出演オファーが絶えない俳優・東出昌大「誠実に役に向き合いたい」

映画『Winny』で不世出の天才プログラマー・金子勇さんを演じた東出昌大
「そんな生意気なこと言ってましたか(笑)」(東出)
──こういったノンフィクション作品だと、残されたご家族もそうですし、演じているご本人がご存命の場合もあるわけで。架空のキャラクターを演じるのとは、やはり違うものですか?
う〜ん。そこはあまり変わらないように思います。こうやって映像が残っていたり、生前の彼をご存じの方がたくさんいらっしゃる場合は、プレッシャーではなく、むしろ役作りのためにいろいろお話をおうかがいできるということなので、ビジュアル的にも、また話し方や仕草、考え方などもそこに近づいていけると思うんです。
ただ、映画としての面白さだけを考えてしまったら、それはご遺族の方、ご友人の方の傷口に塩を塗り込むことになってしまう。それは絶対しちゃいけない。同じように、西日本豪雨を描いた映画『とべない風船』(宮川博至監督、東出昌大主演)は架空のキャラクターなんですけど、実際に被災された方々が大勢いらっしゃって。上辺だけの芝居をしてたら絶対に傷つけてしまう、そうならないように誠実に役に向き合いたいと思っていました。

──役者として、そういった考えになったのはいつ頃ですか?
そうありたいとは駆け出しの頃から思っていたんですけど、なにせ不勉強だったのと、頭でっかちに「なんでできないんだ、自分が悪いのか、人が悪いのか」って、いろいろな人や環境のせいにしてました。
5〜6年目くらいで、「おや、こういうことなのかな?」って、ちょっとずつ分かってきて。最近は、打席に立ったらフルスイングでバットを振れるようになってきた気がします。もっともっと、長打を打てるホームランバッターになれればと思うんですけど。
──実は以前、映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)で取材させていただいたんですね。パリコレモデルという華やかなキャリアを捨てて、役者の道に進むことを決めたあの当時、「いい役者になるためには、努力は惜しまない」とおっしゃっていて。
『桐島、〜』が初めての演技でしたね。僕、そんな生意気なこと言ってましたか(笑)。

──当時は、その取り組む姿勢にすごく真摯な印象を受けましたが、その後、映画の主演はもちろん、朝ドラや大河ドラマなどに続々出演が決まり、仕事と成長のスピードがなかなかイコールにならない歯がゆさもあったのかなと。
それは大変ありましたね。日本の芸能界において、なのかは分からないですが、それは相対的な評価のなかで、仕事が来て、いいチャンスだから、これもチャンスだから、って、自分がそこに見合ってない実力なのに送り込まれるということは、若手の頃はすごくあったように思います。
もちろん、不誠実な仕事はしたくないと思いながらも、乗りかかった船なんだから、とにかく現場に出て行きなさいとも話があり。仕事を休んで、演技のワークショップに参加したりできないような出発点に立っちゃったんですね。最初の3、4年はずっと苦しかったですし、毎日現場に行くのが恐かったです。
──それはそうだと思います。ただ、その「見合ってない実力」の印象がガラリと変わったのが、2016年の映画『聖の青春』でした。「東の羽生、西の村山」と称されながら、夢半ばで亡くなられた将棋棋士・村山聖(松山ケンイチ)のライバル・羽生善治を演じられたときで。
あぁ! ありがとうございます。
──役への入り方や在り方、明らかに今までと顔が変わったなと。それと同じような、東出昌大という役者の器がさらに広がった印象を、ここ最近の『天井の花』『飛べない風船』『Winny』で感じたりして。
『聖の青春』で森義隆監督に言われたのが、「もっとお前が勝負しろ」と。「羽生善治というのは修羅だから、修羅になれ。鬼になれ!」って。役のコアを掴む、と言いますか。自分のなかに核を入れ込むみたいなことを、やっていいんだ、できるようになるんだと思ったのが、瀬々敬久監督の『菊とギロチン』(2018年)でした。
でも、そういう役ってしんどいんですよ(苦笑)。そういう仕事をしていたら、「あいつ、しんどい仕事も受けるぞ」みたいな(笑)。立て続けにこういう役をやらせていただいてる近年のような気がしてます。
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