「これぞ文学大河!」まひろ覚醒にSNS大興奮【光る君へ】

まひろ(吉高由里子)に物語が「降りてきた」瞬間 (C)NHK
平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。8月18日放送の第31回「月の下で」では、藤原道長からの願いで、ついにまひろが『源氏物語』の執筆に着手。SNSでは、この瞬間を待っていた古典ファンたちからの、喜びと興奮のコメントが相次いだ(以下、ネタバレあり)。
■ 道長から天皇について聞き出したまひろは…第31回のあらすじ
まひろの家に突然訪れた藤原道長(柄本佑)は、まひろの書いた『カササギ語り』を、娘である中宮・彰子(見上愛)に献上したいと頼んできた。まひろが『カササギ語り』が焼失したことを伝えると、新しい物語を書くよう懇願。まひろは一度は断るが、あかね(和泉式部/泉里香)の歌や、清少納言(ファーストサマーウイカ)の『枕草子』に触れるうちに、難しいことをグダグダと考えるのが自分らしさだと気づき、道長の願いに応えることにした。

しかしその物語が、中宮ではなく一条天皇(塩野瑛久)に献上するのが真の目的だと知ったまひろは、道長から天皇の生身の姿をいろいろと聞き出す。天皇もまた人であり「人とはなんなのでございましょうか」と考えたまひろは、やがて1編の物語をつづり、道長を通じて天皇に献上する。それこそが「いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に・・・」ではじまり、のちに『源氏物語』と呼ばれることになる物語だった。
■ ドラマ開始から8カ月…歴史的瞬間にお祭り騒ぎ
吉高由里子が公式X(旧ツイッター)で「お待たせ致しました! 今宵! 源氏物語が爆誕しますよ」と予告した通り、ついにまひろが『源氏物語』(ただしタイトルはまだない)の第1帖「桐壷」に着手した第31回。『光る君へ』がはじまってから実に8カ月。物語は、ついに全視聴者が熱望していたと言っても過言ではない展開へと到達した。
実際SNSも「日本古典文学の原点よ、誕生おめでとう・・・!!!」「とうとう紫式部の才能が爆発する時が来た」「千年語り継がれる物語、著者兼編集者兼校正者兼改訂者、紫式部の誕生」「実質、ここまでの物語は、ここに行き着く為の前振りとも言える」「和紙に『い』と書かれただけで、これほどまでに感動して胸が震えるとは・・・」などの、歴史的瞬間を目撃したかのような、興奮の言葉がつらなった。

『源氏物語』執筆の動機については、はっきりしたことはわかっていないが、『光る君へ』では、道長から紫式部(まひろ)に直接依頼をしたという形に。ただ道長くんが最初に所望したのは、前回まひろの娘・賢子(福元愛悠)が焼失させた『カササギ語り』だった。ということは、もしこの作品が無傷だったら、道長くんはまひろに新作を迫ることはなかったはずなので、『源氏物語』は賢子の大ファインプレーで生まれた、とも言えるかもしれない。
■ 直秀の「おかしきことこそめでたけれ」を思い出す2人
そうして新作執筆を決意したまひろだが、道長がたびたび進捗を確認しに来る姿に、SNSでは「編集道長爆誕」「まひろが作家魂に目覚めた煽りで道長との関係が作家と編集になっててワロス」「しょっちゅう書き手のところへ訪れ、感想を述べる左大臣・道長。編集者ムーブとして解像度が高い」「原稿取りにもくるの?? 担当編集じゃん・・・左大臣、暇なの・・・?」などの言葉が寄せられていた。

人肌のぬくもりと闇の部分がない、つまりあえて「人」というものを完全には描かなかった『枕草子』をアンチテーゼとしたうえで、まひろと道長の友人だった散楽師・直秀(毎熊克哉)の「おかしきことこそめでたけれ」という創作の真髄を突く言葉を、2人で月を見ながら思い出す。そうしたまひろの経験の蓄積と、人一倍優れた知性と感性が融合して、ついに『源氏物語』が始動。その物語が「降りてきた」瞬間を、言葉が書かれた色とりどりの紙が、文字通りヒラヒラと降りてくるという演出が、SNSでは大盛りあがり。

「まひろちゃんが創造と想像の翼をはためかせたら、色とりどりの言の葉が舞い降りてきた!」「ある日突然、本当に不意に、ふわりと天から色んなものが降ってくる。創作者だけが感じることの出来る言語化出来ない閃きの感覚」「おおおおお・・・降ってきた降ってきた! ってまさかのかなり直接的表現w」「大河ドラマでアイデアが『降りて』くるシーン初めて見た」「これぞ、文学大河!!」などのコメントが相次いでいた。
■ 天皇の一連の行動に、SNS「お上、沼へようこそ」
そうして無事、一条天皇に献上された『源氏物語』だけど、当時物語は「女子どものための低俗な読み物」という扱いをされていたこともあって、インテリの天皇はあまり気が進まなかった様子。しかし誰もいなくなった夜中の宮廷で、こっそりとページを開いて一読し、すぐに閉じるという一連の行動に、天皇の未来予想図を嬉々として語る人が大量発生。

「やべえ作品を読み始めて、一回とじて心を整える一条帝。やべえ作品受容への解像度が高い」「次に頁を開かれる時はきっともう止まらないし、知らなかった頃に後戻りもできない。お上、沼へようこそ」「きっと帝は再びこれを開く。物語とはそういうもの。先が気になる。読まずにはいられなくなる。ましてやそれが愛する者の物語なら」「ちょ帝はやく読んで次それ貸して!」など、天皇の心境を推し量るような言葉がつづられていた。

唯一の読者がまだ足踏み状態という、順調とは言えない滑り出しではあるけれど、無事に1000年続く名作を世に送り出すことができたまひろ。しかしラストで出てきた「物語は生きております」という台詞と、次回サブタイが「誰がために書く」ということをあわせると、早くももっと広い対象を意識することになるようだ。いわゆる「ゾーンに入った」という状態に突入したまひろを止められるものは、もういない?
◇
『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。8月25日放送の第32回「誰がために書く」では、まひろの書いた物語に一条天皇が興味を示し、まひろが彰子の女房として、宮廷に出仕することになるまでを描く。
文/吉永美和子
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