大阪メトロのトイレマークが気になる…なぜ「ようおこし」なの?

巨大な「トイレマーク」が目印のOsaka Metro(大阪メトロ)のトイレ。なぜ「ようおこし」なのか?
『大阪・関西万博』の会場「夢洲(ゆめしま)」へつながる唯一の鉄道アクセスルートで、1日240万人が利用する地下鉄「Osaka Metro(大阪メトロ)」。筆者も毎日のように利用しているのだが、「トイレマーク」がいつもなんだか気になっていた。
同社は、トイレの3K(臭い、汚い、暗い)というイメージを払拭すべく、2012年よりリニューアルに着手。明るく清潔な空間に一新され、入口部分に巨大な男女のピクトグラムが描かれ遠目からでも分かり易いデザインに。
キレイなトイレだが、違和感を抱いたのは、そのピクトグラム下に書かれた「ようおこし」の文字。関西の商売人が使いがちな「おこしやす」や「おいでやす」と違ってあまり訊き馴染みのない言葉だ。
SNSでは、「『ようおこし』のおかげで見つけやすい」ともあるが・・・その意味とは? 方言研究者と、「Osaka Metro」に話を訊いた。
■ 「ようおこし」ってなに?

まず、「ようおこし」という言葉について、「奈良大学」(奈良市山陵町)の総合研究所で方言の研究をしている岸江信介特別研究員に聞いた。
──「ようおこし」とは、どのような意味なのでしょうか?
「ようおこし」は、客を出迎える謝意を表す言葉で「よく(よう)いらっしゃいました(おこし)」という意味です。比較的、聞き馴染みのある「おこしやす」は、幕末〜明治以降の言い方で、「(客)ごめんやす (店員)おこしやす」といったやりとりが、かつての京阪方言でよく聞かれていました。次第に「おこしやす」の「やす」が脱落して「おこし」になったのではないかと思います。
──「おこしやす」と「ようおこし」、使い分けなどあったのでしょうか?
当時は、初対面の人や目上に対しては「おこしやす」、これに対して、普段から親しくしている人や馴染みのあるの人に対しては「ようおこし」というように、使い分けていたのだと推測されます。庶民的なお店などでも、「ようおこし」の方が親しみ深く、入店しやすいというような印象がかつての大阪にはあったのだと思いますね。
──大阪メトロのトイレでは「ようおこし」が使われていますが、どう思われますか?
「おこしやす」と「ようおこし」を比べると、「ようおこし」の方が自然な感じがします。トイレで「おこしやす」はあらたまり過ぎていてちょっと・・・という感じですね。「ようおこし」を使うことで、「気兼ねなく、トイレを使ってください」というような気軽さを表現したいという思いがあったのではないかと感じました。
■ 大阪メトロが「ようおこし」を採用したワケは?

大阪メトロの広報担当・荒木さんに伺った。
──「ようおこし」という言葉をチョイスした理由は?
トイレを通じてお客さまへおもてなしの心をお届けするとともに、地下鉄に対して親近感や愛着の気持ちを感じていただきたいという思いも込めて、この言葉を採用しました。
──トイレに歓迎の言葉というのはユニークな発想ですね。あと、トイレマークが一般的なものよりかなり大きいのも気になります。
一目でトイレの場所を認識してもらうことを意識しています。というのも、リニューアル前にお客さまから「場所がわかりにくい」というご指摘を多くいただいておりました。その原因は、駅のトイレは奥まった場所にあることが多いからだと考え、これを解決するため、駅構内ではあまり使用していない「木目調の仕上げ材」を導入するとともに、商業施設などで多用されている大型サインをさらに発展させました。
■ 大阪ならではの遊び心も・・・!

──よく見てみると、一般的なトイレマークと少し違いますよね?
頭をさげ、招き入れている意味をこめた男女のシンボルグラフィックとなっております。これは、おもてなしの心を表現するとともに、大阪ならではの遊び心も含まれているんですよ!
──大阪らしい、オリジナリティに溢れた絵文字なんですね。ほかにトイレでの工夫は?
さらに、お客さまにくつろいでいただける空間を目指すために、制作活動をしている社員が描いた絵画を飾ることになりました。全部で40種類以上ございますので、ぜひ楽しんでいただけたら光栄です。

◇
2025年5月現在、134駅中・149カ所/全180カ所で工事が完了。女性トイレには化粧直しのできるスタイリングコーナーが設置されているところもあり、より親しみやすい空間になっている。実際に大阪メトロへも、目の不自由な人から「トイレがわかりやすくなった」という喜びの声が寄せられているそうだ。

また、こういったユーザーファーストを意識した取り組みが評価され、2015年には「新大阪駅」の中改札内トイレが、鉄道駅では初となる『日本トイレ大賞~国土交通大臣賞~』を授賞した。
日々多くの人が忙しく行き交う「大阪メトロ」。目的地に向かう道中、「ようおこし」の文字に誘われるがまま、ほっと一息つく瞬間を過ごしてみては。 ※「ようおこし」と書かれていないトイレも存在します。
取材・文/緑川翠
画像提供:Osaka Metro
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