淡路島の「アジ」が関東で人気って…どゆこと? 旨さの秘訣

2022.10.22 07:15

淡路島・沼島で獲れる「ぬしま鰺」

(写真4枚)

東京の「豊洲市場」で鰺界のトップブランドとして注目されている、淡路島・沼島産の鰺をご存知だろうか? 口のなかに入れた瞬間プリッと弾ける脂身が特徴の「ぬしま鰺」、関東では馴染みのあるものの、地元・関西ではあまり流通していないんだとか。そんな状況を変えるべく、現在とある取り組みがされており、記者も「伝説の鰺」を口にしてみた。

■ 手に触れない「ぬしま鰺」とは、なんぞや?

淡路島の南に浮かぶ沼島で、「魚を丁寧に扱う」という兵庫に根付く漁業を生かして誕生した「ぬしま鰺」。1本釣りというのは聞いたことがある人もいるかもしれないが、この方法は網を張って大量に捕獲する小・中魚にありがちな方法とは違い、「1本」という名の通り丁寧に手を使って獲る。

「選別するとき、締めるときの2回しか触らない。(魚に)ストレスをかけずに獲れるから、日持ちも違う。これは沼島で昔から大切にされている方法なんです」と、地元でアジの1本釣りに携わる石井さん。思わず「そんなに触らないで、釣りってできるんですね」と言ってしまった記者だったが「傷つけないこと」を第一に漁業をおこなっていると石井さんは話す。

■ 「関西でも広げたい」と新プロジェクト

そんな丁寧に捕獲されたアジは、調理のときもなるべく人間の熱が伝わらないよう、料理へと仕上がっていくため、新鮮さが何よりも特徴。そして「そんな新鮮な鰺をより関西でも広げたい」と立ち上がったのが神戸新聞社で、地元の漁師・漁協と手を取り合い、「新聞の配達網」という独自の強みを生かして、地元の神戸でも食べられるシステムを築き上げることを目的に動き出した。

ぬしま鰺を堪能すべく作られた「鰺尽くしランチ」

今回記者は、そんな配達網を使って神戸にやってきた鰺を食べるため、「神戸ポートピアホテル」(神戸市中央区)内のレストラン「日本料理 神戸 たむら」で開催された試食会に参加。「鯵尽くしランチ」と名付けられ、さまざまな料理に扮した「ぬしま鰺」を初めて食べてみた。

■ いざ、実食「脂が至極・・・」

まず口にしたのは素材そのままの「鯵のお造り」で、本山葵と醤油をつけていただいた。口に入れた瞬間からお肉かと思うほどの脂身に驚きを隠せず、「お造りでここまで旨かったら、なめろうなんて・・・」と思い、箸をつけたが、巷の居酒屋で食べていた「なめろう」の概念が覆るほど、身がとにかく濃厚だった。

「鰺の煮付け」一般的な家庭ではあまり見かけない料理だが、漁師の間では慣れ親しんだメニューだという

またそこから「フライ」「南蛮漬け」「煮付け」と食べ進めていったが、「素でも十分に楽しめる食材なので、ちょっと勿体無いのでは?」と同ホテルの森本料理長尋ねてみた。すると「1日寝かせるとグンと甘みが増し、また、旨い素材は火を入れたほうがおいしかったりもする。煮付けはその良い例です」という。

ぬしま鰺を関西でも広げるためには、積極的に人々が口にする機会を増やし、認知拡大する必要がある。そのため今後も神戸新聞社や地元の漁師たちは、一丸となってプロジェクトを進めていきたいとのことだ。「鰺尽くしランチ」の提供も視野に入れているとのことなので、続報に期待したい。

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