廣木隆一監督、故郷・福島を想う「撮れなくてもいい、と」

福島の現在を、憤りを抱えながら逆に淡々と描いた廣木隆一監督
「ここまできたらどんどん撮ってやろうと」(廣木監督)
──うまいと言えば、父親役の光石研さんも、隣の仮設住宅に住んでいる戸田昌宏さんもよかったです。
初めは、父親のシーンがもう少し多かったんです。でも、光石さんがうまいから、そのままだとお父さんの映画みたいになっちゃって。だから切りました(笑)。戸田さん、いいよね。彼は実力がもっと評価されるべき俳優だと思うな。

──それに今回は『恋人たち』(2015年)の篠原篤、『ケンとカズ』(2016年)の毎熊克哉と、廣木組初出演の顔もありました。
篠原は『恋人たち』とまったく違う印象で頑張ってくれた。毎熊は父親のパチンコ仲間の、漁師の青年なんだけど、ほんとに漁師に見えたよね。そうそう、あの毎熊が父親に頼まれて船を出すシーン。
あそこで本当に船を出してくれたのは、本物の漁師の父子だったんだけど、そのご一家も、映画の主人公の父娘の家族と同じで、お母さんが波にさらわれたまま生死不明だと言っていた。あのシーンをどういう気持ちで協力してくれたのかと思うとなんとも言えないな。
──そうだったんですか。細かいところなんですけど、主人公の父娘が住む仮設住宅に、お母さんの位牌はなくて、写真だけが飾ってあるのも・・・。
そう、遺体が見つかっていないということを示しています。

──ヒロインが東京に向かう長距離バスの車窓から見える、送電線をつなぐ鉄塔の群れ。あれは、あの先には発電所がある、ということですよね。
鉄塔のカットに交錯するように、積み上げられた放射能汚染土のカットを入れています。あれなんかも、シートを被せただけで放ったらかしにされている印象ですよね。どうするんだ、と。なのにまた原発を再稼働しようと言う。いったいなにを考えているんだ、と本気で思います。
──ほんとにそうですね。この映画を撮られて、監督のなかで故郷・福島について、一区切りついた感じでしょうか?
いや、区切りはついてないですね。むしろ、ここまできたらどんどん撮ってやろうという気持ちです(笑)。同じテーマの作品を、全然違う切り口で撮ってみたいですね。
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