累計8万個「ミャクミャクひっぱりだこ飯」収集癖くすぐる神戸の老舗駅弁屋「淡路屋」とは?

次々とおもしろアイディアを生み出す「淡路屋」代表取締役副社長の柳本雄基さん
まさに「ひっぱりだこ」=人気者の名にふさわしく、大ヒットした駅弁「EXPO2025 ミャクミャク ひっぱりだこ飯」。『大阪・関西万博』閉幕から3カ月を経過してもオンライン販売が好調で、1月24日に追加の受注生産販売を発表するほど人気継続中だ。Lmaga.jpが、製造販売元の「淡路屋」(神戸市東灘区)を直撃取材。次々と話題作を生み出す同社の秘密に迫った。
■ 閉幕後も人気衰えず…新たな受注予約も決定!

同社の「ひっぱりだこ飯」といえば、蛸漁で使用する蛸壺風の陶器に、マダコ、穴子などがご飯と盛り付けられた兵庫を代表する駅弁。1998年に「明石海峡大橋」開通記念として誕生して以来、さまざまな企業・団体やキャラクターとのコラボ商品が展開され、壺や掛け紙のコレクションを楽しむ人も多い。

その人気駅弁が満を持して『大阪・関西万博』公式キャラクター・ミャクミャクをデザインに採用し、万博開催中の9月18日に発売すると、連日早朝から販売店に長蛇の列ができるほどの反響があり、10月からはWEB予約制へ切り替え。予約サイトでも待機人数が万博並の争奪戦となり、レア商品として注目される存在に。
万博閉幕後も人気は衰えず、毎日のオンライン販売は争奪戦が続き、12月中旬に開始した4月分の受注生産予約では10日分・1万5000個が売れた。1月末までの累計販売数は約8万個に及ぶという。さらに、1月27日21時30分スタートで、新たに5・6月分(5月9日~6月30日)の受注生産の予約受付も開始する。
■ 過去約60種の「ひっぱりだこ飯」が…代表取締役副社長の柳本雄基さんに聞く

代表取締役副社長の柳本雄基さんは「壺にミャクミャクのぬいぐるみを入れて飾ってくれる方が多いですね」と言い、従来から存在した「ひっぱりだこ壺コレクター」だけでなく、万博グッズ集めや、ぬい活需要にもぴったりなヒット作となった。
これまで兵庫県警とコラボしたパトカー仕様など、約60種もの「ひっぱりだこ飯」が販売されてきたが、歴代1番人気はゴジラとのコラボレーション商品。そんな人気商品をも、そろそろ「ミャクミャクひっぱりだこ飯」が越えてくると予測をしている。

そんな中、嬉しい誤算も。「当社は今まで、関西の方を中心に認知されていたと思いますが、ミャクミャク商品をきっかけに、全国的に『淡路屋』も知ってもらえたと思う」と言い、既存商品の「ハローキティ」「パンダコパンダ」版「ひっぱりだこ飯」もミャクミャクにひっぱられる形で売れて、壺の生産が追いつかず、一時販売を休止した。柳本さんは「今後は意外性のあるコラボをしたい。『何でそこへいく?あほやん!』とつっこんでもらえるような…」と意気込む。

■ コロナ禍で「崖っぷちの弁当屋」が放った「クセ強」商品
意外性といえば、まさに近年の淡路屋の十八番。創業124年目の老舗ながら、駅弁以外でも「癖の強い」商品を発売し、SNSで度々話題に。「壺に合う蓋だけが欲しい」というお客の要望に応え、蛸の頭をつまんで持ち上げるデザインの「ひっぱりだこの蓋」を2021年に商品化。そのほか、壺風の珈琲カップや植木鉢まで遊び心あふれる品は、土産需要も取り込んでいる。

その「売れる物なら何でも売れ!」精神の背景には、コロナ禍の影響も。本来は4月10日の『駅弁の日』記念で準備していた蓋を約3カ月前倒しで販売し、柳本さんは「一時期は駅弁の売り上げが9割減というピンチに陥ったので何とかしなくてはという状況で。緊急事態宣言で外出できない環境だからこそ『今なら話題になる!』と判断しました」と振り返る。
「視点を変えるきっかけになった」というコロナ禍でも敢えて「崖っぷちの弁当屋」を掲げ、SNSでそのユーモアさにつっこみが入るような話題を提供。飛沫感染予防のシールド付き(自分から向かって3方向に組み立て式壁ができあがる仕様)弁当箱を発表したり、持ち前のアイディアを形にしてきた。

■ 新幹線弁当の再販で、陶器人気が復活?!
そんな巧みに世相を反映させながらも、一方では同社らしい原点回帰も。「ひっぱりだこ飯」以外のヒット作といえば、2007年から発売が開始された新幹線の形をした陶器の弁当シリーズ。0系、300系などまさに駅弁の代表格として鉄道ファンらにも愛されてきたが、「陶器は割れたら子どもに危ない」という声も多数寄せられ、プラスチック製で販売することに。

だがコロナ禍でオンライン販売を強化した際に、残っていた陶器を活用して「再販シリーズ」として販売したところ、売れ行きが良く、改めて大人にも合う特別感のある陶器での需要が高まったという。柳本さんは「元々は食べた後も楽しめるのが『淡路屋』の弁当の魅力のひとつ。陶器はずっと色あせませんから」と、弁当毎に陶器とプラスチックの使用を使い分けている。
今後について、「弁当に求められる『おいしい』はある意味当たり前なので、これからも『コレクションしたい』と収集癖をくすぐるような商品を考えていきたいですね。1家に1個、推し壺を持ってもらえるようにしたい」と野望を語った。
■「EXPO2025 ミャクミャク ひっぱりだこ飯」5月・6月分の受注生産詳細
1月27日21時30分より、5月9日〜6月30日受け取り分の受注を一斉に開始する。受注受付は、「淡路屋店頭おとりおきサイト」と「淡路屋オンラインショップ」にて。各日に受注可能数を設定し、上限に達した場合は受付を終了する。今後の5月分・6月分に続き、7月分も順次受注受付を開始する予定で公式サイトや公式SNSにて発表となる。
「EXPO2025 ミャクミャク ひっぱりだこ飯」(希望小売価格:1980円)とは?
人気駅弁「ひっぱりだこ飯」の内容はそのままに、万博の公式キャラクター「ミャクミャク」があしらわれた特製デザインの陶器と掛け紙を採用した、公式ライセンス商品。陶器本体には、ミャクミャクの特徴的な姿を 3 面に配置し、赤・青・白の配色で万博らしい華やかさを演出。壺の縁内側にも「ミャクミャク」の文字を印刷し、掛け紙は、ミャクミャクの立ち姿と「EXPO2025」のロゴを配した記念仕様。 内容食材は、醤油飯、たこ旨煮、穴子煮、菜の花煮、椎茸煮、人参煮、たけのこ土佐煮、錦糸玉子、たこ天(通常のひっぱりだこ飯と同一)。
取材・文・撮影/塩屋薫
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