【どうする家康】家康と気の合う三成、将来の敵は今日の友?

『どうする家康』第35回より、星座の話で盛り上がる石田三成(右・中村七之助)と徳川家康(松本潤)(C)NHK
江戸幕府初代将軍・徳川家康の人生を、松本潤主演で描く大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。9月17日放送の第35回『欲望の怪物』では、のちに「関ヶ原の戦い」で激突する石田三成が初登場。将来の大敵との思いがけないロマンあふれる出会いに、SNSがザワついた。(以下、ネタバレあり)
■ どうする家康、話の合う男は切れ者・三成
豊臣秀吉(ムロツヨシ)への臣従を誓うために、大坂にやってきた家康。挨拶を終えた夜、ずっと夜空を眺めている風変わりな武士の姿を見かける。その若い武士は西洋の星座や天体の知識を家康に熱く語り、さらには「古い考えに凝り固まっていては、ものの真の姿はつかめませぬ。政もまた、新たなるやり方、新たなる考え方が必要」という持論も明かす。
話している相手が徳川家康だと知らされた彼は、あわてて秀吉の家臣・石田三成(中村七之助)だと名乗る。豊臣家きっての切れ者と噂されている三成と家康は、星の話で盛り上がり続け、見守っていた酒井忠次(大森南朋)ら家臣団も「殿は戦の話などではなく、ああいう話がしたかったお人なんじゃな」と、その姿をあたたかく見守るのだった・・・。
■ 「恋の序章」、家康と三成の出会い
言わずとしれた「関ヶ原の戦い」で、東軍・西軍に分かれて家康と対決することになる石田三成。歴代の大河ドラマでは、家康をはじめとする東軍の武将が主役だと悪役で、真田幸村などの西軍の武将が主役だと、人間的な描かれ方をするケースが多い。脚本家次第でキャラクターが大きく変化する、ある意味では腕の見せどころとも言える人物だ。

そんなわけで、徳川家康が主役の『どう家』であれば、さぞ最強ヒールな三成が出てくるのではないかと思いきや、この35回で初登場した三成は、家康にも負けないぐらいにオタク趣味の、似た者同士の好人物として登場。しかも星空について語りあうだなんて、相手が異性だったら完全に「恋の序章」とも言えるような出会い方だ。
SNSでも「今まで見てきた三成の中で一番眼がキラキラしてる」「石田三成と徳川家康が星の話してる。これは恋ですか?」「一体どうやったら、ここから関ヶ原の戦いが起こるん?」「これ関ヶ原合戦の前後にまた白兎が辛い思いをするパターンだ。世にも珍しい、三成のために泣く家康が見られるかも知れん」など絶賛の言葉がならんだ。
■ 今は、2人の蜜月をやさしい眼差しで
演じる歌舞伎俳優・中村七之助は、先に茶屋四郎次郎役で出演している中村勘九郎の弟で、歌舞伎では主に女形としてメキメキと評価を高めている注目の存在。最近では、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』でクシャナを演じ、その美しさと凜々しさで、多くの観客を沼にはめたのが記憶に新しい。実は松本潤とは高校時代の同級生で、親友と言える間柄だそう。

そのためSNSでは、七之助の登場について「潤くんと七之助さんが、大河ドラマで共演している。これは、本当に胸熱よ」「松本家康と石田七之助が並んで星空を見上げ語り合うとかいう激エモシーンかましてきたどう家、あまりにも俺たちを分かっている。泣いてまうぞ」「こんなに爽やかで好印象の三成、さすがは七之助さん」など、いろいろな言葉が並んだ。
もうこのまま関ヶ原になんか行かせず、2人を幸せにしようよ・・・、と思わずにいられない三成像だが、これは第1回で正室・瀬名(有村架純)が登場したときに感じた気持ちに通じるものがある。思えば瀬名も、家康の趣味や弱さをあたたかく受け入れて全肯定した唯一の存在。それが消えた今、瀬名と同じぐらい「本当の自分」をさらけ出せそうな相手として登場したのが、三成なのだ。
どうやら、家康目線だと一般的には「悪役」と評されている人を、とりわけ好人物として描き出して、彼や彼女との別れをより辛くさせるのが、このドラマの古沢良太のやり口だというのはだいぶ学んできた。そのため今年の関ヶ原は「家康勝った! よかった!」という爽快感ではなく「どうして、どうして・・・」というダウナーな気分に陥りそうな予感がする。しかし今は、2人の蜜月を家臣団とともに、やさしい眼差しで見守ろうではないか。
『どうする家康』はNHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアムは夕方6時から、BS4Kは昼12時15分から放送。9月24日放送の第36回『於愛日記』では、真田家への輿入れを反対する忠勝&稲の物語と、鳥居元忠(音尾琢真)が武田家の女性をかくまっていたことで起こる騒動を描いていく。
文/吉永美和子
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