会場自ら設計 ドイツ写真家の展覧会

国立国際美術館で開催される「ヴォルフガング・ティルマンス展」
ドイツ出身、現在はベルリンとロンドンを拠点に活動する写真家ヴォルフガング・ティルマンス(1968年~)。彼の、日本の美術館では11年ぶりとなる大規模個展が、大阪「国立国際美術館」(大阪市北区)で開催されています。
ティルマンスの作品には様々なタイプがあります。人物、静物、雑多な都市風景、新聞の戦争報道を巨大化した作品、巨大な色面や印画紙を折り曲げた抽象絵画のような作品など、まるで一人の作家とは思えないほどの多種多様ぶりです。また、大小の作品を壁面に自由に展開するインスタレーション(空間構成)的な展示スタイルも彼の特徴。本展では会場の設計もティルマンス自身が行っており、作家の意思が貫かれた空間で作品を見ることができます。
さて、肝心の展示です。本展を鑑賞した人は、あることに気付くでしょう。作品が1点ずつ完結しているのではなく、全体が緩く繋がっているように見えるのです。また、あらゆるモチーフを等価に扱っており、押しつけがましさは感じられません。
写真は対象を主観的に切り取るメディアですから、必然的にある種の暴力性を内包しています。そして、強烈なメッセージや固有のスタイルを持つ作品であればあるほど、マッチョやヒロイズムを帯びやすくなります。

ところが、ティルマンスの作品にそうした気配は見られません。無暗にイデオロギーを振りかざして戦うのではなく、物事の多様性・多面性を認めながらも、流されずに世界を写し取る。こうした危ういバランスに支えられた仕事を一貫して継続し、しかも新しいチャレンジを続けてきたことが、今日の高い評価につながっているのだと思います。
そんな彼の世界をたっぷりと体感できるのが本展の魅力です。ほかへは巡回せず大阪のみの開催となるので、この機会を見逃さないようにしてください。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」
期間:2015年7月25日(土)~9月23日(祝・水)
時間:10:00~17:00(金曜~19:00) ※入場は閉館30分前まで ※月曜休(9/21は開館)
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般900円、大学生500円 ※高校生以下・18歳未満無料(要証明)
電話:06-6447-4680(代表)
関連記事
あなたにオススメ
コラボPR
-
大阪アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
NEW 4時間前 -
大阪・関西ランチビュッフェ2025年版、ホテルの食べ放題を満喫
NEW 6時間前 -
京都アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
NEW 6時間前 -
【大阪・関西万博2025】最新情報まとめ!地元編集部が取材してわかった、人気グルメから穴場スポットまで
NEW 7時間前 -
現地取材で発見!知らなかった宇治の魅力【2025年最新版】
NEW 2025.9.14 08:30 -
「何度も見たくなる」ファン続出、宇治×京アニ秘話[PR]
2025.9.12 17:00 -
万博・ポーランド館で人気、現地さながらの体験とは?[PR]
2025.9.12 13:30 -
万博で日本一やかましい祭!?三重の魅力を1日で堪能[PR]
2025.9.12 07:00 -
カード利用で街がもっと便利に。アメックスで繋がる輪[PR]
2025.9.8 07:00 -
大阪スイーツビュッフェ・リスト2025年版、ホテルで甘いものを満喫
2025.9.1 10:00 -
グラングリーン大阪で食べる、買う、楽しむ! 14選[PR]
2025.8.29 10:00 -
神戸アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
2025.8.29 10:00 -
関西人なら違和感に気付く!? 8コの異変探し[PR]
2025.8.28 08:00 -
新しいものを全力で楽しむ!OMOろい旅 in 熊本[PR]
2025.8.25 09:00 -
大阪ビアガーデン2025年版、編集部取材のおすすめポイントも
2025.8.22 12:00 -
京都・滋賀のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.7.23 13:00 -
奈良のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.7.15 15:00 -
関西のおすすめ音楽フェス・2025年最新版
2025.7.9 09:00 -
【カメリア・マキの魔女占い】2025年下半期の運勢は?
2025.7.1 00:00 -
神戸のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.6.30 11:00 -
京都・貴船&高雄のおすすめ川床、ランチからカフェまで【2025年】
2025.6.19 12:00