観客も踊る! 大阪で舞台「キンキーブーツ」開幕、リピーター続出

2025.5.30 20:00

『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里)

(写真18枚)

シンディ・ローパーが全曲作曲し、世界中で大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカル『キンキーブーツ』の大阪公演が、5月26日に開幕。観客席からたびたび手拍子と歓声が上がり、出演者たちも驚くほど大盛り上がりの初日を迎えた。

■ ほとんどの役を若手に一新、舞台も客席もアゲアゲ!

『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里 キセキミチコ)
『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:キセキミチコ)

『キンキーブーツ』は、実話をベースにした同名映画を、2012年にミュージカル化した舞台。父親の急死で、倒産寸前の紳士靴工場を継いだチャーリーは、ドラァグクイーンのローラとの出会いをきっかけに、女装する男性用の靴「キンキーブーツ」を作ることに。会社はローラをデザイナーに迎え、降りかかる問題の数々を乗り越えて、斬新なブーツを世に送り出す…という内容だ。

『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里 キセキミチコ)
『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里)

2016年には日本キャスト版が初演され、特にローラ役の三浦春馬の名演は、今も伝説となっている。今回の再演では、ほとんどの役をオーディションで選ばれた期待の若手に一新。さらにチャーリー、ローラ、チャーリーに恋する女性工員・ローレンがWキャストになり、組み合わせの違いも楽しめるようになった。大阪初日は東啓介チャーリー、甲斐翔真ローラ、田村芽実ローレンだった。

第一幕で、ショーで歌うローラがきらびやかに登場した瞬間から、ライブだったら確実に観客総立ちになってたぐらいの盛り上がり! しかしメイクを落として男性の服を着ると、途端に内気な青年に変わるギャップがおもしろくも物悲しい。チャーリーとローラは次第に心の距離を縮め、第1号のブーツが完成。その喜びを、工場のベルトコンベアを使った唯一無二の振付で見せる一幕ラストは、今回も圧巻だ。

『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里 キセキミチコ)
『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:キセキミチコ)

第二幕では、ファッションショーに向けてブーツを生産していく過程で、様々な差別が浮上。直接ぶつけられるヘイトもあれば、内面に秘めていた感情が無意識に現れるヘイトも。さらにチャーリーが成功への焦りから、前半の好青年ぶりはどこにいった? と言いたくなるほど変容していくのは、彼の最大の見せ場だ。そしてショーの直前に、チャーリーの元からローラが去り、工場も最大のピンチを迎えるが…。

『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里 キセキミチコ)
『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里)

とまあ、ちょっと不安になるところで説明を止めたけど、最終的にはなにかのお祭のごとく、舞台も客席もアゲアゲかつハッピーな気持ちで幕を閉じることになるので、そこは本当に安心してほしい。そしてなによりも、劇中で語られる「なりたい自分になる」ことと「あるがままの他人を受け入れる」ことが、いかに周りを幸せにするかということを噛み締めつつ、それを実行するための勇気をもらえたような気がした。

『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里 キセキミチコ)
『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:キセキミチコ)

カーテンコールでは、キャストたちが「東京公演とは雰囲気が違う」「(観客が)踊り散らかしてる」と口々に言うほど、やはり関西の観客のノリは一味違ったよう。そしてロビーに設けられたリピーター用チケット売り場には、大勢の人が群がっていたのが、その感動の深さの度合いを実感させた。まだこの作品に出会ってない人たちも、前売チケットがまだあるうちに、早めに観劇計画を立ててほしい。一緒に盛り上がって、キャストたちを驚かし続けよう!

『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:岡千里 キセキミチコ)
『キンキーブーツ』(東京公演より、撮影:キセキミチコ)

他のWキャストは、有澤樟太郎(チャーリー)、松下優也(ローラ)、清水くるみ(ローレン)。大阪公演は6月8日までで、「オリックス劇場」(大阪市西区)で上演。チケットはS席1万5000円、A席1万2000円、B席1万円、C席8000円、D席6000円。土日・平日昼公演は各500円増(S席は1000円増)。チケットは現在発売中(一部完売の回あり)。Wキャストのスケジュールは、公式サイトでご確認を。

取材・文/吉永美和子

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