大阪を舞台に喜劇映画、豊川悦司「関西は毒を笑う文化がある」

「最近は、極端にシリアスな内容にする傾向がある」(豊川悦司)
──豊川さんが大阪の人間を演じるとき、留意されていることなどありますか?
相手の話を聞かないようにすることですね(笑)。それで、会話の「間」が変わってくるんです。よく大阪の人間は早口でまくしたてているように言われますが、実はそうでもないんです。テレビで見る今の大阪の芸人さんたちもそうですし、勉強のためにときどき聴く昔の漫才の方たちのしゃべくりでも、案外ゆったりしてるんです。
では、どうしてまくしたてているように聞こえるかというと、「間」の問題なんです。相手が話しているときにもう次に話すことを考えていて、会話の間を空けず、どんどん詰めていく。そうすると短い時間になんだかたくさんのことを話しているように聞こえて、時間も早く過ぎていく感覚にもなるんです。こういうことが関西人の気質とか、ちょっと大袈裟にいうと関西の文化とかを表すとき、ボディ・ブローのようにじわじわ効いていくような気がします。
──柏木のような人物が、ただのひどい奴、かわいそうな奴じゃなくって、どこか人間味のある人物に仕上がるというのも関西の文化のなせることなのでしょうね。
そう思います。関西の文化というか風土には、「毒を笑う」というのもあるんです。おそらくそれを鶴橋監督もご存知だったのだと思います。原作者の黒川博行さんも関西在住で、原作の舞台も大阪ですが、映画化するときに思い切って東京を舞台にすることもできた。
でも、脚本も書かれた鶴橋監督はそうしなかった。企画の初めから「こういう話なんだけど重くしたくない。コメディとして、人間たちの笑える話にしたい」っておっしゃってましたから。東京を舞台にしたら、きっちりしたサスペンスにはなるでしょうけど、きっと笑えない話になったように思います。

──豊川さんはピカレスク・ロマン(悪漢小説・映画)がお好きなんですよね。
好きですね。その意味でも、この作品は面白くなる気がしました。最近の映画って、殺人でも、ほかのさまざまな犯罪でも、いわゆるダークな題材を描こうとするとき、極端にシリアスな内容にする傾向があるように思うんです。以前の日本映画はそうじゃなくて、もっと違う切り口とか料理の仕方でみせてくれた。悪い人間でも、その一面ばかりでない、いろいろな面を持っていてふっと笑えたりする。そうすると悪人であっても魅力的になるんですよね。
──役柄の幅ですね。確かに鶴橋さんが造形され、豊川さんと大竹さんで肉付けされたこの映画の柏木と小夜子は、悪人だけどとても魅力的です。豊川さんから観て、鶴橋監督はどういう人ですか?
アイフォンのようなハイテク機器みたいって言えばいいのかな(笑)、便利ですごい機能が付いているのだけれど、それがどういう仕組みで出来ているのかはわからない。鶴橋さんも、演出のアイデアとか芝居の解釈とか、こちらの予想を越えていて、でも納得できて、すごいなあ、面白いなあとは思うんだけど、その発想とか考え方がどこからきているのかわからない。

──なるほど。それを強く感じたシーンはありますか?
今回のクランク・インですね。映画の冒頭にあった、海辺での婚活イベントのシーンからだったのですが、ちょっと驚きました。確かにシナリオには、大勢の高齢者の方が浜辺に集まっている、とは書いてあるんですが、「えっ、ここでほんとに走ってもらうの!? こんなに大勢の高齢者の方に、この炎天下で!」って思いましたよ。監督の演出を見ていて(笑)。やっぱりすごいな、映画的だなとも思いました。
──そういった印象は『愛の流刑地』のときから変わらなかったですか?
改めて再認識したって感じでしたが、今回はよりパワーアップしてるんじゃないでしょうか。監督としても、今回の映画の方がより遊べる要素が多くなっている気がしますから。
──この映画には、豊川さん、大竹さんのほかにも、個性的で存在感の大きい方たちが多数出演されていて、さすが鶴橋組だなって思うのですが、そのなかで異色というか、「おっ」て思ったのが、ワンシーンだけ出演なさってる笑福亭鶴光師匠でした(笑)。豊川さんも共演を楽しまれているように見受けられましたが。
楽しかったですね。よくぞこの役をこの方にキャスティングしてくれたと思いました。ぼくらは小さい頃、鶴光師匠の深夜放送を聞いて育ってますから(笑)。しかも、師匠はあの頃と全然印象が変わっていなくて、それもうれしい驚きでした。

──では、改めてうかがいます(笑)。今回共演されたなかで、強い印象を受けられた方はいましたか?
永瀬正敏さんですね。CMではご一緒したことがあったのですが、本編(劇場用映画)では初共演だったんですよ。同じころにデビューというか世に出てきて、やはりずっと気になる存在で、いつか一緒にやりたいと思っていましたから。また、今回の役が、敵対してはいるんだけど、底の部分で通じ合うというか、どこかシンパシーを感じる男どうしというものだったので楽しかったですね。だから、終盤の、2人で息切れしてゼイゼイ言いながらベッドにもたれ掛かっているカット、好きなんですよ。
──それを聞いて、もう一度あのシーンを観ると感じ方が変わりますね。ありがとうございました。
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