ねじまき鳥クロニクルが舞台化、「動く絵画みたいな世界」

舞台『ねじまき鳥クロニクル』で主人公・トオルを演じる渡辺大知(9月26日・大阪市内)
小説家・村上春樹の代表作のひとつを、国内外の才能を集結させて舞台化した『ねじまき鳥クロニクル』。2020年の初演では、新型コロナウイルスの影響で全地方公演が中止となった幻の舞台の再演が決定した。
成河と2人1役で主人公・トオルを演じる俳優でミュージシャンの渡辺大知が、9月26日に大阪市内で会見をおこなった。
■ 原作ファンを裏切らない、「みんなで発明」
飼い猫と妻が突然行方不明になったトオルが、さまざまな人と対峙するうちに、いつの間にか「ねじまき鳥」をめぐる戦いに巻き込まれていく様を描いた長編。
複雑な構成を持つこの世界を、ポップな仕掛けが満載の舞台美術や、観客の想像力を喚起するダンスなどを駆使してビジュアル化し、作者の村上にも「美しい舞台」と言わせしめた作品だ。
初演の感触を渡辺は、「1から広げていくのではなくて、0から1の作業というか。今まで誰も観たことも聞いたこともない舞台を、みんなで発明したという実感がありました」と説明。
「村上さんの作品は、無数の糸が絡み合ってるけど、そこに1本の太い紐のようなものがあると思う。その原作の核みたいなものに、全員がリスペクトを込めて(舞台に)翻訳したつもりです」と、原作ファンを裏切らないという自信を見せた。
■ ダンスに魅了、「奥深さを今も勉強中」

主人公のトオルは、渡辺が「外面」を、成河が「内面」を担当し、彼の行動と心情を余すところなく見せるという「発明」がなされた。歌や演技だけでなく、ダンス的な動きができる身体も求められ、コンテンポラリーダンスを1年間稽古したという渡辺。それが「踊り」というものを深く考える、よいきっかけになったそう。
「音に合わせて体を揺らすのはわかるけど、何もない空間で『好きなように踊って』と言われても『踊りたくないです』となるので(笑)。『なんで踊りは存在しているのか?』『なぜ人は踊りたくなるのか?』ということをすごく考えました」と打ち明ける。
その結論として、「たとえば『嫌いだ』って言葉は強いから、口で言うと自分が思う以上の『嫌い』が伝わったりするんですけど、身体で距離を取ることで、言わずして『好きじゃないんだな』と伝えることができる。舞台におけるダンスはその延長なのかな? と思うし、その奥深さを今も勉強中です」と、すっかりダンスに魅せられたようだ。
■ 「見るだけで脳みそが開放されるよう」
小説同様、一筋縄ではいかない内容だが、「動く絵画みたいな世界なので、話が頭に入ってこなくても、見るだけで脳みそが開放されるような気分になると思います」と渡辺。
「今はいろんなコンテンツがあるけど、安心できるものじゃなくて『なんじゃこれ?』という気持ちに飢えている人には、ぜひ観てほしいです」と呼びかけた。
渡辺と成河以外に、門脇麦、大貫勇輔・首藤康之(Wキャスト)、吹越満、銀粉蝶などが出演。演出・振付・美術はイスラエルのアーティストのインバル・ピント、音楽は大友良英が担当する。11月の東京公演を経て、大阪公演は12月1日〜3日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)にて。チケットは1万2000円(発売中)。
取材・文・写真/吉永美和子
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