デブのレンタルサービス、女性記者が利用したら・・・ほっこりした件

大きいサイズの洋服専門店の公式アンバサダーとしても活躍する「おこめさん」
日本各地で登録されているデブを1時間・2000円でレンタルできる「デブカリ」。大阪の大きいサイズ服専門店「QZILLA」が始めた事業だが、いったいどんなサービスなのか。そもそも、デブと言われることについて、どう思っているのか。女性記者が、取材も兼ねて実際にレンタルしてみた。
初めての待ち合わせ、そこに現れたのは・・・。
今回、レンタルしたのは、大阪の女性「おこめさん」。大きいサイズの洋服専門店「エンジェルサイズ」公式アンバサダーとしても活躍し、デブでも着られる可愛いファッションやおいしい料理、スイーツなどについてSNSで随時発信しているという。
当日は喫茶店集合にしたが、約束の数分前からキョロキョロしているデブを発見。間違いなくおこめさんだ! 待ち合わせに苦労しないのも特徴かも。現れたおこめさんは、少しピンクがかったヘアスタイルに、フリルのブラウスの女性。第一印象は、癒やし系で奥ゆかしく、上品でとても可愛らしい女性だ。
ちなみにおこめさんにとって、今回が初めての依頼だそう。「めちゃめちゃドキドキしています」と緊張が伝わってくるが、ニコニコの笑顔はもちろん、これまで感じたことがない安心感に記者もなぜかほっこりモード。これこそが、デブの魅力なのかも。
デブという言葉は、使い方次第でポジティブに。
おこめさんが「デブカリ」に登録したきっかけは、知り合い(もちろんデブ)からの紹介。登録できる条件に「体重が100kg以上」「デブとして誇りを持っていること」があるが、女性としてそう言われることについてどう思っているのか。
おこめさん曰く、「全然知らない人にデブって言われたら、やだなって思うかもしれないです。でも、愛着のある呼ばれ方ならうれしいかな。デブという言葉を関西の『あいつアホやなー』って使うみたいに、デブやけどかわいいな、とか、やさしいな、みたいに」とのこと。

同サービスを運営するマイコー社長も、「僕らの会社ではお客さんに『デブ』って使います。それを発信していくことで東(関東)の会社も使うようになってきた。『デブ』を誉め言葉、個性のひとつに変えていこうというのが、僕らの会社であり、この『デブカリ』です!」と力を込める。
人気のあるデブは、自己プロデュース力。
ちなみに、現在80人以上が「デブカリ」に登録しているが、そのなかでも人気者と、そうでない人には特徴があるという。
マイコー社長は、「セルフ・プロデュースがうまいデブには、よくお声がかかります。人気があるデブはその体型に誇りを持っていて、依頼者への提案力もスゴい。必要があれば自己紹介欄のアドバイスはしますが、おこめさんのプロフィールは100点でした」と話す。

たしかに、おこめさんの紹介ページを見てみると、キュートなポートレートのほか、「スイーツとおしゃれが好きな朗らかデブ」という大きな文字。さらに、「デブ歴は浅いですが、食欲は一流です!」「いっぱい歩くとヒザが痛いので体力仕事は勘弁」など、思わずクスッと笑ってしまう文面も。これについておこめさんは、「どうしたらたくさんの人に興味を持ってもらえるのかを考えました」と笑う。
デブでも自分らしく、自信を持てるきっかけになりたい。
おこめさんは現在、インスタグラムを通してファッションやグルメ情報を発信している。「太ったばかりのころ、着られる服がなくて悩んでいて。コーディネートの参考にぽっちゃりさんのSNSを見たら、ありのままの自分でいる姿に、『ステキやなー』って思ったんです。そして、私自身が誰かのそういうきっかけになればと思って始めました」と話す。
また、この「デブカリ」を通じては、「これから、なかなか、外に出られない状況が続いているなかで、体形を保ちづらい方もいると思うんです。そういう人たちも自信が持てるような、自分を認められるようなきっかけに(私自身の存在が)なれるよう、頑張っていきたい」とも。
その素直で誠実なキャラクターにほっこりさせられたところで、この日の報酬(1時間・2000円)をおこめさんに手渡した。「ありがとうございます。これでおいしいスイーツ食べます」と満面の笑顔。そして、帰り際の階段で、「私はエレベーターで降ります」とスーッと消えていったのだった。「デブカリ」はオンラインでのレンタルも可。
取材・写真/岡田由佳子
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