貯蓄で「iDeCo」が人気な理由は…「そんなに節税できるの!?」【知らんと損するお金の小咄】

5時間前

友人から「貯蓄で所得税&住民税が節税できる……」と聞いたんですが、それって本当でしょうか?※イラストはイメージです

(写真2枚)

関西出身の経済・金融キャスターDJ Nobbyさんが、日常生活で知らないと損をするかも!?という、経済にまつわる疑問を解説。お金・経済には疎い編集Nの疑問をNobbyさんに教えてもらう新連載3回目は、iDeCo(イデコ)についてです。

■Lmaga.jp編集Nからの質問
「iDeCo(イデコ)、NISA(ニーサ)をしてないのは、もったいないの?」

「友人とランチをしている時に、『子どもの習い事や塾代や教育費、めちゃお金がかかるよね』『この調子だと、老後資金の方もヤバいわ〜』という話題に。貯金&貯蓄をキチンとしていない私に、『Nさん、iDeCoもNISAも、やってないの?』『iDeCoなんて、月2万くらい積み立てたら、所得税や住民税だけでも、年間4万ちょっと節税できたはず!』『4万っておいしいランチ何回分?もったいないわ〜』と、友人に指摘されました。iDeCoの魅力って何ですか? 運用して得た利益だけじゃなく、所得税や住民税も節税できるんですか? 」

■DJ Nobbyさん解説
「iDeCo」は、収益だけではなく、所得税も節税できる「自分でつくるもう一つの年金」

今回の質問、「iDeCo」と「NISA」が出てきましたが、今回は「iDeCo」に絞って話しをしていきましょう。

iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」のことです………と言われても、ピンとこないですよね!? 国が「自分で老後のために貯金を積み立てるなら、税金を大幅に安くしますよ」と言ってくれているような制度なんです!そう聞くと、使わない手はない感じがしてきますよね。

国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に、自身の希望額で掛金を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る「私的な年金制度」で、自分でつくる「もう一つの年金」という位置づけです。

■実は、NISAを大きく上回るメリットが!

iDeCoの主な特徴は、以下になります。

【メリット】
① 掛け金が、全額所得控除になる
② 運用して得た利益も非課税
③ 受け取り時の税金優遇処置

【デメリット】
④ 60歳まで引き出すことができない
⑤ 将来受け取れる金額が確定しない(運用成績によって変動するため)
⑥ 口座管理手数料がかかる
⑦ 運用リスクがある

ここで注目してほしいのは、①「掛け金が全額所得控除になる」というところ。これはiDeCo最大の魅力といえます。iDeCoは住民税や所得税を支払う前の「稼いだお金(額面)」から直接積み立てができるため、「税金を引かれていない収入で、将来の投資ができる」という、驚くべき仕組みになっています。

一方、NISAは、同じ金額投資するとしても、「稼いだ収入から所得税を引かれたお金(手取り)」から投資することになります。その時点で所得税率15〜20%分、損することを考慮すると、iDeCoは魅力的と感じます。

ただ、iDeCoは、特徴の④「60歳まで引き出すことができない」ので、資金に余裕がない人は困ることがあります。資金が潤沢ではない場合は、いつでも引き出せるNISAで運用するのが、人生全体での幸福度は上がりそうですよね。

■一体、iDeCoでどれくらい節税できる?

それでは、Nさんが年収500万円だったとしましょう。毎月2万円、iDeCoで積み立てをした場合、年間どれくらい節税になるかというと……

年収500万円への所得税率 20%(※1)
2万×12カ月×0.2=4万8000円

年間24万円投資することで4万8000円も、所得税が節約できるという計算になります。

今、48歳のNさんが、60歳まで積み立てたとすると……12年間で57万6000円の節税! 将来に向けて積み立てる意思がある人にとっては、「やらなきゃ損」と感じますね。

■もちろん、元本割れすることも

ここまで、節税などのメリットの話が中心でしたが、iDeCoは投資なので、デメリット⑦「運用リスクがある」こともお忘れなく。リスクを取りたくない場合は、元本保証型の商品を選ぶこともできますが、その場合、運用益よりも銀行に支払う口座管理手数料などのコストの方が上回ってしまうことも。手数料以上の運用益を期待できる商品を選んで運用を行うことがポイントとなります。

■2026年4月から適用される「私的年金」のルール変更にも注意

2026年から2027年にかけて、iDeCoを含む「私的年金」のルールが改定される予定です。2026年4月改訂では、「企業型DC(企業型確定拠出年金)の拠出限度額の拡充」(※2)されます。

企業型DCは、会社が毎月掛金を拠出し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。規約で認められていれば、会社の掛金に自分の給与から上乗せして積み立てることができ、これを「マッチング拠出」と呼びます。

2026年4月からは、このマッチング拠出に関するルールが緩和され、「会社の掛金を超えては拠出できない」という制限がなくなります。さらに2027年1月からは、この拠出限度額そのものも引き上げられる予定です。

企業型DCはiDeCo同様に、掛け金が全額所得控除、運用して得た利益も非課税になるうえ、さらに「手数料が掛からない」というポイントも。もっとも、マッチング拠出制度を備えている会社と、そうでない会社があります。マッチング拠出が使える職場にお勤めであれば、「同じ金額を積み立てるなら、まずは手数料負担のない企業型DCの枠を優先し、足りない分をiDeCoで補う」という考え方が有力な選択肢になってきます。

もう一つは、iDeCoの「退職所得控除」の適用期間の計算ルールが「5年ルール」から「10年ルール」に変更となります。これによって、メリットの③「受け取り時の税金優遇処置」がこれまでと変わる場合も。

自分の「お金」の現状をしっかり見つめて、老後に備えてお金を準備する方法を「損せずに」見極めたいものですね。

※1)参考文献 国税庁 所得税の税率
※2)厚生労働省 令和7年年金制度改正法
※3)参考文献 一般社団法人 投資信託協会 「企業型DC(企業型確定拠出年金)ってなあに?」
※4)厚生労働省 確定拠出制度の概要

Voicyでフォロワー10万人を超える経済・金融キャスターのDJ Nobbyさんが、知らないと損するお金にまつわるニュースを解説
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【DJ Nobby】
Voicyでフォロワー10万人を超える経済・金融キャスター。関西学院大学経済学部卒業後、シティバンクで海外為替ディーラーとして勤務後、東京金融取引所に転職、その後、プルデンシャル生命、メットライフ生命にてコンプライアンス部門マネージャーなどを歴任、2021年に独立。金融マンとして働く傍ら、ラジオパーソナリティとして活動。高校生のときに兵庫・西宮の「さくらFM」でDJデビューしてから、2025年でラジオパーソナリティ歴28年。ラジオ関西では経済系エンターテイメント番組『絶対わかる経済ニュース 知らんけど』(月〜木曜・6時30〜7時)を担当。12月15日に著書『世界情勢をつかんで波に乗れ! 経済ニュースのネタ帳2026〜27』(ハゴロモ書籍出版)を発売。

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