独自のアレンジも日本流? シュトーレンの楽しみ方を訊いた

菓子工房シュクルリの店主・井藤さんいわく「口の中の水分を持っていかれるので、食べるときはお好きな飲み物と一緒に」とのこと
イルミネーションやツリーでにぎやかな12月といえば、クリスマスに登場するデコレーションケーキやブッシュドノエルなどスイーツを心待ちにしている人も多いだろう。
最近では、ドイツで古くから伝わるお菓子「シュトーレン(シュトレン)」が日本でも定着しつつある。洋酒がきいたドライフルーツがたっぷり入り、しっかりとした甘さが魅力のシュトーレン。しかし、スライスの仕方や食べる期間などが決まっており、少々敷居が高いイメージもないだろうか?
そこで、「大仏チョコレート」や「卒塔婆ムース」など個性的なスイーツで人気を集める一方、毎年クリスマスにあわせてシュトーレンを販売している「菓子工房シュクルリ」(大阪市西淀川区)の店主・井藤さんに話を訊いた。
■ クリスマスまで、ちょっとずつ食べるシュトーレン
──シュトーレンといえば毎日少しずつ食べていくお菓子ですが、これはどうしてなのでしょうか?
シュトーレンは、一般的に「1cmくらいにスライスして食べる」という食べ方が知られています。これは「アドベント(待降節)」の観点から見ると、クリスマスを迎えるまでの4週間、ちょっとずつスライスし、日数が減っていくのを待つという意味が込められています。
一方で「寝かせる(熟させる)」お菓子でもあります。出来立てと、1カ月ほど寝かせて中のスパイスやフルーツ、水分などが馴染んで深くなった時の「味と食感」は別物。そんな変化を毎日楽しむためにもちょっとずつ食べるという食べ方がぴったりというわけです。
──時間が経つほどにおいしくなっていくわけですね。ちなみに、スライスする際は「まず真ん中でカットし、食べる分をスライスしたら残りをくっつけて保存するのが正しい切り方」と聞いたことがあるのですが、これは正解なのでしょうか?
本来の食べ方ではそちらが正しいでしょう。ただ、この食べ方が伝わっていたのは、ラップや袋など保存用の道具がない大昔の話じゃないでしょうか? 現代なら、乾燥を防ぐ方法はいくらでもあります。
それに、中心部からスライスすると、左右の2つを合わせていく際、周りの粉糖がパラパラ落ちて汚くなってしまいます。せっかくラップや袋があるわけですから、端っこからスライスし綺麗な状態のまま最後まで食べた方がいいと、私は思いますね。
──切り方にとらわれすぎない方がいいということですね。でもそうなると、ついつい多めにスライスして食べ過ぎてしまいそうです・・・。
シュトーレンは、生地に使う砂糖に限っていえばほかのお菓子に比べると少量です。ですが、小麦粉とアーモンドパウダーが主な材料で、さらに最後に溶かしたバターに浸し、表面を砂糖でコーティングします。カロリーは100gあたり大体500キロカロリーもある「バケモノお菓子」です。
ウチで作ってるシュトーレンは、1本だいたい400gほどなので2000キロカロリーくらいですね。が、そもそもほとんどのお菓子はバター、小麦粉、砂糖が主な材料ということもありハイカロリーな食べ物。カロリーを気にするなら、食べない方がいいかもしれません(笑)。

■ 自由にアレンジする、日本流のシュトーレン
──せっかく食べるならカロリーは忘れることにします! ちなみに「シュクルリ」さんでは、今年から新たに「チョコミント味」のシュトーレンがラインアップに追加されたんですよね。こちらはどういった経緯で生まれたのでしょうか?
ウチはクッキーやドーナツ、カヌレなどチョコミントフレーバーを推し出してる店なんですが、友人のケーキ屋に遊びに行った際「チョコミント推しなんやから、シュトーレンもチョコミントでやったらいいのに〜」なんて言われまして、それがきっかけとなりました。
その言葉を聞いてすぐ試作を始め、翌週には完成。試作段階の写真などもツイッターに載せ、お客さんの反応を見たり「チョコミン党」たちの意見を聞いたりして改良を重ね、完成しました。
──ドイツのお菓子といえば素朴で重厚なイメージがあるので「チョコミントシュトーレン」はなかなか斬新なフレーバーに感じます。
よくSNSなどで「シュトーレンはこうあるべき、〇〇なのはシュトーレンとは言わない」と主張している人がいるんです。確かに、ドイツならシュトーレンに関する法律があるくらい製造に厳しいです。「水分は〇%以下でないといけない、アーモンドは全体の〇%以上でないといけない、ドライフルーツはラム酒に漬け込んだ物を使用すること、条件を満たさないとシュトーレンとは名乗れない」など・・・。
それで言うとうちが出している「チョコミントシュトーレン」はシュトーレンじゃないですよね、要件を全く満たしてないから。ただ、日本は他国の文化を勝手にカスタマイズするのが得意なお国柄なので、私はこれでいいと思ってます。「これはシュトーレンじゃない!」と断ずるのは、例えるなら海外で人気なお寿司を「コレは本来の寿司じゃない!」と怒ってるのと同じことです。
──なるほど。
なので、シュトーレンもいろんなアレンジをしていいし、好きに食べていいのではないでしょうか。ただ、シュトーレンの歴史や作られた経緯を知ったうえで作る・食べると、より楽しみは増すはずですよ!
◇
カフェチェーン「スターバックス」や高級スーパーの「紀ノ国屋」などでも販売され、「阪神梅田本店」では26種類のシュトーレンが集まる『HANSHINシュトレンコレクション2022』が開催中。シュトーレンを食べながらクリスマスを楽しみに待ちたい。
取材・文/つちだ四郎
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