と現在の使用車両など、ユーモアを交えたレクチャーに参加者たちは耳を傾ける。

「『大阪・関西万博』もう行った人!?」と参加者に投げかけ、解説がスタートしたのは、「北急」の歴史を語る上で欠かせない『大阪万博』について。実は、鉄道開業時には『大阪万博』へ行く人たちが利用した、約3.6キロの「会場線」なる線路があった。
万博閉幕後に閉鎖となり、今となっては幻の「万国博中央口駅」だが、乗降客数は 4148 万 1175 人にのぼったそう。8両編成2分30秒間隔の高密度で電車を運行した当時、多くの人が押し寄せた写真で紹介され、「おおお~」と驚きの声をあげたり、熱心にメモを取る参加者も。

◆ 終電後、無人となったの駅のホームにドキドキの潜入、千里中央の地下の世界とは…

そうしている間に、いよいよ千里中央駅を最終電車が出発し、ついにツアー本編スタート。無人となった改札内へ。「千里阪急ホテル⇔ミッドナイトトンネルツアー・新千里北トンネル特別区間ゆき」、そう書かれたイベントのための特製切符(自動改札非対応)を手に、ひとりひとり無人となったホームに降りていく。


ホームから線路へ降りる前には、全員にヘルメットが配られ、しっかりと装着できているか確認。とにかく安全第一。改めてトンネル内で触ってはいけないもの、踏んではいけない箇所、声を出してはいけない場所ほか、しっかりと注意事項を聞く。否が応でも、これから未知の世界に突入するドキドキ感が高まっていく。

◆ いざ線路へ降りトンネル内部へ。興奮を抑えながら、慎重に歩みを進める

そして、いよいよホームの端から階段を降り、未知の世界へ突入!ゆるくカーブした線路を一列になって歩く。電車の行き来がない深夜の線路の上を、一歩一歩、歩みを進めていくのは不思議な感覚だ。
普段はサッと一瞬で車両で通り過ぎている線路を実際に自分の足でゆっくりと歩くことで、実はさまざまな設備が設置されていることにも気づく。またそれに付着するほこりや汚れなどにも、日々の電車の行き来をリアルに感じることができる。


◆ 1970年と「現在」をつなぐポイントに到達…明かされるトンネル掘削の秘密
そして、このツアーの目玉となる場所に差し掛かる。1970年開業時に造られた千里中央駅のトンネルと、2024年3月、箕面萱野駅までの延伸によって新しく造られたトンネルとの接続部だ。

実は、1970年当時には、周囲に建物などは何もなかった千里中央駅界隈と、そこから50年以上が経ち、住宅や商業施設などが多数立ち並ぶ現在の千里中央界隈では、実現可能なトンネル工事の手法も異なったそう。
以前は、地面を直接掘削してトンネルを設置する開削工法がとられたが、2024年の延伸工事で使用されたのは、地上への影響の少ないシールドマシンによる掘削。「この直径6メートルを超える筒の部分が横に伸び縮みして、地面を圧しながら圧力で土を削ってトンネルを掘っていったんです」と木村さん。


トンネル内では「最終的に1970年に堀った四角いトンネルと、2024年に堀った丸いトンネル、どうやって接合したかわかりますか?」「トンネル掘削のあと、最後にはめ込んだパーツはどれでしょう?」など、マニアックな質問で参加者とのコミュニケーションも楽しみながら、2つのトンネルを貫通させた手法などを解説。普段は生でみることのできないトンネルの秘密に、参加者たちは聞き入って、その後一生懸命写真を撮るなどしていた。


◆ トンネル内に実はこんなものが!初めて認識した設備がいっぱい
さらに歩みを進めながら、通常では絶対に見れないトンネルの細部を見学していく。伊東さん、木村さんから信号機の役割や、消防施設、脱線防止レールなど、各設備の詳細な説明が行われた。



途中、ある程度歩いたところで、フリータイムも。はしごにのぼる人、頭上を見上げる人、ひたすら下をまじまじと見ている人、プロにいろいろ質問する人…同じ鉄道に関心のある参加者の中でも、興味のある場所はひとそれぞれなんだということに、改めて気付かされた。

そして、今回の規定の場所まで到達したところで、ツアー参加者全員集合で記念撮影。せっかくなので伊東さんの号令で「敬礼」で思い出の一枚をパシャリ。

足を踏み入れてすぐには、ただただ大きなトンネルに圧倒されていたものの、来た道を戻るころには、設置されたさまざまな表示や、チョークでかかれた薄っすらとした数字、足元の配線など、細かい場所に気付くように。どんな意味が、どんな役割があるのか、予想するのも面白い。

そして深夜2時、トンネルツアーが終了。より鉄道というものを身近に感じることができた約2時間。これから電車に乗って、トンネルを通るときの意識が変わりそう…。

北急担当者はツアーを終え「トンネル内には線路や電気設備があり、歩きにくく、危険も伴います。お客様に安全に見学していただけるように、事前に危険な箇所を確認し、注意喚起のお声がけを徹底しました。また、線路上の工事は夜間に行いますので、ツアーの日には夜間工事を避けてもらうなど、かなり早い段階から準備調整を行ってきました。それだけに、参加者のみなさんに安全に楽しく過ごしていただけて本当に良かったです」と話していた。
◆ 今回のツアー、参加してみてどうでしたか?参加者に聞いた
まずは、埼玉県から参加したおふたり。「今は埼玉在住ですが、もともと出身が北急沿線です。あのトンネルの中がどうなっているか、ぜひ見てみたいと、張り切って発売日の10時と同時に予約サイトにアクセスしました。地元の地下で貴重な経験ができて、とても楽しかったです。閉館が決まっている千里阪急ホテルの宿泊も、とても良い記念になります」と話していた。

最後に伊東さんと記念撮影も行っていた男性は「2024年3月の延伸開業時には、箕面萱野駅発の一番列車にも乗って、思い入れがある北急。普段電車に乗っているときには、気が付かなかったトンネルの大きさに今日は圧倒されました。質問して教えてもらったんですが、延伸開業が遅れた原因となった1970年の遺構部分についても知ることができ、貴重な経験となりました」と嬉しさをかみしめていた。

◆ 全員無事に千里阪急ホテルへ帰還…鉄道をきっかけにつながる「縁」
無事にトンネルツアーを終えた参加者たちは、徒歩で「千里阪急ホテル」に。ツアーには、宿泊と、ディナーそしてランチバイキングがセットとなっており、翌日は館内レストラン「シャガール」でランチバイキングや、ツアーのトンネルをイメージした今回限りの特製デザートプレートを満喫した。


ホテルのレストラン前に設置されたメッセージボードには、「ミッドナイトトンネルツアー最高~!」「ミッドナイトトンネルツアー、楽しかったです!」というメッセージもちらほら。こうして「大阪万博」から55年の時をかけるスペシャルツアーは終了した。

同ホテルの担当者がランチタイムには、ツアー参加のみなさん一人一人に声をかけながら、記念撮影した写真を特製フレームに入れてサプライズでプレゼント。その際に、さまざまな感想や意見を直接もらったといい、「みなさん本当に楽しんでくださってまして、もっと何時間もかけてとにかく長くトンネル歩きたい、などこんなツアー開催してほしい、第二弾ぜひ、というようないろいろなご意見をいただきました」と話す。

さらに「一緒にツアーで過ごした参加者のみなさんが『同志』のような感じで、団結力が生まれてきていましたね。レストランでも、一緒に会話を楽しんでらっしゃったことも嬉しかったです」と話し、電車をきっかけに生まれた「縁」を喜んでいた。果たして、第二弾が今後開催されるのか…続報を待とう。
写真/Ayami 取材・文/Lmaga.jp編集部
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