阪神淡路大震災から30年、おむすびが今日描きたかったこと

『おむすび』第75回のシーン(C)NHK
連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)は、阪神・淡路大震災から30年をむかえる2025年1月17日に何を描くのか。朝ドラファンが見守るなか、第15週「これが私の生きる道」第75回の冒頭では、現在の物語の舞台である2012年当時の実際の報道映像が流れた。
1月17日、阪神・淡路大震災が発生した5時46分に神戸の人たちが黙祷をするのに合わせ、同じ時刻に東北でも黙祷がおこなわれた。また同日の14時46分、東日本大震災が発生した時刻に、神戸から東北へ黙祷が捧げられた。
東日本大震災で被災した人たちのために、神戸の人たちが「それぞれ自分にできること」をする姿が描かれた今週。結(橋本環奈)は、腎盂腎炎と重い悪阻で入院して管理栄養士の西条(藤原紀香)に助けられたことや、2011年3月11日以降、周りの人たちがそれぞれに東北のために奔走するなか、娘の花が生まれたばかりで何もできなかったことなどを経て、管理栄養士を目指すことを決意する。第15週で描きたかったこと、伝えたかったことについて制作統括の宇佐川隆史さんと真鍋斎さんに訊いた。
■ 神戸と東北「黙祷の交換」で伝え合う思い
宇佐川さんは、「第15週、そして1月17日に放送される第75回で何を伝えるのかということについては、とてもこだわりました」と話し、こう続ける。
「阪神・淡路大震災、そして東日本大震災の被災者・関係者のみなさんに話をうかがい取材を重ねてきて、阪神・淡路大震災30年の節目の日に放送される第75回では、『結が前を向いて、新しいステージへの決意をする日』にしたいと強く思いました。これからの日本や、これからの私たちの姿勢を伝えたつもりですし、そのことがみなさんに少しでも届けばうれしいです」。
また真鍋さんは、第75回冒頭で流れた「神戸と東北、黙祷の交換」の映像について、「僕は今回、取材をしてこの『黙祷の交換』が2012年の1月17日にあったことを初めて知りました。2つの大きな震災の被災地に暮らす人たちが『思いを伝え合う』というのは非常に意義深いし、そのことをきちんと描いていきたいと思いました」と話す。
■ 『おむすび』は登場人物みんなが主人公
東日本大震災発生後、東京の病院に勤務する佳純(平祐奈)は医療ボランティアチームの一員として現地に赴き、栄養士としてできる支援をおこなった。歩(仲里依紗)はギャル仲間のネットワークを活用して現地に服や生活必需品を送り、聖人(北村有起哉)は理髪用鋏を、渡辺(緒方直人)は靴を送る。結の幼なじみ・菜摘(田畑志真)は商店街の福田(岡嶋秀昭)と共にボランティアとして被災地に赴いた。
わかりやすい「見せ場」を作ろうとするならば、ヒロインが矢も楯もたまらず現地に飛んでいってボランティアとして働き、東北の被災者たちに感謝されて・・・という展開にできたかもしれない。しかし『おむすび』の作り手はそうはしなかった。

この作劇の意図についてたずねると宇佐川さんは、「避難所の『食』はしっかりと描きたい部分でした。『おむすび』は、登場人物みんなが自分の人生の主人公で、誰もモブではない、ということを大事にしています。であれば、現地に赴くのは誰が適任なのか。それぞれがその人らしいアクションを起こしたという描き方をしました。出産後間もない結は花を育てながら、結なりの感じ方でずっと『命』について考えていたのだと思います」と話した。

■ 物語の底流にあるのは「惻隠の情」
ヒロインの活躍が拍手喝采を浴びる展開ではなく、『おむすび』は社会全体による「支え」を包括的に描こうとしているようだ。出産・育児と、東日本大震災を経て、結が管理栄養士を目指す展開について真鍋さんは、「今の社会情勢へのアンチテーゼを描いているので、戸惑う方がいらっしゃるかもしれません」と前置きしたうえで、
「脚本家の根本ノンジさんをはじめ制作陣としては、『流行っているから』という視点ではなく、どちらかというと『今の時代、忘れちゃってるよね』ということにスポットを当てています。つまるところ、惻隠の情(そくいんのじょう=人間が社会性を持つ生き物であることから生じる共感や他者を思いやる心)を主題にしているのですが、それを『素晴らしいでしょ』と言うのはちょっと違う気がして。その代わりにあえて『米田家の呪い』という言葉を使っています。これは我々作り手の、ある種の照れでもあるのですが。
ヒロインがアクティブにガンガン道を切り開いていくという朝ドラももちろんありだと思いますが、『おむすび』では違うアプローチをしています。朝ドラは半年間という放送期間のなか、いろんな人を描ける枠です。ヒロインの物語ではあるけれど、群像劇でもある。『日常』の描写を大事にしながら、いろんな人にスポットが当たるといいなと思いながら作っています」と、作劇の意図を明かした。
困っている人を助けることが「米田家の呪い」ではなく、「うちの生きる道」だと確信した結。もっとたくさんの人を支えるために、管理栄養士を目指す彼女のこれからを見守りたい。
取材・文/佐野華英
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