結成14年目・令和喜多みな実、芸を磨き生まれた「即興漫才」

左から、令和喜多みな実の河野良祐、野村尚平
野村「とにかく『おもしろいもの』を作りたくて吉本に入ったのに」
──アキナのお2人とはどういう話をしたんですか。
野村:「お前ら、それって寂しないか? 一蓮托生でやっているのに、結婚報告もないのはさすがに良くない」と。アキナさんはいつもやさしいし、そういうことをおっしゃるイメージがなかったから、僕もこいつも目が丸くなったというか。
河野:確かに、アキナさんに話を聞いてもらったのがめちゃくちゃ大きかったですね。その食事会の帰り道、山名さんが「俺は毎年、年初めに『今年はもっと秋山さんのことを好きになろう』と考えるねん」とおっしゃったんです。「いつも仲が良いのにさらにそんな風に思うのか」とハッとさせられました。「俺はこのままやったらアカン」って。
野村:色んなところからお互いに歪みが生まれていって、コンビ間で向き合うことができなくなりました。普段の会話がなくなったのでラジオや舞台上でこいつをイジるようになったけど、それも「なぜ人前で俺を下げることを言うんや」と。何をやってもあかんねやっていうので、冷戦が永遠に続きましたね。
河野:当時、野村のやりたいことがまったく理解できなかったんですよね。僕はテレビに出たくて吉本に入ったし、とにかく売れることばかり考えていたけど、こいつは違いましたから。
野村:そうそう、僕はとにかくおもしろいものを作りたくて吉本に入ったんです。そうしたら賞レースや大会ばかりだし、劇場でも芸人同士のピラミッドみたいな力関係の構図があって、そこで残り続けなきゃならない。「果たしてそれって必要なのか」とずっと疑問を抱きながら、何となく闘い方が分かってきた時期には、霜降り明星など下の世代が台頭してきた。しかも彼らはすごくおもしろかったですから、自分で自分らの中途半端さが見えてしまった。
でも決して運が悪いわけでも、努力を怠ってきたわけでもない。周りから「テレビにたくさん出ていたとき、チャンスをつかめたはずなのに、もったいないことをした」とか言われることもあるけど、そんなことはない。今、僕は劇団コケコッコーなどで物作りや芸事に打ち込めているし、こいつはMCとか単独の仕事が増えている。自分らにとって本来あるべき形になってきました。

河野「即興漫才では、想定外のものが生まれたりする」
──今回のツアーでは各公演、60分間の即興漫才に挑まれるそうですね。そもそも即興漫才に取り組みはじめた動機は何だったのでしょうか。
野村:きっかけは昨年の新型コロナですね。以前のように練習を重ねてネタを作り込むことが難しくなったなかで、新ネタ作りや単独ライブへのアプローチをどうしようか考えたとき、「よそのコンビと同じことをやってもな」と感じたんです。「じゃあ、会議室でやるようなネタ作りの過程をそのまま観てもらおう」と。そしてその場でお客さんからテーマを募集する、参加型の即興漫才をやり始めました。
河野:オンライン配信で鑑賞するお客さんも、テーマを送ることができますし。普通の配信イベントよりも視聴者との距離感は近いです。あと、14年も漫才をやっていると、新ネタのテーマに困ったりするんですよ。その点、自分たちの発想にはないテーマをお客さんが出してくれたりするんで、そこがやっていておもしろいですね。
──その場でネタが決まるということは、野村さんがどんなボケを出してくるか、河野さんとしては掴みづらい部分があるんじゃないですか。
河野:野村はもともとアドリブをよくぶつけてくるタイプなんです。言い回し、感情などがその時々で変わるので、昔から漫才のときは毎回驚きがあります。どういう展開に流れるか分からない。だからいつも新鮮な気持ちで楽しませてもらっています。
野村:劇場の寄席公演って多いときは15組から20組くらいの芸人が出てきて、賞レースで通用するような作り込んだ競技用漫才をお客さんに見せる。そういうことはほかのコンビがやってくれるので、「じゃあ僕らはその場で生まれるものを大事にしよう」と。漫才中もお互いのその場の会話を大切にします。
でも、こいつ(河野)がその会話に興味がなければスパッと切られてしまう。そうなったら、彼のプライベートの話も巻き込んで、怒り、悲しみなどの感情を呼び起こしていったり・・・。横柄に聞こえるかもしれませんが、僕らも漫才コンビとして14年やってきたので、どんな現場でも対応できるものは磨いてきたつもりです。今回の即興漫才のツアーはそういう部分が反映されると思います。

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