珍しく壮絶な戦の描写、ダチョウ倶楽部コントとギャップの妙【どうする家康】

武田軍の攻勢を凌ぐ長篠城の城主・奥平信昌(左・白洲迅)(C)NHK
古沢良太脚本・松本潤主演で、江戸幕府初代将軍・徳川家康の、厳しい選択だらけの人生を描きだす大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。6月11日の第22回『設楽原の戦い』では、日本の戦のスタイルを大きく変えた運命の大戦が詳細に描かれ、そのリアルかつ壮絶な風景に、視聴者は家康らとともに圧倒された(以下、ネタバレあり)。
■ どうする家康、信長と主従関係に
長篠城を包囲した武田勝頼(眞栄田郷敦)の軍を駆逐するため、設楽原に陣を構えた織田信長(岡田准一)の軍勢。しかし、大きな柵を作るばかりで一向に動く気配がない。しびれをきらせた家康は兵を動かすよう信長に迫り、その結果武田を背後から追い込むため、徳川勢が鳶ヶ巣山砦を攻撃&攻略。勝頼は、前方の織田軍に攻め入るか、兵を引くか、2択を迫られる。

勝てる見込みのある戦しかしなかった父・信玄(阿部寛)を超えるため、あえて突撃を選んだ勝頼。しかし織田軍は3000丁もの鉄砲を五月雨のように発砲し、山県昌景(橋本さとし)をはじめとする多くの武田の兵士たちが討死する。信長と自分との格差を思い知らされた家康は、信長と対等な間柄ではなく、主従関係になることを受け入れるのだった・・・。
■ 珍しく力の入った戦を描いた回
単に織田と武田の命運を分けただけではなく、戦の勝敗は兵士よりも武器の力、イコールそれを仕入れるための財力にかかってくる・・・、その重大な分岐点となった「設楽原の戦い」。家康および信康にとって、それがいかにディープインパクトだったかを印象づけるためか、人間ドラマに重きを置く「どう家」には珍しく、戦の描写に力が入った回だった。

SNSでも「教科書で出てきたから分かってたことだけど、ここで鉄砲の登場。なかなか残酷だな」「天下最強の騎馬隊が、こんなにも無力になるって本当に当時の銃の恐ろしさを感じる」「秀吉の言う通り、新しい時代の戦い方は金次第」「戦争の本質が戦いから技術開発に移ってしまった」などの、ショックを引きずったような言葉が。
また、不利とわかってもあえて「一の神業」を選んだ勝頼には、「策も読んだ、不利もわかってる。しかしそれでも前に進んだ武田勝頼公を笑えようか」「なまじノッブが(桶狭間の戦いで)クソデカジャイアントキリングかましてるから気持ちはわかる」「偉大なる父を超えたいあせりなのか、偉大なる父に認められたおごりなのか」など無念の声が並んだ。
■ 戦国時代のダチョウ倶楽部コント
この戦の描写に加えて、このあとの悲劇の前触れがいろいろ感じられるなど、ドヨンとすることの多い22回だったが、『鎌倉殿の13人』の脚本・三谷幸喜と同じく、こういうときこそ息抜き代わりのライトな笑いを盛り込んでくれるのが、古沢良太の良心かもしれない。
まず、おそらく織田側もその策を思いついたものの、危険だから徳川に押し付けたいな~と考えていたはずの「鳶ヶ巣山砦」攻撃案。これをうっかり口にした徳川方に対して、織田の家臣が「いやいや私が(やりましょう)」と口で言いながらも、徳川軍が行かざるをえなくなる流れにする猿芝居が、あまりにも「ダチョウ倶楽部」だったことに、視聴者は爆笑。
「秀吉が碁石で匂わせて、あえて『徳川から案を出させた』という構図にしてからダチョウ倶楽部する織田家中、面白すぎる」「こんなに生死を分けるどーぞどーぞ見たことないよ笑」「日本一嫌なダチョウ倶楽部コント」など、笑い混じりの声が見られた。

また徳川方は徳川方で、砦を攻撃する景気づけに「海老すくい」を踊る家臣たちを見て、小姓になったばかりの井伊万千代(板垣李光人)が目を白黒させていたことに「万千代くんが戸惑ってる! かつての神の君のようだ。やはり初見は引くw」「大丈夫だよ万千代。初回から観てる私も『このタイミングで?』って戸惑ってる」「昭和のおっさんのなかに混じる令和新卒みたいになっとる」と、ほほえましいコメントが並んだ。
今回さんざんコテンパンにされた武田勝頼。信長の「あるいは信玄を超える器」という評価に応えるように、ここから「うそー?」ってなるほど粘り続けるので、まだまだ活躍に期待してもらいたい。また自軍の屍のなか最後に散った山県昌景役の橋本さとしは、6月末開幕の注目ミュージカル『ムーラン・ルージュ!』に出演。昌景とは驚くほどのギャップがあると思うので、興味のある方はぜひ(東京公演のみ)。
『どうする家康』は、NHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアムで夕方6時から、BS4Kは昼12時15分から放送。6月18日の第23回『瀬名、覚醒』では、瀬名と武田の忍び・千代(古川琴音)の関係が事件を呼び込むとともに、新たに側室となる於愛(広瀬アリス)が初登場する。
文/吉永美和子
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