「熊スプレー」ニセモノだったら命取り…SNSで話題に→正規品と差に愕然

15時間前

正規品の「ベアスプレー」の動画。噴射距離は10mで、ニセモノ(5m)と比べると約2倍もの噴射距離がある(動画からキャプチャー/提供:株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)

(写真3枚)

相次ぐ熊の出没と人身事故を受け、「ベアスプレー(クマ除けスプレー)」が品薄状態となっている。そんな中、ネットショップなどでは、熊に対する効果が期待出来ないニセモノの「ベアスプレー」が横行しているという。

しかし、「ベアスプレー」は高価であり、使用者や周囲への危険も伴うため、確認のための試し吹きが難しい。

■全く異なる「ニセモノ」と「本物」

そこで、正規品の「ベアスプレー」を取り扱う、銃器、狩猟・アウトドア・防犯用品等の輸入・卸・小売り販売をする株式会社トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.(@tokyojuho) さんが、ニセモノと本物の「ベアスプレー」の噴射差の動画をX(旧Twitter)に投稿。

「ニセモノ」の噴射距離は5m前後。成分内容も熊スプレーとしての基準を満たしていないという。

一方、「正規品」の噴射距離は10mと、ニセモノの約2倍。

撮影時に使用したスプレーは旧タイプの「SABREフロンティアーズマン ベアスプレー」(噴射距離10.5m)で、現行品は12mの噴霧距離にパワーアップしているそうだ。

ニセモノの「ベアスプレー」の噴射動画。噴射距離はわずか5m前後で、成分内容も熊対応の基準を満たしていないという(動画からキャプチャー/提供:株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)
ニセモノの「ベアスプレー」の噴射動画。噴射距離はわずか5m前後で、成分内容も熊対応の基準を満たしていないという(動画からキャプチャー/提供:株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)

「ベアスプレー」は風向きが重要
トウキョウジュウホウさんにお話を聞いたところ、動画内でスプレーを噴射していたのは撮影地域の有害駆除員で、敏腕罠師でもある土屋浩之さん。

「安全を考えてかなり広い場所で撮影しています。隣地より半径約50m距離を取り、なおかつ、いちばん近い住宅より半径約約1km距離を取っています。

ボタン部分の固さは、自動車のサイドブレーキのボタンの固さに近いです。また、一般のスプレーとはボタン部分の形が違うため、押す際の感覚は少し独特かもしれません。実際に吹いてみると、結構な勢いで噴射されます。テスト時は風向きに気をつけています。吸い込んでしまうとむせるほど粘膜に強い刺激があります。また、風向きによっては、目に見えないスプレー成分が身体や服などに付着するため、使用後はすぐに石鹸を用いて手洗いをしました」(株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)

命を守る鍵は「冷静」「熊を刺激しない」

正規品は10m以上噴射距離があるとはいえ、その先に「熊」がいると考えると、「偽物はともかく、本物でもこの程度か…」といった不安の声があがっていたのも納得だ。

「とにかく熊に遭遇してもパニックにならないことが最も重要です。くれぐれもパニックになって一回で使い切らないこと。スプレーは複数回噴射出来ますし、風向きの条件が良ければ20m以上先まで届きます。

まずは常に冷静に、熊を刺激しないようにすること。事前に『ベアスプレー』の説明書をしっかり読んでおくことも大事です」(株式会社 トウキョウジュウホウ /Tokyo Juho, Inc.さん)

ニセモノ」(左)と正規品(右)。パッケージの違い以上に、噴射距離も、熊に有効な成分内容もまったく異なる(画像提供:株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)
ニセモノ」(左)と正規品(右)。パッケージの違い以上に、噴射距離も、熊に有効な成分内容もまったく異なる(画像提供:株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)

【以下、株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さんに聞いた、「ベアスプレー」を使用、携帯する際に気をつけたいこと】

①熊にあってもパニックにならないこと
常に冷静に、熊を刺激しないように。ベアスプレーの説明書を事前にしっかり読んでおくことも大事です。

②パニックになって1回で使い切らないこと
複数回噴射出来ます。ただし一度でも噴射したら、後日処分して下さい。

③熊が近い時(スプレーが届く範囲内)に使用すること
風向きの条件が良い場合は20m以上届きます。

④風向きに注意すること
出来れば風下に向けて噴射すること。風上に向けて使用すると使用者も巻き添え被害が起きます。どうしても風上に噴射しないといけない場合、可能な限り熊が近い状態(スプレーが届く距離)で使用するか、熊を刺激しないようにしながら使用する際の位置を移動して下さい。

⑤「ベアスプレー」を携帯する場合の注意点
携帯の理由をしっかりと説明出来ることと、携帯する理由の行動中であること。いわゆる正当な理由が必要です。熊以外の理由で携帯すると軽犯罪法に抵触します。

OKな場合の例:熊が出没するエリア、および出没の可能性がある近隣地域にて携帯して散歩や通勤。

NGな場合の例:熊が明らかに出ないエリア、千葉、九州、沖縄等で携帯して散歩や通勤(ただし、熊がいないとされるエリアでも生息の可能性があれば正当な理由になり得ます。熊も泳ぎます)。

※心配な場合は、自分の居住地域や勤務地域の所轄の警察署に相談してください。

協力:株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.

取材・文/はやかわリュウ

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