小吹隆文撰・週末おでかけアート、2/17〜

ヘンリー・F・タルボット『自然の鉛筆』|図版Ⅶ 植物の葉 Monmouth Calotype 1989 Edithion
「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、写真や映像、絵画と詩など、その意図について考えてみて。
写真史を問い直す意欲的な小企画
『キュレトリアル・スタディズ10:写真の<原点>再考−ヘンリー・F・タルボット「自然の鉛筆」から』@京都国立近代美術館 4階コレクションギャラリー
19世紀に英国で発表された世界最初の写真集、ヘンリー・F・タルボットの『自然の鉛筆』(1844〜46)。それは、当時生まれたばかりの写真術を世に紹介し、写真史の幕開けを告げる存在として知られています。同時に本書は、原点であるが故に現在までの写真史とは異なるストーリーを紡ぎ出す可能性を孕んでいると言えるでしょう。
この本から導かれるキーワードを元に、タルボット、ジュリア・マーガレット・キャメロン、アルフレッド・スティーグリッツ、エドワード・ウェストン、野島康三など、所蔵品から選んだ写真史上の名作と、「写真とは何か」を根源的に問い続けている畠山直哉(1958〜)を対置し、写真にまつわる諸問題について再検証します。
※3/5(土)14:00〜16:00にシンポジウムあり
1月27日(水)〜3月21日(休・月)
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オランダ現代美術の最前線を目撃しよう
『グイド・ヴァン・デル・ウェルヴェ個展「killing time|無為の境地」』
@京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
オランダ人作家グイド・ヴェン・デル・ウェルヴェ(1977〜)の日本初個展。彼は2000年からパフォーマンスの記録を基にした映像作品を手掛けています。

たとえば「第9番『世界と一緒に回らなかった日』」では、自ら北極点に立ち、24時間かけて地球の自転と反対に回り続け、「第14番『郷愁』」では、ショパンをテーマにワルシャワからパリまでトライアスロンで走破しました。また彼は、作品に使用する楽曲も自身で作曲しています。このように、パフォーマー、映像家、アスリート、音楽家の要素を併せ持ち、ドキュメントと歴史的題材と個人的記憶を融合した作品を制作するのが彼の持ち味です。今回は、過去10年の仕事から最新作を含む7点が紹介されます。
※2/21(日)14:00〜17:00、アーティストトークとオープニングレセプションあり
※「奥村雄樹個展『な』」も同時開催
2月20日(土)〜3月21日(休・月)
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絵画と詩の深い関係に注目した展覧会
『画家の詩、詩人の絵 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく』@姫路市立美術館
古来より「絵は黙せる詩、詩は語る絵」と言われ、多くの画家が詩を書き、多くの詩人が絵を描いてきました。それらは一方が他方を補足するものではなく、それぞれがかけがえのない表現として不可分の関係を結んでいるのです。

近代日本においても、絵と詩を共に手掛けた作家は少なからず存在します。本展では、明治から現代までの画家と詩人の詩と絵を一堂に集め、一つの視点から捉えようと試みます。出品作家は、青木繁、香月泰男、草間彌生、竹久夢二、三岸好太郎、村山槐多、稲垣足穂、草野心平、高村光太郎、中原中也、萩原朔太郎、正岡子規、宮沢賢治など66名。美術ファン、文学ファン双方にとって、心躍る貴重な機会となるでしょう。
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて
2月13日(土)〜3月27日(日)
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