カリスマ編集者演じる柄本佑「あ、自分と顔が似てるなって」

1980年代を代表するサブカル誌にしてエロ本という伝説的雑誌『写真時代』。そのカリスマ編集長・末井昭の半生を綴った自伝エッセイ『素敵なダイナマイトスキャンダル』が映画化された。母親が隣家の息子とダイナマイトで心中するという衝撃的な出来事から、いかにして時代を代表する雑誌の編集長となったのか。監督は『南瓜とマヨネーズ』(2017年)の冨永昌敬。主演の柄本佑に話を訊いた。
取材・文/春岡勇二
「撮影前に、靴取り替え事件があって」(柄本佑)
──まずは、出演のオファーがきた際のお気持ちから教えてください。
脚本を渡されて、作品の内容を知ったのは2017年の年明け頃だったのですが、冨永監督から映画のオファーがくるかもしれないという情報は2016年の夏にすでに聞いていて、もしそうなったら受けようというのは初めから決めていました。
冨永監督とは初めての仕事だったのですが作品は以前から知っていて、機会があればご一緒したいとずっと思っていたので。だから、実は題材がこの『素敵なダイナマイトスキャンダル』でなくても、受けていたと思います。
──では、原作『素敵なダイナマイトスキャンダル』の著者で、1980年代の著名な雑誌編集者である末井昭さんを演じられることについてはどうでしたか?
脚本を渡される前に、まず原作を読もうと書店に行ったんです。そこで原作の文庫本を見つけたのですが、表紙が、以前CMで見たことがあった女装した末井さんの写真で。「ああ、なるほど。自分と顔が似てるな」って思いました。だからまあ、やれるかなと(笑)。
その後、冨永監督にお会いしたときに「別に本人に似せようと考えなくていいから。佑くんのままで」って言われて、それで実在の人物を演じるっていうことの重圧からはかなり解放されましたね。
──原作を読まれて、どう思われました?
面白かったですね。末井さんが、ご自身のことなのに客観的にさらりと書かれていて。しかも、これって実は大変なことなんじゃないのっていうことが、全然大変そうに書かれていなくって。借金3億円とか(笑)。文体が面白く、末井さんの飄々とした人柄が伝わってきました。
──撮影前に、末井さんの故郷を訪ねられたとか。
そうなんです。クランクインする前に2週間ほど空きがあったので、東京にいてもどうせいつもと同じように映画館に行くか、喫茶店で台詞を覚えるかぐらいしかしないですから。普段、全然旅行とかしない人間なんですけど、思い切って行ってみようかなと。
──監督からは、本人に似せることはないと言われていたわけですが、やはりなにか参考にしようという気持ちがあったわけですか?
いや、単に暇だったからです(笑)。実はその前に、靴取り替え事件というのがあって。初めて末井さんにお会いしたとき、末井さんが間違えて僕の靴を履いて帰られたんです。同じメーカーのスニーカーで、色もサイズも一緒だったもので。
僕はすぐに気付いたんですが、「この人を演じるわけだし、まあいいかな」って、僕もそのまま末井さんの靴を履いて帰ったんです。そんなこともあって、ふっと末井さんの故郷に行ってみようかなって思ったんですね。そのときも末井さんのスニーカーで行きました。

──故郷を訪ねられたことは、演じる上で役に立ちましたか?
どうでしょうか、自分ではわからないですね。でも、行って良かったとは思います。ご自宅の在った場所を訪ね、裏の池を見て「ああここが、ダイナマイトを爆発させて魚を取ってた池かぁ」とか思いましたから。育った町の様子とかわかりましたし。
──末井さんに実際に会われたとき、どんな印象を持たれました?
じっと見つめられて、すべてを見透かされているようで怖かったですね。なにも取り繕うことができなくて、正直に曝け出してしまった感じでした。
──撮影そのものは、どんな感じだったのですか?
打ち合わせも含めて1カ月半ほどの現場だったのですが、ほんとに楽しくてノン・ストレスでした。60年代後半から80年代末までの末井さんを描くのですが、その頃出会った人たちを演じる役者さんたちがほとんど日替わりのように共演者として現場に現れて、僕にとって「初めまして」とか「お久しぶりです」とかいう人たちばかりで、すごく刺激的でした。
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