中田秀夫監督「ロマンポルノに若い作家は必ず刺激される」

「僕はいくらでも踏み台になります」(中田秀夫)
そんな中田秀夫監督の最新作が、女性同士の純愛を描いた『ホワイトリリー』。ロマンポルノの生誕45周年を記念して、塩田明彦監督、白石和彌監督、園子温監督、行定勲監督とともに作品を撮りおろした、「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」のなかの1本だ。
中田監督にとって、ロマンポルノ初監督作。気鋭の陶芸家とその弟子による女同士のディープな愛、そこに転がり込んでくる若い男。なかでも、陶芸家と弟子の主従関係がセックスシーンで入れ替わるところは、その前後のドラマを踏まえて観るとカラダがかなり熱くなる。
「SNSで観た人の感想を読んでいると、『5本のなかでは良く言えば伝統的、悪く言えば昭和的』と書いてあって、確かにそうかも知れないと思いました。一方で、百合的な人たちには、この映画はすごく心が痛いそうです。『この映画を私は人に薦めたくありません。苦し過ぎるから。観るなら覚悟して欲しい』という人までいました」(中田監督)
「どちらが、どちらを縛っているのかという関係性に『心が痛い』そうです。でも振りかえってみれば、小沼さんもよくSとMがグルッとひっくり返る瞬間を描いていましたし、僕にもそれが受け継がれたのかもしれません」(中田監督)

とにかく、中田監督の「ロマンポルノ愛」が伝わってくる。しかし、「昔は良かった」という懐古ではない。「僕は今回のリブートプロジェクトではアンカー役。一方で、これは第一次予選だとも思っています。日活から『第2弾、第2弾と言い過ぎです』といつも怒られてしまうんですが(笑)、早く次のリブートプロジェクトが企画されて、そのファーストランナーにこのバトンを渡したい気持ちです」と、ロマンポルノの未来をにらんでいる。

「神代さん、田中さんのような孤高のアーティストがいて、一方で小沼さんように『ラブシーンこそ命だ』と言う人もいました。『桃尻娘』シリーズの小原宏裕さんのようなヒット監督もいて、百花繚乱でした。でも今は、僕を含めて5人だけです。ただ、このプロジェクトがいずれ、かつてのロマンポルノのように映画監督の登竜門となり、ものすごい新人が現れるかもしれません」(中田監督)
「20代が、(ベルナルド・ベルトルッチ監督の)『ラスト・タンゴ・イン・パリ』(1972年)を上回るようなロマンポルノを生みだすんじゃないかと、そういう夢想をします。それならば僕はいくらでも踏み台になります。しかし、老兵は死なずだとも思っています。2021年の50周年記念には、僕もまたカムバックし、「若造よ、どけ」と言って撮りたいです。そのときにはほぼ還暦なんですが、還暦ロマンポルノをやります(笑)」(中田監督)
取材・文/田辺ユウキ
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