異例の解散報告を終え…雨上がり決死隊は何がスゴかったのか

蛍原徹と宮迫博之によるお笑いコンビ「雨上がり決死隊」の解散報告会の様子 (C)テレビ朝日
■ MC担当番組は若手芸人の登竜門に
雨上がり決死隊のふたつめの魅力は「MC力」だ。雨上がり決死隊のMCスタイルは、どんなにニッチな題材でも、ゲストの芸人たちの持ち味を生かしながら、その世界の見識を広げていくところにあるだろう。書籍『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり <ポスト平成>のテレビバラエティ論』(2018年)で著者・ラリー遠田氏は、メガネ芸人といったくくりトークの手法を編み出した『アメトーーク!』の特性について、「どうでもいいことを力技で笑いに変える」と評したが、それは番組の企画性と雨上がり決死隊の腕の良さが相まったものである。
『アメトーーク!』ですべり芸人として登場したワッキーは、雑誌『Quick Japan Vol.79』(2008年)のなかで「雨さんがゲームメイクして、俺がオウンゴールを連発する」と、オチまでの道筋を雨上がり決死隊がいかに巧妙に作っているか語り、番組プロデューサーの加地倫三氏も同書で「お2人の拾い方がうまい」とMCとしての力を絶賛した。
日本テレビ系『芸人報道』(2010〜2014年)も、そんな雨上がり決死隊の仕切りのうまさを感じさせた番組のひとつ。雑誌『コメ旬 Vol.5』(2012年)のインタビューで宮迫は、番組内容について「どうでもいい芸人の情報ばっかり」としていたが、しかし無名芸人が同番組に出演すると、途端に業界内評価が高まった。
たとえば出演者のストロベビー・ディエゴは俳優・唐沢寿明に可愛がられるまでになり、中居正広の番組『うもれびと』(フジテレビ系)にも呼ばれた。『アメトーーク!』も然りだが、世間にあまり知られていない芸人も雨上がり決死隊の手にかかると、輝くことができる。宮迫、蛍原は着眼点に優れているのだろう。こうしてふたりがMCをつとめる各番組は若手芸人とって登竜門となっていった。
■ 芸人から慕われる力
また雨上がり決死隊は、「芸人支持率」が高いコンビであることもよく知られている。さまぁ〜ず、くりぃむしちゅーと共演したテレビ朝日系『ミドル3』(2004〜2007年)は、当時中堅芸人であり、また後輩芸人らにとって、ビートたけし、明石家さんま、タモリの「ビッグ3」よりも親しみやすい存在として起立するために名付けられたタイトルだが、面倒見の良い雨上がり決死隊にもぴったりのものである。
若手の頃は天素で期生が近い芸人たちと切磋琢磨し、『アメトーーク!』で「先輩後輩芸人」「華の47年生まれ芸人」といった企画を成立できたのは、雨上がり決死隊が昔から「世代」というものを強く意識しながら活動していたからではないか。

天素で一緒だったフジモンは「解散報告会」でお笑い芸人としてはありえないくらい涙を流し、ナインティナインも19日の『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で「仲良くしてもらい、甘えさせてもらった。天然素材を背負っていたのは雨上がり決死隊だった」と感謝。
後輩の中川家も解散発表当日の『ザ・ラジオショー』で、「このニュースを知ってから気持ちが下がった。お世話になっていたから。ハリガネロックが解散したときよりもショック。現状維持でも良かったのに、何も解散までしなくても・・・」と肩を落とし、狩野英孝は翌日のTBSラジオ『JUNK』で「大御所のMCは本来、楽屋は別々だけど、雨さんはいつも一緒だった」など思い出話に花を咲かせた。そういった声は、すべて雨上がり決死隊は信頼の厚さからくるものではないだろうか。
芸人の持ち込み企画を柔軟に受け入れ、チームとして雛壇芸人と一体となって盛り上げ、くすぶる芸人たちをフックアップしてきたバラエティ番組『アメトーーク!』。そんな稀有な番組が成立するほど芸人から慕われる力を持っていたのが、雨上がり決死隊だった。
今後は蛍原ひとりで続けていくことになったが、時代を代表するコンビだったことは間違いない。
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